2019年10月20日、中国 雙和市。
タワーマンション 摩天大樓(ホライズン・タワー)20階の部屋で、そこの住人である若い女性が遺体で発見される。
早速現場検証に訪れたベテラン巡査 鐘敬國と、部下の楊蕊森。
楊蕊森の聞き込みによると、被害者は、階下でカフェを営む29歳の女性 鐘美寶。
ここには一人で暮らし、普段は仕事に忙しく、外出はほとんどせず。
外傷は頭部の打撲のみで、性的暴行の痕跡なし。
部屋が荒らされていないことから、顔見知りによる犯行の疑い。
携帯電話は見付からず。
防犯カメラもなし。
プライバシーの侵害になると住民たちの抵抗が強いことから、建物共有部分を残し、他のカメラはほとんど撤去されたという。
そこで、鐘敬國は、鐘美寶の知人を一人ずつ当たっていくことに決める。
一人目は、第一発見者である警備員の謝保羅。
なんでも、遺体発見当時、自分のせいで美寶が殺されたと大声で叫んでいたという…。
タワーマンション 摩天大樓(ホライズン・タワー)20階の部屋で、そこの住人である若い女性が遺体で発見される。
早速現場検証に訪れたベテラン巡査 鐘敬國と、部下の楊蕊森。
楊蕊森の聞き込みによると、被害者は、階下でカフェを営む29歳の女性 鐘美寶。
ここには一人で暮らし、普段は仕事に忙しく、外出はほとんどせず。
外傷は頭部の打撲のみで、性的暴行の痕跡なし。
部屋が荒らされていないことから、顔見知りによる犯行の疑い。
携帯電話は見付からず。
防犯カメラもなし。
プライバシーの侵害になると住民たちの抵抗が強いことから、建物共有部分を残し、他のカメラはほとんど撤去されたという。
そこで、鐘敬國は、鐘美寶の知人を一人ずつ当たっていくことに決める。
一人目は、第一発見者である警備員の謝保羅。
なんでも、遺体発見当時、自分のせいで美寶が殺されたと大声で叫んでいたという…。
2021年3月4日(木曜)、wowowでスタートした大陸ドラマ『摩天楼のモンタージュ Horizon Tower~摩天大樓』が、約一ヶ月半後の4月下旬、全16話の放送を終了。
wowowは、これの前に放送した『バッド・キッズ 隠秘之罪~隐秘的角落』があまりにも良く、これの後に控えている『ロング・ナイト 沈黙的真相~沉默的真相』も評判のドラマ。
そんな訳で、2本の名作に挟まれたこの『摩天大樓』への私の期待は低く、「つまらなくても、次に本命の『沈黙的真相』が来るから許せる。万が一面白かったら、拾い物」程度の気持ちで視聴。
結果的に“拾い物”でありました。
ラッキー♪
(※当ブログからの盗用を見る度にイヤな気持ちになります。きちんとリンクをお願いいたします。)
概要
2020年8月、騰訊視頻(テンセント)で初配信されたwebドラマ。
原作は、2015年に出版された陳雪(チェン・シュエ)の小説<摩天大樓>。
陳雪は、1970年、台湾 台中市出身。
同性愛、セクシャルマイノリティを扱うジャンル“同志文學”で知られる著作が多い女性作家。
作品の映像化はこれが初めてではなく、過去には<蝴蝶>が、香港の麥婉欣(ヤンヤン・マク)監督により『蝴蝶 羽化する官能』(2004年)という映画に。
メガホンをとったのは、陳正道(レスト・チェン)、許肇任(シュー・ジャオレン)、吳中天(マット・ウー)という、こちらも台湾からの3人が共同で監督。
3人同等にクレジットされているが、年長者は、1971年生まれの許肇任監督。
過去に『愛情合約 Love Contract~愛情合約』のような偶像劇や客家ドラマ『出境事務所~Long Day's Journey into Light』等を台湾でヒットさせ、2017年、『酸甜之味~Family Time』では、第52回 金鐘獎で監督賞も受賞。
…が、『摩天大樓』で実際のまとめ役的存在は、早くから北京に拠点を移し、大陸での実績がある陳正道監督ではないかと想像するし、私自身の関心が高いのも陳正道監督。
台湾の“ちん・まさみち”こと陳正道は、1981年、台湾 台北市出身。
マサミチは早熟な監督で、中原大學 商業設計系(商業デザイン科)在学中に広告の世界で頭角を現し、2004年、23歳の時には中篇『狂放~Uninhibited』が第61回ヴェネツィア国際映画祭 国際批評家週間、第17回東京国際映画祭 アジアの風部門に入選。
翌2005年には、長編処女作であるホラー映画『宅變~The Heirloom』が地元台湾でちょっとしたヒット。
『宅變』は後々日本でも『DEATH HOUSE デスハウス 悪魔の館』という邦題でDVDが発売されるのだが、日本の映画ファンにマサミチの名を知らしめた作品と言えば、『花蓮の夏』(2006年)!
『花蓮の夏』は私も好きで、何度も観ましたヨ。
この映画の成功で、マサミチは台湾文芸作品若手のホープとして、地元台湾で地道に映画を撮り続けていくのかと思いきや、あっさりと大陸に活動拠点を移したから、あまりの潔さに驚いた。
しかも、大陸に拠点を移してから発表したのは、いずれもバリバリの商業作品。
日本でも正式に公開されている物だと、例えば、フジのメガヒットドラマを中国版映画にリメイクした『101回目のプロポーズ~SAY YES』(2013年)や、『怪しい彼女』(2014年)の中国版『20歳よ、もう一度』(2015年)等。
若くして映画の世界で一定の成功を収めたマサミチは、webドラマにも着手。
それが、許肇任と共同監督した偶像劇『千年のシンデレラ Love in the Moonlight~結愛·千歲大人的初戀』。
その『千年のシンデレラ』がつまらなかったので、『摩天大樓』も大丈夫か?!と不安がよぎったのだが、陳正道&許肇任のコラボは続き、今年は新たなwebドラマ『愛很美味~Delicious Romance』の公開が控えている。
しかも、大陸に拠点を移してから発表したのは、いずれもバリバリの商業作品。
日本でも正式に公開されている物だと、例えば、フジのメガヒットドラマを中国版映画にリメイクした『101回目のプロポーズ~SAY YES』(2013年)や、『怪しい彼女』(2014年)の中国版『20歳よ、もう一度』(2015年)等。
若くして映画の世界で一定の成功を収めたマサミチは、webドラマにも着手。
それが、許肇任と共同監督した偶像劇『千年のシンデレラ Love in the Moonlight~結愛·千歲大人的初戀』。
その『千年のシンデレラ』がつまらなかったので、『摩天大樓』も大丈夫か?!と不安がよぎったのだが、陳正道&許肇任のコラボは続き、今年は新たなwebドラマ『愛很美味~Delicious Romance』の公開が控えている。
最後の一人、吳中天は、1981年生まれ。
見ての通り美男子で、俳優出身。
脇役で台湾偶像劇から文芸作品にまで幅広く出ていたが、2014年、短編『四十三階』で監督デビュー。
2016年には、長編処女作『天亮之前~One Night Only』を発表。
それのプロデュースと脚本を担当したのが、マサミチ。
最近はもう俳優業より監督業の比重の方が大きいのかも。
私が演じている吳中天を見たのは、ヤーさん役で出演している映画、鍾孟宏(チョン・モンホン)監督作品『ゴッドスピード』(2016年)が最後。
他の裏方スタッフも、例えば、撮影の林志堅(チャーリー・ラム)、美術の羅順福(ルオ・シュンフー)等、これまでマサミチと一緒に映画を作ってきたお仲間たちがそのまま多く起用されている。
脚本家陣も然り。
任鵬(レン・ポン)、殳俏(シュー・チャオ)、沈洋(シェン・ヤン)、易帥婕(イー・シュアイジエ)、みんな『摩天大樓』一回ポッキリではなく、その前後にマサミチとコラボしている馴染みの脚本家。
中でも、マサミチとの関係が深い脚本家といえば任鵬。
四川省 瀘州出身の任鵬は、元々は脚本家志望ではなく理系出身。
成都の西南交通大學卒業後は、大好きな推理小説を執筆しながら不動産会社に勤務。
マサミチとは友人を介して知り合い、その頃マサミチが準備していた『ラブ・オン・クレジット』の脚本を読み、忌憚のないご意見をズケズケと述べ、マサミチを不快にさせたという。
成都の西南交通大學卒業後は、大好きな推理小説を執筆しながら不動産会社に勤務。
マサミチとは友人を介して知り合い、その頃マサミチが準備していた『ラブ・オン・クレジット』の脚本を読み、忌憚のないご意見をズケズケと述べ、マサミチを不快にさせたという。
そんな最悪の出会いだったにも拘わらず、マサミチは友人の薦めで任鵬の小説を読み、『催眠大師~The Great Hypnotist』(2014年)のプロット作りに興味がないかと打診。
こうして、2011年、29歳の任鵬は、不動産会社を辞め、北京へやって来て、以降数多くの陳正道監督作品に関わる脚本家となっている。
画像右側がマサミチで、左側の“毒気を抜いた陳正道”って感じなのが任鵬。
いくら感性の合うお仲間だとしても、監督&脚本家コンビが、ここまで血縁者並みに似ているのは珍しい。
物語
タワーマンション摩天大樓の一室で美しい女性 鐘美寶が遺体で発見された案件で、捜査を進める中、関係者からの証言で徐々に浮かび上がる鐘美寶の過去や背景を描き、彼女の死の謎に迫るヒューマン・ミステリー。
中国語の原題になっている『摩天大樓』は、日本語と同じで、通常は、高層建築、Skyscraperの意味。
このドラマでは、固有名詞。
中国 雙和市郊外に建つ、A棟、B棟、C棟、D棟の4棟から成るマンションの名称が“摩天大樓 Horizon Tower”。
鐘美寶の遺体が発見されたのは、彼女の住居である摩天大樓の一室で、警察の尋問を受ける関係者も、多くは摩天大樓の住人。
ドラマは、そのような摩天大樓を中心に繰り広げられる一種のワンシチュエーションものとも言える。
ドラマの構成は、一人の証言=一つのエピソードに各2話。
計7名による7つのエピソードが、接点を持たせながらオムニバス的に綴られ、最終的に謎を解き明かす仕組み。
中国 雙和市郊外に建つ、A棟、B棟、C棟、D棟の4棟から成るマンションの名称が“摩天大樓 Horizon Tower”。
鐘美寶の遺体が発見されたのは、彼女の住居である摩天大樓の一室で、警察の尋問を受ける関係者も、多くは摩天大樓の住人。
ドラマは、そのような摩天大樓を中心に繰り広げられる一種のワンシチュエーションものとも言える。
ドラマの構成は、一人の証言=一つのエピソードに各2話。
計7名による7つのエピソードが、接点を持たせながらオムニバス的に綴られ、最終的に謎を解き明かす仕組み。
原作者 陳雪は、2003年に高層の集団住宅区に引っ越し、そこに様々な人が暮らしているのを見て、まるで都市の縮図のようだと感じ、いつか高層住宅を舞台にした作品を書いてみたいと思ったという。
恐らく原作の<摩天大樓>は、現代社会を反映した内容であり、“摩天大樓”という高層住宅=社会に生きる人々を描く群像劇、人間ドラマという側面が強い小説で、ドラマ『摩天大樓』は原作小説にミステリー要素を加味し、異なる作風に調理し直されたのではないかと察する。
ちなみに、原作小説で舞台となる街は、台湾 新北市の雙和。
(新北市の中で、隣り合った“和”が付く二つの区域、中和区と永和区を合わせ、“雙和”と称される。)
原作者の陳雪が実際に生活した街が、まさに新北市の雙和で、そこを小説の舞台に。
中国大陸を舞台にしたドラマだと、当然架空の街ということになり、実際の撮影は、四川省 成都で。
中国大陸を舞台にしたドラマだと、当然架空の街ということになり、実際の撮影は、四川省 成都で。
摩天大樓の警備員で、鐘美寶の遺体の第一発見者。
警備員とは言っても、受け付けの対応から、水道、電気の補修、パトロールまで何でもする便利屋。
実は名門 曼城大学を卒業しており、前職は雙和商業銀行の銀行員というエリート。
5年前の2014年は、まだ銀行勤めで、全てが順風満帆。
恋人 孫婷との結婚に備え、ちょっと背伸びをして、摩天大樓に4LDKの部屋を買って、そこで子供を育てたいと明るい未来を思い描いていたが、9月のある朝、運転していた車で女性を轢き、人生が暗転…。
鐘美寶と出逢ったのは、彼女が摩天大樓に転居してきた2年前の停電の日。
暗闇で、謝保羅の身の上話を聞いた美寶は、親のいない者同士で共鳴し、以降は仲の良い友人に。
ところが、この謝保羅の話には、数々の矛盾点。
恋人であったはずの孫婷は、2015年に、謝保羅からのストーカー被害で、110番通報。
摩天大樓で停電が起きたのも、2年前ではなく、一年前…。
◆呂聿來(ルー・ユーライ):謝保羅
1982年、四川省出身、近年は監督業もやっている俳優さん。
私、呂聿來が、こういう商業ドラマに出ているのを見るのは今回が初めて。
私にとっては、呂聿來というと、『孔雀 我が家の風景』(2004年)の高衛強や、『項羽と劉邦 鴻門の会』(2012年)で演じた秦の最後の君主 子嬰(?-紀元前206)の印象が強い。
最近では、日本人監督 近浦啓(ちかうら・けい)の処女作『コンプリシティ 優しい共犯』(2018年)で主演。
藤竜也と共演しております。
良く言えば繊細、悪く言うと弱々しい印象の呂聿來は、神木隆之介系統とでも言おうか、中国より日本にいそうな感じの俳優。
事故をきっかけに何もかも失った悲劇の元エリート銀行員という皮を被っているけれど、実は人生における数々の挫折で心に闇を抱く卑屈な男で、何か裏が有りそう…と疑わせる『摩天大樓』の警備員に合っている。
林大森篇
“林大森(はやし・おおもり)”という上も下も苗字みたいな(笑)氏名の建築家。
18年前の子供時代、美寶と同じアパートに住んでいたが、盗難事件を機に引越し。
2年前に、有名教授 李敬深の娘で、曼城大学で2学年下の後輩だった李茉莉と逆玉の輿婚。
自分より優秀だったが、結婚で家庭に入った李茉莉のアイディアを盗用するように。
その頃、美寶と再会し、不倫関係に発展。
愛人である美寶に、自分が暮らしている建物 摩天大樓内の別の部屋をタダで宛がい、住まわせる。
◆鄭人碩(チェン・レンシュオ):林大森
1982年、台湾 台北市出身。
鄭人碩は『摩天大樓』メインキャストの中で唯一の台湾俳優。
『酔生夢死』(2015年)など張作驥(チャン・ツォーチ)監督作品で注目されるようになったが、その後も商業作品への出演は多い方ではない。
徐若瑄(ビビアン・スー)との共演作で、日本にも入って来ているホラー映画『人面魚 THE DEVIL FISH』(2018年)は、台湾でヒットしたため、地元ではそこそこ知られているはずだが、大陸では目立った実績はなく、知名度も低いはずなので、『摩天大樓』への起用は大抜擢という印象。
彼が主演した賴國安(ライ・グォアン)監督による台湾映画『上岸的魚~A Fish Out of Water』のプロデュースを手掛けたのが、『摩天大樓』監督陣3名の内の一人、許肇任監督なので、恐らくそこら辺の繋がりかしら~、と想像。
地道に築いてきた人脈が活かされて良かった、良かった。
林夢宇篇
林夢宇は、不動産仲介業という職業柄、内見用に摩天大樓各部屋の合鍵を多数所有。
それらの鍵を使って、愛人の丁小玲と他人の部屋に勝手に入り、コスプレごっこを楽しんでいたが、不覚にも弁護士の王に見付かり、通報されそうになり、仲介料1345000元を無料にする代わりに、訴えを取り下げてもらった経験あり。
林夢宇もう一つの趣味は覗き。
天井づたいに住民の部屋を覗くのが好きな変態で、取り分け美寶には夢中になり、頻繁に覗き、裏表のない女性であると彼女の人柄を評価。
覗いていた林夢宇には、当然美寶殺しの容疑が懸かるが、彼の妻 沈美琪が、その疑惑を否定。
なぜなら、沈美琪は、夫が夢中になっている美寶に興味が湧き、同じように天井づたいに彼女を覗いていたため、夫は殺していないと確信。
◆馬亮(マー・リャン):林夢宇
1983年、黑龍江省 哈爾賓出身、中央戲劇學院で学んだ俳優。
これまで大ブレイクすることなく、色んな作品に脇役でちらりちらりと出演。
美男子ではないけれど不細工でもないフツーの中年男性という容貌なので、『摩天大樓』での不動産仲介業者というフツーの役は合っていると思ったが、話が進めば進むほど、コスプレだの覗きだのといった変態趣味が露見してきて、フツーな見た目とのギャップで、おかしみを誘う。
憎めない変態ですわ。(実際にこういう人がいたら困るけれど。)
天井づたいに住民の部屋を覗くのが好きな変態で、取り分け美寶には夢中になり、頻繁に覗き、裏表のない女性であると彼女の人柄を評価。
覗いていた林夢宇には、当然美寶殺しの容疑が懸かるが、彼の妻 沈美琪が、その疑惑を否定。
なぜなら、沈美琪は、夫が夢中になっている美寶に興味が湧き、同じように天井づたいに彼女を覗いていたため、夫は殺していないと確信。
◆馬亮(マー・リャン):林夢宇
1983年、黑龍江省 哈爾賓出身、中央戲劇學院で学んだ俳優。
これまで大ブレイクすることなく、色んな作品に脇役でちらりちらりと出演。
美男子ではないけれど不細工でもないフツーの中年男性という容貌なので、『摩天大樓』での不動産仲介業者というフツーの役は合っていると思ったが、話が進めば進むほど、コスプレだの覗きだのといった変態趣味が露見してきて、フツーな見た目とのギャップで、おかしみを誘う。
憎めない変態ですわ。(実際にこういう人がいたら困るけれど。)
吳明玉篇
元々は活動的であったが、飛行機を怖がる恋人に無理を言って一緒に海外旅行へ行ったところ、無差別テロに遭遇し、彼が死んでしまったという悲しい過去あり。
自著の<祥雲幻影錄>は、ドラマ化が予定されているベストセラー。
この<祥雲幻影錄>は、美玉と隽辰という姉弟が主人公のファンタジー小説。
弟の隽辰を捕らえ、仲間の鶴と銀狐も殺した魔君と、いやいや結婚したはずの美玉が、最後には有ろう事か魔君を愛するようになるという不可解なオチの物語。
主人公 美玉は、異父弟がいる美寶を重ねた役なのか?
鶴と銀狐にも、実際の人物が投影されているのか…?と疑問が残るが、<祥雲幻影錄>は第3部が未発表のまま。
1959年に実際に起きたクラッター一家殺人事件にヒントを得、<冷血>を書いたトルーマン・カポーティ(1924-1984)は、取材のため交流していた事件の加害者ペリー・スミスが死ぬと、小説を書けなくなってしまった。
もしかして吳明玉も、美寶の死で、書けなくなったのか?
このエピソードの特徴は、アニメーションの多用。
吳明玉が書いたという設定の小説<祥雲幻影錄>の物語が、アニメーションで表現されているのだ。
そのアニメを担当したのは、槐佳佳(フアイ・ジアジア)。
彼が監督したアニメ『大理寺日誌~White Cat Legend』(2020年)は、日本でも観ている人がぼちぼちいるようですね。
◆孔雁(コン・イェン):吳明玉
1986年、上海出身、中央戲劇學院卒。
私は、初めて見る女優さん。
主に舞台を活動の場にしてきた人で、特に孟京輝(モン・ジンフイ)監督が演出する舞台に数多く参加。
日本に住んでいると、海外の舞台俳優のことはなかなか知り得ないけれど、この孔雁は孟京輝監督の舞台で主役を張っていたようなので、もしかして中国の演劇ファンの間では、元々そこそこ知られた存在だったのでは?
2017年に芸能大手と契約してから、活動が映像作品にも広がってきているように見受けるので、我々日本人もこの先孔雁出演作に触れる機会が増えるかも知れない。
顔立ちは、趙薇(ヴィッキー・チャオ)をワイルドにした感じ。
『摩天大樓』の吳明玉役に限ったことかも知れないが、大陸ドラマで見る他の女優たちとはちょっと違う、独特なボヘミアンな雰囲気がある。
また、吳明玉を演じているだけではなく、劇中アニメ『祥雲幻影錄』のナレーションも担当している。
葉美麗篇
葉美麗は、家政婦でありながら、英語を話し、緊急医療の知識まである知的な女性。
摩天大樓の住人たちは、それを不思議に思いながらも、葉美麗の人柄を信頼しているため、彼女が誘拐犯とは信じない。
実は葉美麗の本名は李桂蘭で、かつては外科医。
十何年も前、勤務していた新龍縣の病院に、家庭内暴力で傷を負った鐘潔という女性が治療にやって来て、彼女の子供、美寶と阿俊と出逢う。
交流する内に家族のように親しくなり、4人で新天地で一からやり直そうとした矢先、鐘潔がDV夫に見付かってしまい、自殺。
異変を察した娘の美寶も、ちょっとしたスキに姿を消してしまったため、李桂蘭は止む無く弟の阿俊だけを連れ、新龍縣を離れ、以降ずっと女手一つで彼を育てることになる。
交流する内に家族のように親しくなり、4人で新天地で一からやり直そうとした矢先、鐘潔がDV夫に見付かってしまい、自殺。
異変を察した娘の美寶も、ちょっとしたスキに姿を消してしまったため、李桂蘭は止む無く弟の阿俊だけを連れ、新龍縣を離れ、以降ずっと女手一つで彼を育てることになる。
しかし、法律上、母親ではないため、後年になって誘拐の容疑でまさかの逮捕…。
◆劉丹(リウ・ダン):葉美麗/李桂蘭
◆劉丹(リウ・ダン):葉美麗/李桂蘭
1972年、黑龍江省 哈爾賓出身、1994年に北京電影學院卒。
二文字の名前は同姓同名が多いから、混乱し易い。
大ヒットドラマ『還珠姫 プリンセスのつくりかた~還珠格格』に香妃役で出演したものの、2000年に交通事故に遭い、27歳の若さで亡くなった女優が、やはり“1972年 哈爾賓出身の劉丹”だが、別人。
女性だけではなく、劉愷威(ハウィック・ラウ)の父親でもある香港のベテラン俳優も劉丹(ラウ・ダン)。
『摩天大樓』の劉丹は、映像作品にもそこそこ出ているが、舞台に力を入れている実力派。
日本との御縁も深く、平田オリザが演出する日中合同プロジェクト『下周村(かしゅうそん)』で新国立劇場の舞台に立ったり、2012年、中国の奨学金を受け来日し、能楽師 清水寛二に師事して、なんと、お能の舞台『天女 劉丹』でシテを務めたり。
まったく覚えていないのだが、テレビ朝日の『流転の王妃・最後の皇弟』にも溥儀の皇后 婉容(1906-1946)の役で出演していたようだ。
溥儀の側室 譚玉齡/他他拉氏(1920-1942)役で出演した伊東美咲が大根&中国語があまりにも凄まじかったため、他のお姫様たちの印象が吹っ飛んでしまっていたが、皇后役はちゃんと中国の実力派をキャスティングしていたのですね。
葉舒俊/顏俊篇
子供時代からピアノの才能を見せるが、親の理解はないし、そもそも家に経済的余裕なし。
そこで、夷安鎮立群小学校の美寶の同級生で、ピアノのレッスンが嫌いな薇薇に代わってピアノを弾き、953元稼いだり、海星照相館で<ノクターン>を弾いて店主の宋を驚かせ、彼の妻が遺したピアノを譲り受けるが、喜んだのも束の間、父親に見付かり、せっかくのピアノに火を付けられてしまう。
その後、一公演で最低でも百万元の収益を出す一流ピアニストに成長。
ところが、今から2年前、初めてのコンサートツアーの時、実父 顏永原が現れ、美寶の写真をバラ撒くと脅しながら、金の無心を開始。
そして一年前、さらにエスカレートした顏永原が「金を渡さなければ美寶を殺す」と脅迫。
美寶から、ただの脅しだから無視するよう忠告されるが、実際に美寶が殺されてしまい、阿俊は大ショック…。
ちなみに、こちら、ピアニスト葉舒俊のコンサートチケット。
こんな小道具まで作っているとは。(しかも、ちゃんと“それっぽい”デザイン。)
◆曹恩齊(ツァオ・エンチー):葉舒俊/顏俊
1995年、北京出身、中央音樂學院 鋼琴(ピアノ)系 卒。
そう、ピアニスト葉舒俊を演じる曹恩齊自身がピアノの名手。
子供の頃から毎日8時間ピアノを弾き続け、あの郎朗(ラン・ラン)を輩出した中央音樂學院へ進学し、郎朗と同じ先生に師事し、いくつかのコンクールで好成績を獲得。
しかも、スラリと185センチの長身で、大学一のイケメンとの誉れも高く、色んなイベント等にお呼ばれ。
まだ在学中の2015年、芸能事務所からお誘いが来ると、元々映画鑑賞が好きだった彼は興味を示し、契約。
俳優になるべく、半年のレッスンを受けるが、訳あって解約。
幸い、その後、別の事務所に所属することとなり、2017年、コメディ映画『我是你媽~I Am Your Mom』に出演し、正式に芸能界デビュー。
仮にピアノの腕で郎朗より劣っても、このルックスなら、ピアニストとしてデビューでき、マダムに人気のピアノ王子になっていたかも知れないですね~。
顏永原篇
華商集団を取り仕切る大物女性実業家 汪紅の運転手をしていた時、彼女の脱税を隠す見返りに譲ってもらった小さな会社 鵬洋電器有限公司を経営。
クラブで働く鐘潔に惚れ込み、彼女が子持ちであることを承知の上で結婚。
ところが、望んでいた穏やかな家庭生活は続かず、わがままで金遣いの荒い鐘潔に振り回され、さらに経営する会社の資金繰りにも行き詰ってしまう。
そんな時、鐘潔から勧めで、違法であると知りながら、彼女の知り合いの香港人が扱う密輸品に手を出し、その香港人が失踪して、自分が逮捕…。
…というのは、顏永原自身の供述。
息子の葉舒俊(顏俊)や、葉舒俊の養母 葉美麗が言うような、酒癖が悪いDV夫とはまるで異なる話。
警察の鐘敬國と楊蕊森は、顏永原がPUA(ピックアップアーティスト)の理論で女性を支配していたことを疑い、彼をかつて運転手として雇っていた女性大物実業家 汪紅に接触。
案の定、顏永原の話とは真逆の証言を得る。
一方その頃、顏永原自身は、ピアニストとして有名になった息子に会うため、家族の問題を扱う雙和衛視の人気番組『回到愛身邊(愛がそばに戻る)』に出演し、注目を浴びることになるが…。
◆焦剛(ジャオ・ガン):顏永原
山東省出身。
(年齢は非公開だが、逆算すると、恐らく1966~1968年辺りの生まれ。)
変わった経歴の持ち主で、大学はまず山東師範大學でおピアノを履修。
卒業後は、山東濱州教育學院で芸術学部の教師に。
6年後、北京に出て、当時中央戲劇學院に新設されたばかりのミュージカル学科に入学。
ところが、その頃、中国では、まだミュージカルが盛んではなかったため、卒業しても活躍の場がなく、生活のため会社員をやっていた時、先生からの推薦で、日本の劇団四季に入団。
『マンマ・ミーア!』や『Contact』の舞台に立ったそう。
以前、故 浅利慶太が「中国人は身体能力が高い」と言っていたけれど、優秀な人材を確保するために、劇団四季は中国の名門校とコネクションをもっているのかも知れませんね。
『マンマ・ミーア!』や『Contact』の舞台に立ったそう。
以前、故 浅利慶太が「中国人は身体能力が高い」と言っていたけれど、優秀な人材を確保するために、劇団四季は中国の名門校とコネクションをもっているのかも知れませんね。
焦剛さま、フツーに素敵。
スタイルが良くて、舞台映えしそう。
飛べるし。
さすがはミュージカル俳優。
陳正道監督作品は、ドラマ『摩天大樓』より前に、映画『記憶の中の殺人者』(2017年)に出演。
2021年の今年は、『摩天大樓』の共演者 呂聿來が監督する映画『掃黑·決戰』の公開が控えている。
俳優業のみならず、舞台監督もしており、西安 華清宮の中で毎日上演されている『1212西安事變~Xi'an Incident』を手掛ける裏方の一人が、やはり焦剛。
これは、外国人観光客でもお手軽に観られる舞台。
鐘美寶篇
母 鐘潔の自殺後、寄宿学校 楊永義青少年德才培育學院に入学。
厳格な学校での暗く辛い日々が始まるが、二人の同級生、李茉莉、丁小玲との出逢に救われ、彼女たちとは生涯助け合う大親友となる(!)。
この鐘美寶篇は、まとめの章。
14話までに張られた伏線が、この最後の2話でどんどん回収され、結末に進んでいく。
◆楊穎(アンジェラベイビー):鐘美寶
1989年、上海出身。
父方の祖父がドイツ人のクオーター。
13歳の時、親と一緒に香港に移住し、翌2003年、14歳の時、モデルとしてデビュー。
モデルとしては三流でも、途絶えることのなお直し疑惑で、日本でも結構早い時期から中華芸能マニアの間で知られるように。
2009年には、ヤバイもん好きキワモノ師 AVEX 松浦勝人が日本地区のマネージメント契約を結んだため、当時は、ギャル系ファッション誌<S Cawaii>の他、東京ガールズコレクションに参加したり、レミオロメンのMVに出演するなど、日本のお仕事もぼちぼちやっていた。
その後、2012年、大陸芸能大手 華誼兄弟と契約すると、女優業の比重が増し、さらに2015年、大物俳優 黃曉明(ホアン・シャオミン)と上海展覽中心で豪華挙式を開催。
日本ならちょっとした国家行事レベルのお式であった。
お嫁サマになったベイベーは、2017年順調にBabyを出産。
常に話題を振りまき、高額ギャラを稼ぐ超一流芸能人に昇格!
…が、その割りには、“代表作”と呼べる主演作がなく、演技力も問題視されがち。
私がこの『摩天大樓』に特別期待しなかったのも、べいべー主演作であることが大きい。
でも、実際にドラマを観たら、べいべーは特別出演という扱いで、初っ端ですぐにお亡くなりに。
(もっとも、彼女の死を巡る物語であるため、死亡後も、回想でちょくちょく登場するが。)
現地では、『摩天大樓』での彼女の演技について、①気にならなかった ②進歩した ③このドラマ唯一の汚点が楊穎、…と寛容派から断罪派まで幅があるけれど、相変わらず手放しの絶賛はほぼ見当たらない。
私自身は、演技力に関しては、現地で言われているほど悲惨だとは思わない。
それより、お顔。
口元が固まり過ぎで、コワイ…。
キラキラのラブ史劇なら、アニメやゲームのキャラクターのようなナチュラル感に乏しいチャイボーグなお顔の俳優も作風に馴染むが、本格的な作品だと浮くし、画が安っぽくなってしまう。
『摩天大樓』の場合、各エピソードの中核的人物に、人気より実力を重視した俳優を多く起用しているので、客寄せパンダ的にメジャーなべいべー投入は仕方が無かったのかなぁとも思うけれど。
なお、鐘美寶役は、年齢に応じ、楊穎を含め4人の女優が演じている。
小さい方から順に、陳羽汐(チェン・ユーシー)、王聖迪(ワン・ションディー)、張煜雯(ジャン・ユーウェン)、そして楊穎。
張煜雯は綺麗な女の子だけれど、さっぱりした顔で、ベイベーの少女時代にあまり見えなかった。
王聖迪は、これの前に観た『バッド・キッズ 隠秘之罪~隐秘的角落』の普普役が本当に素晴らしかった!
『摩天大樓』では、『バッド・キッズ』程の出番はないけれど、この子、可愛い。
間も無く2021年5月に公開を控えている陳正道監督新作映画『秘密訪客~Home Sweet Home』にも、その『バッド・キッズ』で共演した榮梓杉(ロン・ズーシャン)と一緒に出演。
キャスト その①:警察
◆郭濤(グォ・タオ):鐘敬國
雙和市公安局曼城分局刑事偵査支隊のベテラン刑事で、鐘美寶案件を担当。
過去にセクハラをしたと署内で噂される。
曉曉という難しいお年頃の娘あり。
(実は、相棒だった周磊の娘を引き取って養育。)
主演の一人は、キャスト陣の中で一番の大物俳優 郭濤。
曉曉という難しいお年頃の娘あり。
(実は、相棒だった周磊の娘を引き取って養育。)
主演の一人は、キャスト陣の中で一番の大物俳優 郭濤。
郭濤は、1967年、陝西省 西安出身、中央戲劇學院卒。
陳正道監督は、過去のミステリー映画2作品、『催眠大師~The Great Hypnotist』では徐崢(シュー・ジェン)、『記憶の中の殺人者』では黃渤(ホアン・ボー)と、コメディに定評のあるおっさん俳優を主演に起用。
『摩天大樓』への郭濤の起用も、その流れを感じる。
マサミチは、コメディの上手い中年俳優が、ミステリー作品で、コミカルではない演技をするのが見たいのでしょう。
徐崢、黃渤に続き、郭濤が起用されたことで、大ヒット映画『クレイジー・ストーン 翡翠狂騒曲』(2006年)出演者の内3人が、陳正道監督ミステリー作品の主演となった。
陳正道監督は、過去のミステリー映画2作品、『催眠大師~The Great Hypnotist』では徐崢(シュー・ジェン)、『記憶の中の殺人者』では黃渤(ホアン・ボー)と、コメディに定評のあるおっさん俳優を主演に起用。
『摩天大樓』への郭濤の起用も、その流れを感じる。
マサミチは、コメディの上手い中年俳優が、ミステリー作品で、コミカルではない演技をするのが見たいのでしょう。
徐崢、黃渤に続き、郭濤が起用されたことで、大ヒット映画『クレイジー・ストーン 翡翠狂騒曲』(2006年)出演者の内3人が、陳正道監督ミステリー作品の主演となった。
◆楊子姍(ヤン・ズーシャン):楊蕊森
雙和市公安局曼城分局刑事偵査支隊に勤務する警部補。
鐘敬國の部下で、共に鐘美寶案件を担当。
仕事熱心で優秀だが、天海祐希や米倉涼子のような「私、デキるわよ」系ではなく、洒落っ気が無く、眼鏡を掛けた真面目っ子。
共に捜査に当たっているベテラン鐘敬國を“師傅(師匠)”と呼んではいるけれど、ひたすら低姿勢というわけではなく、言いにくい事を本人に向って案外さらりと言ってしまう天然なのかシッカリ者なのか分かりにくい所あり。
仕事熱心で優秀だが、天海祐希や米倉涼子のような「私、デキるわよ」系ではなく、洒落っ気が無く、眼鏡を掛けた真面目っ子。
共に捜査に当たっているベテラン鐘敬國を“師傅(師匠)”と呼んではいるけれど、ひたすら低姿勢というわけではなく、言いにくい事を本人に向って案外さらりと言ってしまう天然なのかシッカリ者なのか分かりにくい所あり。
楊子姍は、1986年、江蘇省 南京出身、南京藝術學院 音樂表演系 卒。
出世作は、女優 趙薇(ヴィッキー・チャオ)の監督デビュー作『So Young~過ぎ去りし青春に捧ぐ』(2013年)。
楊子姍が扮する主人公 鄭微は、日本人の私からすると、無駄に勝ち気でウザい女。
ところが、中国では大ウケで、演じた楊子姍も大人気に。
(私が「うざっ…」と感じた女性キャラが、中華圏で「ハツラツとしていて可愛い!」とウケることは結構ある。)
その後またまたヒットした主演映画が、韓国映画『怪しい彼女』(2014年)の中国版で、陳正道監督による『20歳よ、もう一度』(2015年)。
その映画で、韓国版の沈恩敬(シム・ウンギョン)、日本版の多部未華子に当たる役を演じているのが楊子姍。
この三者比較では、私は、楊子姍が一番良かった。
この『20歳よ、もう一度』以降、楊子姍はもはや“マサミチ組”の一員で、陳正道監督作品にしばしば登場。
楊子姍が扮する主人公 鄭微は、日本人の私からすると、無駄に勝ち気でウザい女。
ところが、中国では大ウケで、演じた楊子姍も大人気に。
(私が「うざっ…」と感じた女性キャラが、中華圏で「ハツラツとしていて可愛い!」とウケることは結構ある。)
その後またまたヒットした主演映画が、韓国映画『怪しい彼女』(2014年)の中国版で、陳正道監督による『20歳よ、もう一度』(2015年)。
その映画で、韓国版の沈恩敬(シム・ウンギョン)、日本版の多部未華子に当たる役を演じているのが楊子姍。
この三者比較では、私は、楊子姍が一番良かった。
この『20歳よ、もう一度』以降、楊子姍はもはや“マサミチ組”の一員で、陳正道監督作品にしばしば登場。
しかも、2015年には、『摩天大樓』のもう一人の監督である吳中天と結婚。
綺麗な夫婦。
マサミチがプロデュースした夫 吳中天の長編監督処女作『天亮之前』の主演女優を務めたのも楊子姍。
みんな、“お仲間”という感じなのでしょう。
綺麗な夫婦。
マサミチがプロデュースした夫 吳中天の長編監督処女作『天亮之前』の主演女優を務めたのも楊子姍。
みんな、“お仲間”という感じなのでしょう。
日本では、wowowで『摩天大樓』放送中、BS11でもう一本の楊子姗主演ドラマ『愛される花~原來你還在這裡』も放送していたのだが、そちらで演じている蘇韻錦は、なんか暗くてパッとしない役であった。
『摩天大樓』の楊蕊森は、『So Young』のように鬱陶しくなく、かと言って『愛される花』ほど暗くなく、ごくごく普通で程良い感じ。
今までに見た楊子姍出演作の中で、この役が一番好きかも。
あと、『摩天大樓』で見て今回初めて感じたのだけれど、眼鏡を掛けた楊子姍は、眼鏡を掛けた浜辺美波にそっくり。
両者とも正統派のナチュラルビューティで、それが面白みに欠け、印象に残りにくい要因だとも感じるけれど。
キャスト その②:その他
◆倪虹潔(ニー・ホンジエ):鐘潔
鐘美寶と顏俊の母。
鐘美寶を産んだのは17歳の時。
顏俊の父親である顏永原からDVを受け続け、逃避にも失敗し、遂には自ら命を絶つ…。
倪虹潔は、1978年、江蘇省出身の女優さん。
日本に入って来ている出演作は決して多くはないのに、ここ最近、『摩天大樓』以外にも、ドラマ『私だけのスーパースター Mr.Fighting~加油,你是最棒的』と映画『THE CROSSING 香港と大陸をまたぐ少女』(2018年)が上陸し、いずれもなかなかの良作であった。
しかも、倪虹潔が演じている役は、それら3作品とも恋愛体質の傾向。
倪虹潔は、ダメンズに尽くした挙句こっぴどくフラれるとか、ちょっぴりお馬鹿で可愛いオンナ、…みたいな役がとても上手い。
『摩天大樓』では、眉毛の上でぱっつり切った前髪のボブヘアもお似合いでキュート。
私、普段は、目と目の間が近い女性の顔があまり好きではないのだけれど、作品の中で見る倪虹潔は、憎めない魅力がある。
◆張柏嘉(ジャン・バイジア):李茉莉
建築家 林大森の妻。
父親は著名な教授 李敬深。
元々は自分自身も建築をやっており、林大森より優秀であったが、結婚して専業主婦に。
自分より優秀でお嬢様育ちの李茉莉と逆玉の輿婚をした林大森は、どうやら婿養子のような気詰まりがあるようで、幼馴染みの鐘美寶と再会すると、不倫関係になり、彼女との時間に安らぎを覚える。
私、普段は、目と目の間が近い女性の顔があまり好きではないのだけれど、作品の中で見る倪虹潔は、憎めない魅力がある。
◆張柏嘉(ジャン・バイジア):李茉莉
建築家 林大森の妻。
父親は著名な教授 李敬深。
元々は自分自身も建築をやっており、林大森より優秀であったが、結婚して専業主婦に。
自分より優秀でお嬢様育ちの李茉莉と逆玉の輿婚をした林大森は、どうやら婿養子のような気詰まりがあるようで、幼馴染みの鐘美寶と再会すると、不倫関係になり、彼女との時間に安らぎを覚える。
李茉莉役の張柏嘉は、1993年、廣西省 壯族自治區 南寧 出身、上海戲劇學院卒の女優さん。
陳正道&許肇任監督作品は、これの前にすでに『千年のシンデレラ』に出演。
演じていたのは、主人公の賀蘭靜霆を想い続ける狐族の塗山千花。
主演女優の宋茜(ソン・チェン/ビクトリア)より綺麗で演技も上手かった。
『摩天大樓』だと既婚者役なので、『千年のシンデレラ』より大人っぽく、勝ち気な雰囲気も。
水原希子を格段綺麗にしたような、ちょっとクセのある美人で、好きな顔。
◆馬小媛(マー・シャオユエン):丁小玲
摩天大樓 C棟 2307号室の住人。
不動産仲介業者 林夢宇の愛人。
林夢宇が持っている摩天大樓の合鍵を使い、二人で他人の部屋にこっそり入り、コスプレごっこをする等、林夢宇とはライトな関係をエンジョイ。
丁小玲のコスプレも、ドラマの見所の一つでしょうか。
丁小玲は、林夢宇の変態っぷりを面白可笑しく見せるためのキャラで、林夢宇からのプロポーズをお断りしたら、あとはもう用無しかと思いきや、終盤で意外にも、鐘美寶にとっての大切な親友であることが判明。
馬小媛は、1993年、江蘇省 南京出身、同地の三江學院 影視表演專業本科 卒。
かつて、ミス・ツーリズム・インターナショナルの中国地区大会で3位になったこともあるそうで、スタイル抜群。
陳正道&許肇任監督作品は、『千年のシンデレラ』からの続投。
前出の張柏嘉より出番は少なかったが、ガツガツとネタを掴もうとする編集者 汪萱という役で出演。
ハングリーな女豹系の役に起用されがち?
張柏嘉よりもっとずっとクセの強い顔立ちで、スタイルもいいから、欧米ウケ良さそう。
個性的で、私は好き。
◆金世佳(ジン・シージア):吳東
楊蕊森の恋人。
仕事のことで頭がいっぱいの楊蕊森が、デートに大幅遅刻しても、すっぽかしても、心の中で傷付きながら、顔で笑って、彼女を許す、超イイ人!
「女友達たちからは、あんなイイ人いるわけない、非現実的だと言われたけれど、この吳東は、『摩天大樓』の3人の監督の内の一人を参考に創ったキャラだから」と陳正道監督。
どうやら吳東のモデルは、楊蕊森役の楊子姍の夫である吳中天ということらしい。
◆馬小媛(マー・シャオユエン):丁小玲
摩天大樓 C棟 2307号室の住人。
不動産仲介業者 林夢宇の愛人。
林夢宇が持っている摩天大樓の合鍵を使い、二人で他人の部屋にこっそり入り、コスプレごっこをする等、林夢宇とはライトな関係をエンジョイ。
丁小玲のコスプレも、ドラマの見所の一つでしょうか。
丁小玲は、林夢宇の変態っぷりを面白可笑しく見せるためのキャラで、林夢宇からのプロポーズをお断りしたら、あとはもう用無しかと思いきや、終盤で意外にも、鐘美寶にとっての大切な親友であることが判明。
馬小媛は、1993年、江蘇省 南京出身、同地の三江學院 影視表演專業本科 卒。
かつて、ミス・ツーリズム・インターナショナルの中国地区大会で3位になったこともあるそうで、スタイル抜群。
陳正道&許肇任監督作品は、『千年のシンデレラ』からの続投。
前出の張柏嘉より出番は少なかったが、ガツガツとネタを掴もうとする編集者 汪萱という役で出演。
ハングリーな女豹系の役に起用されがち?
張柏嘉よりもっとずっとクセの強い顔立ちで、スタイルもいいから、欧米ウケ良さそう。
個性的で、私は好き。
◆金世佳(ジン・シージア):吳東
楊蕊森の恋人。
仕事のことで頭がいっぱいの楊蕊森が、デートに大幅遅刻しても、すっぽかしても、心の中で傷付きながら、顔で笑って、彼女を許す、超イイ人!
「女友達たちからは、あんなイイ人いるわけない、非現実的だと言われたけれど、この吳東は、『摩天大樓』の3人の監督の内の一人を参考に創ったキャラだから」と陳正道監督。
どうやら吳東のモデルは、楊蕊森役の楊子姍の夫である吳中天ということらしい。
インタヴュでその事をふられた楊子姍は笑うだけで肯定はしていないけれど、どうやら吳中天は相当イイ人のようだ。
吳東はドラマにほんのちょっとしか出てこない人物だけれど、私は大好きなんですよねぇ~。
そもそも、その吳東を演じている金世佳が好き。
身長189センチでもっさり控えめな顔立ちの金世佳は、大柄地味男子好きにはタマラナイものがある。
日本に入って来ている出演作が少ないのため、知名度イマイチだが、上海戲劇學院卒業後、日本に留学し、日本語が喋れることから、2019年末、NHKのスペシャルドラマ『ストレンジャー~上海の芥川龍之介』に出演したから、知らず知らずの内に金世佳を見ている人は結構いるはず。
共産党設立メンバーの一人、李人傑/李漢俊(1890-1927)の役で出演していたのが金世佳。
自信の微博の背景が、まさかの田村正和づくしという変なところも含めて、好き。
お衣装
スタイリングを担当しているのは、やはり陳正道監督絡みのお仕事が多い、台湾出身の葉竹真(ジュエル・イエ)。
『摩天大樓』は、都市を舞台にした現代劇なので、お衣装に特別豪華な物や変わった物はない。
気になったのは、劇中登場する初めて名前を聞くブランド。
それが出てくるのは、建築家 林大森のエピソード。
新しいお洋服を買ってきた妻 李茉莉に「これ、どこの?シャネル?ルイヴィトン?」と取り敢えず知っている名前を挙げた林大森に対し、妻の李茉莉は、あなたファッションの事なにも知らないのねと言わんばかりに、「シャネルやルイヴィトンは愛人に贈る服。私のこれは、Gazeau(ガズー)!」。
こうしてファッションを学んだ林大森は、よせばいいのに、妻とお揃いのそのガズーを早速買って、愛人 美寶にプレゼントしちゃったから、妻と愛人が同じ服で鉢合わせして窮地に立たせれる。
その“ガズー”、聞いたことないと思ったら、やはり架空のブランドであった。
ストライプのニットのあのワンピースは、実際には、トリーバーチ、2020春夏コレクションの物。
もう一つのプレゼント、ネックレスのブランド“ボシューン”(笑)も架空のジュエラー。
実際には、ブシュロン。
具体的には、ブシュロン Serpent Bohème(セルパンボエム)シリーズの18Kホワイトゴールドのネックレス。
テーマ曲
『摩天大樓』のテーマ曲は珍しく洋モノ。
Philip Hallounというデンマークの男性シンガーソングライターが作詞作曲し、Aila Gatoという女性シンガーとデュエットした<You & I>。
毎話最後にこれが流れると、物語の余韻に浸れる、とても『摩天大樓』の雰囲気に合った曲。
この曲に関して検索すると、やたら中国語の情報ばかり出てくるし、プロデューサーが中国人、権利を持っているのも中国の会社みたいなので、世界的に知られる曲というより、『摩天大樓』のため、もしくは中国市場向けに作られリリースされた曲なのかも。
なお、最終話だけはエンディング曲が違い、フランツ・リスト作曲のピアノ曲<愛の夢 Liebesträume>が流れる。
日本のお仕事
1)邦題
私は、中華作品の場合、基本的に、邦題は原題のままにすべし、サブタイトルも不要と思っているのだが、このドラマの場合、そのまま『摩天大楼』にしていたら、もしかしてネットの検索で摩天楼(高層建築)関連の情報があれこれ引っ掛かり、紛らわしくなっていたかも知れませんね。
そこで『摩天楼のモンタージュ』。
最初は、良いとも悪いとも何とも思っていなかったけれど、実際にドラマを観たら、作品の構成を上手く捉えた「なるほど」と納得できる邦題であった。
2)エンドクレジット
エンドクレジットも消さずに全て流してくれており、こちらも合格。
お陰で、詳細な情報を得ることができました。
(『摩天大樓』はエンディングがただの黒背景なので、消せなかったという事情があったのかも知れない。もしそうなら、これから中国のドラマのエンディングは、日本の配給会社にクレジットを隠蔽されないよう、全て黒背景にして欲しい。)
3)人名の表記
ここまで全て日本のお仕事を高く評価したが、やはりパーフェクトとはいかなかった。
日本語字幕で、人名を片仮名で表記したことで、大・減・点! 日本のお仕事に喝っ!
登場人物が、ワン(王)、チェン(陳)、リン(林)の3人だけの作品なら、片仮名表記にも耐え得るであろう。
しかし、『摩天大樓』ほど登場人物が多い群像劇で、しかもミステリーなのに、ジョン(鐘)、ジュン(俊)、シェン(沈)、イエ(葉)、イエン(厳)、リー(李)、リン(林)…と大量の片仮名を羅列し、わざわざ紛らわしくするなんて、有り得ないから!
名前の表記は、例え現代劇でも、“漢字+ルビ”にすべし、絶対に…!
日本はここ数年で中国の時代劇を観る人が激増し、漢字で表記された名前で問題が起きないことは、すでに実証済み。
昔の人や政治家なら漢字で、現代一般人は片仮名なんてナンセンス。
それにね、主人公の刑事“鐘(Zhong)が”“ジョン刑事”とか、変だし。
普通の日本人が“ジョン刑事”と見たら、西洋人の“John刑事”を想像する。
字幕の中で“ジョン刑事”と見る度に、私の脳裏に『刑事ジョン・ブック』のハリソン・フォードが現れ、気が散った。
以前は、中国語作品でも、英語翻訳者が英語のテキストから訳すことが多かったから、名前の片仮名表記も致し方なかった。
現在でも、英語翻訳者が翻訳した中国語作品はあるけれど、字幕を見れば、大抵バレる。
ましてや、機械による自動翻訳などお話にならない。
人名をきちんと“漢字+ルビ”で表記することは、「うちはちゃんとした中国語翻訳者に訳させています」と配給会社が強いコダワリがあることを示せ、英語翻訳者を使っているコダワリのない会社や、大量消費型配信作品との差別化を計ることにも繋がります。
2話完結の短篇を繋げたオムニバス感覚でサクサク観進めた。
ラストの2話では、それまでの14話、7つのエピソードの中に張られた伏線をガンガン回収。
と同時に、勧善懲悪とまではいかないが、“公平な法律のもとでは、悪人が罪に問われず、善人が泣き寝入りするしかない”という何ともモヤッとする理不尽を解消して、事件は幕引きするから、後味が案外軽やか。
謎解きミステリーとして以上に、一見普通の都市生活者である鐘美寶をはじめとする登場人物たちの、外からは分かりにくい素の顔や過去を紐解く人間ドラマとしての側面が、私にとっては面白かったのかも。
そこら辺の面白さは、陳雪による原作が、“摩天大樓という高層住宅=社会に生きる人々を描く群像劇”という意識で書かれた小説であるからかも知れない。
また、そのような小説を、ミステリー仕立てにし、広い層が観易い娯楽ドラマに作り直している手腕も巧いと感じる。
林志堅(チャーリー・ラム)が撮影を担当した映像も良し。
林志堅は、私が好きな作品をいっぱい撮っている香港のカメラマン。
陳正道監督御用達というだけではなく、『イザベラ』(2006年)など彭浩翔(パン・ホーチョン)監督作品で知られる。
あっ、念のため確認ですが、古い写真に写っている父親から暴行を受けた白いレースの服を着た少女は、弟の阿俊だった、という認識で合っています?
あともう一つ、どうでもいい事で気になったのは、鐘敬國&楊蕊森が勤務する警察の外壁に書かれた“双和市公安局曼城分局刑事侦察支队”の下に記された英文表記が“Manche Criminal Police”になっていたこと。
“Mancheng(曼城)”の最後の“ng”が落ちているのですが…。
中国人がわんさかいるドラマ制作の現場で、誰も気付かないわけがないから、敢えて“ng”を入れなかったことに何か意味があるのではないかと勘繰ってしまう…。
私の個人的な好みでは、wowowがこれの前に放送した『バッド・キッズ 隠秘之罪~隐秘的角落』の方が格段上。
でも、普段、ラブ史劇や偶像劇しか観ない人々は、『バッド・キッズ』を重く感じる可能性がある。
そういう人々にもお薦めなのが、こちらの『摩天大樓』。
『バッド・キッズ』は大傑作だが、より広い層が気軽に楽しめるドラマは『摩天大樓』の方だと思う。
『摩天大樓』を観たら、間も無く中国で公開される『秘密訪客~Home Sweet Home』も、久々に日本に入って来る陳正道監督の映画作品になりそうな気がしてきたけれど、どうでしょう。
『秘密訪客』は、監督が『花蓮の夏』の陳正道(レスト・チェン)、脚本担当が『摩天大樓』の殳俏(シュー・チャオ)、大人のキャストが香港明星 郭富城(アーロン・クォック)と映画ファンからの支持が高い段奕宏(ドアン・イーホン)、子供のキャストが『バッド・キッズ』の榮梓杉(ロン・ズーシャン)と王聖迪(ワン・ションディー)や、岩井俊二監督の『チィファの手紙』にも出た張子楓(チャン・ズーフォン)と、今の日本で映画好き、ドラマ好きのどちらもが反応しそうな顔ぶれが揃っている。
どうなのコレ、面白いのかしら…?※
(【※ 追記】映画『秘密訪客』、現地中国でイマイチだった模様。)
そしてwowowでは、明日、2021年4月29日(木曜)から『ロング・ナイト 沈黙的真相~沉默的真相』。
これは楽しみ。
(でもね、最近のwowowは、他の中華ドラマが壊滅的…。『恋した彼女は宇宙人~外星女生柴小七』なんてホームドラマチャンネルでやりそうな偶像劇は、余分にお金を取る局がわざわざ放送するドラマじゃないから…。しかも、主演女優の名前の誤表記が正されていない。)
(【※ 追記】映画『秘密訪客』、現地中国でイマイチだった模様。)
そしてwowowでは、明日、2021年4月29日(木曜)から『ロング・ナイト 沈黙的真相~沉默的真相』。
これは楽しみ。
(でもね、最近のwowowは、他の中華ドラマが壊滅的…。『恋した彼女は宇宙人~外星女生柴小七』なんてホームドラマチャンネルでやりそうな偶像劇は、余分にお金を取る局がわざわざ放送するドラマじゃないから…。しかも、主演女優の名前の誤表記が正されていない。)