華流

台湾ドラマ『アリスへの奇跡~給愛麗絲的奇蹟』

アリスへの奇跡

賀霆宇は、凱達格蘭樂團の首席ヴァイオリニスト。 
カリスマ的人気を誇るが、気難しい性格で、周りは手を焼いている。
そんな霆宇に憧れ、姉のツテで樂團の仕事を手伝うようになった藍蝶菲に、早速災難が降りかかる。
なんと霆宇が大切にするヴァイオリンが失くなり、蝶菲に疑いの目が向けられたのだ…。
一方、演奏のアルバイトで日銭を稼ぐアマチュアのヴァイオリニスト陳海傑は、ある日、観光で台湾を訪れていた“アリス”と名乗る日本人女性と出逢い、ふたりは短い時間でみるみる惹かれ合っていくが…。
 

2012年8月、ホームドラマチャンネルでスタートした台湾ドラマ『アリスへの奇跡~給愛麗絲的奇蹟』が、2013年1月末、ついぞ盛り上がることの無いまま全24話の放送を終了。

よく最後まで観たと感心する。これこそ奇蹟。スゴイわ、自分。 
今回は感想スルーしようかと思ったが、いやいや、こんなに頑張って観たのだから、その証拠をザッとでも記録しておこう。 

★ 概要

監督したのは、王麗文(ワン・リーウェン)。 
日本のサイトに“ワン・リーウェン”と片仮名で書かれた名前だけを見て
映画『父の初七日』の主演女優・王莉雯(ワン・リーウェン)かと思った。
その王莉雯も、偶像劇の脚本を手掛けているので、今度は監督したのかナ、と。
実際に監督した王麗文の方は、日本では北京語の発音で紹介されているが、これまでに『美麗分貝』、『愛上單眼皮男生』といった大陸ドラマを手掛けた香港の監督、Lemmon Wong(レモン・ウォン)と同一人物思われる。 
恐らく私は監督作品を観たことが無いので、手腕は未知数。
 
一日本人としては、本ドラマが台湾のみならず、愛媛県松山で撮影されていることに注目。 

★ 物語

凱達格蘭樂團でカリスマ的人気を誇る孤高のヴァイオリニスト賀霆宇、後に賀霆宇のオーケストラに入団することになる同じくヴァイオリニストの陳海傑、賀霆宇に憧れ、オーケストラの裏方になるが、優しい陳海傑に密かに片想いする藍蝶菲、陳海傑がずっと想い続けている音信不通の日本人女性Aliceにそっくりな伊藤聖子。
そんな4人の男女のすれ違う想いをクラシック音楽の調べにのせて綴るミステリアスなラヴストーリー
 
 
うーン…。
幻想的なお話と表現すれば聞こえは良いが、ハッキリ言って不可解でモヤモヤする。 
オーケストラを舞台に、夢と挫折を繰り返す若い男女の四角関係の物語に収めておけば良いものの、『不思議の国のアリス』を髣髴させる少女とウサギの神秘的な出逢い、紛失した名器の行方、母の愛に飢え心に深い傷を負う天才芸術家、オーケストラの怪しい運営、3ツの名前を持つ素性不明の日本人女性、彼女を追う謎の集団、歌の才能を見い出された平凡な女の子、スター誕生を演出する芸能界のキタナイ裏事情、主人公の姉の不倫などなど、「これでもかーっ!」てほど詰め込み過ぎで、フォーカスぼけぼけ、どこの部分を取っても消化不良。
 
名器“海鷗(シーガル)”が消え、新たに別の名器“海妖(セイレーン)”を求め、日本へ旅立った時は、映画『レッド・バイオリン』のように、“所有する者を数奇な運命に巻き込む”ヴァイオリンを巡るミステリーに進展するのかと予想したが、その後、いつの間にかヴァイオリンはどうでもいい存在に格下げされていた…。
 
一番割愛して欲しかった部分は、神秘的な日本人女性と、どういう事情でか彼女を追う謎の集団のくだり。
今どき、あそこまで現実離れした話は、観ていてゲンナリさせられる。

★ キャスト①~メイン

 アリスへの奇跡
炎亞綸(アーロン):賀霆宇~心を閉ざした凱達格蘭樂團首席ヴァイオリニスト
 
「アイラインは入れていない!」と本人も言っているが、確かにアップで見ても、目元がナチュラルで、女子も羨む長いまつ毛がバッサバサ。
その代わり、今回は、「アイブローペンシル何本使い切ったの?」と尋ねたくなるくらい眉毛をコッテリ描き込み、ゴルゴ13化していたけれど…。
美男子であるため、影の有る青年役ばかりオファーされるのか、どのドラマで見ても目新しさを感じられないのが残念。亞綸クン、素材は良いのに、役になかなか恵まれない。
ただ今回は見所もあり、3歳から習っているピアノの演奏を披露。ピアノを弾ける男子って素敵。
吹き替えているヴァイオリンも、かつての台湾偶像劇と違い、型はそれらしく様になっている。
 
 
梁心頤(ララ・リャン): 藍蝶菲~海傑に片想いする不器用な女の子 実は美声の持ち主
 
周杰倫(ジェイ・チョウ)プロデュースのユニット南拳媽媽のヴォーカリストとして頭角を現した梁心頤が、珍しく偶像劇に出演。
すでにシンガーとして人気を博している地元台湾では「あの梁心頤がドラマに!」と話題になるだろうが、彼女の知名度が低い日本だと、「なんでこの子が私の亞綸の相手役?!」と納得できない人も多いのでは。
ロシア系アメリカ人の父を持つ混血の割りに、脇役女優より背が低いし、大顔(取り分けアゴが目立つ)。
透明感のある声は相変わらず綺麗なのだけれど、みすみす日本での放送を視野に入れていたドラマなら、もっと分かり易い美人を主役にした方が、日本ウケは良かったかも。
 
 
修杰楷(シュウ・ジエカイ):陳海傑~突然消息をたったAliceを待ち続ける純粋なヴァイオリニスト
 
修杰楷、結構好き。なんか純朴で、めっちゃくちゃハンサムじゃないのが良い。
相変わらず安定した演技だし、イイ人役はお手の物。 特に言う事ナシ。
 
 
周采詩(チョウ・ツァイシー):伊藤聖子/Alice/飛鳥文~謎の日本人女性3人は同一人物?!
 
大学で日本語文学を専攻し、プロフィールにも日本語を喋れると書いていた周采詩なので、彼女の日本語能力はずっと気になっており、日本人に扮する本ドラマは楽しみにしていた。
実際のとこ、日本育ちの日本人を演じるには相当無理が有るが、長台詞もよく頑張って覚えたと感心する。
日本語のあの訛りは、東京育ちの私には分からない愛媛訛りなのだろうと解釈しておきマス。
それより、可愛かったAliceが、どギツいメークのグレた伊藤聖子になって再登場したのには、意表を突かれた。悪役女子プロレスラーのリング用を思わせるメークの“やり過ぎちゃった感”に絶句。
周采詩は、『ホット・ショット~籃球火』でも滑稽な出で立ちで登場していたし、美人ゆえ、ただの“お飾り”で終わらないために、故意に不思議キャラを演じるよう心掛けているとか??
 
 
この4人のキャスティング、悪くない。 
と言うのも、台湾だと、「うわっ、大好きな梁心頤が、ドラマで炎亞綸の相手役♪」と喜ばれるだろうが、梁心頤人気が特別高くない日本だと、「まさか梁心頤がオイシイ所を持っていく訳が無いわよねぇ? 美男の相手役は、やっぱり美女の周采詩よねぇ…?!」と勘繰ってしまい、4人がシャッフルされ、最終的に誰と誰がくっ付くのか、先が読みにくくなるから。 

★ キャスト②~その他

脇で気になる出演者も3人だけ挙げておく。
 
アリスへの奇跡

楊貴媚(ヤン・グイメイ):金莉莎~かつて日本に暮らし 今はAlice Caféを経営する世話好きな女性
 
映画の印象、特に蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督作品での印象が強いベテラン女優・楊貴媚。
実際には、ぼちぼちドラマもやっているようだが、日本で放送される台湾偶像劇にはあまり出ていないので、変わったキャスティングだと思った。
ただ、アート系の映画で見ると個性的な女優と感じるが、こういうチープな偶像劇で見るとピンと来ない。
化粧が古臭いのかしら。 特に口紅の塗り方とか。なんか青江三奈っぽいのよ。
<伊勢佐木町ブルース>が十八番の場末の酒場のママみたい。
 
 
林立洋(リン・リーヤン):唐晉滄~凱達格蘭樂團の総監督 蝶菲の姉と不倫中
 
香港では林利(ラム・レイ)の名で活動する林立洋。
今回演じている唐晉滄は、いい年してお洒落に力が入っている中年の色男で、娘ほどの若い女性と不倫して、それでも他の部分で誠実ならまだマシだが、仕事でも裏で何やらキタナイ手を使っているようで
言うなれば、“腹黒くなった石田純一”って感じ。
 
 
加賀美智久:SJ 佐々木~製薬会社の二代目で伊藤聖子の婚約者
 
久し振りに見た、台湾を拠点に活動する日本人のモデルで俳優の加賀美智久。
たどたどしい中国語で、素に近い“イイ人”を演じていたこれまでのドラマと違い、今回は悪役に挑戦。
異国で頑張っている日本人を応援したい気持ちは山々だけれど、外国語の台詞を喋らなければならないハンデを考慮しても、あの言い回し、あの演技はマズイ…。
芝居好きな素人が自主製作映画で演じる悪代官様のような、絵に描いた悪役を作り込み過ぎ。 

★ 主題歌

最後に主題歌。 梁心頤が歌うオープニング曲<夢織花園>ではなくここには、炎亞綸が歌うエンディング曲<原來>を。亞綸クンお得意の泣かせるバラード。
 

 
  


 
音楽と言えば、登場人物たちがクラシックを演奏する際、曲名と作曲者名がテロップで出るのが良い。
映画やドラマでBGMが流れ、知っているはずなのに、曲名がなかなか出てこないことが結構有るので、イライラ防止になる。
ちなみに、本ドラマの原題(の一部)『給愛麗絲』は、ベートーヴェンのピアノ曲<エリーゼのために>の中文タイトルでもある。 (他にも<献給愛麗絲>、<致愛麗絲>といった表現あり。)
日本語だと、Elise(エリーゼ)とAlice(アリス)は区別されるけれど、中文だとどちらも“愛麗絲”でいいみたい。
したがって、『不思議の国のアリス』の要素を取り入れた本ドラマの最終回、海傑が病院の外で、手術中のAliceのために<エリーゼのために>をヴァイオリン演奏したのであろう。(…って事は、本ドラマの真の主人公は、海傑とAlice?)
 
それにしても、あぁ~ぁ、せっかく日本が関わっているのだから、願わくば面白いドラマであって欲しかった…。 
炎亞綸ファンは、“炎亞綸プロモーション映像”だと割り切れば、楽しめるだろうが、それ以外の人で、純粋にこのドラマにハマれた人って、どれくらい居るのだろう。
こういう事を書くと、また飛輪海(フェイルンハイ)ファンから怒りのコメントが入りそうだが、“飛輪海関連ドラマに良作少なし”は、私の中で、もはや定説ヨ。
どんな駄作でも「面白い!」、「○○カッコイイ!」と盲目に支持してくれるアイドルのファンに頼っていたら、作品の質は落ちるばかり。
日本の業者も、そういうファンをアテにして、作品を買い、来日イベントをエサに、高いDVDを売り付ければ、それなりに元は取れるのかも知れないけれど、台湾ドラマ全体の評価は下がるだけ。
 

さて、ホームドラマチャンネル、今晩からこの枠は『私たち恋しませんか?~原來愛・就是甜蜜』を放送。
裸でもTシャツ着ているみたいに見える極道もノケ反る王陽明(サニー・ワン)の刺青に、今のところドン引きしている私だが、ドラマを追う内に、「王陽明ステキ♪」となるのだろうか…?

台湾ドラマ『晴れのち女神が微笑んで~美樂加油』

晴れのち女神が微笑んで

子供の頃、両親が離婚した查美樂は、自分を引き取ってくれた母に捨てられないよう一生懸命努力し、数々の資格も取得して、何でもこなす万能な女性に成長。
その万能ぶりが縁で出逢った優しい韓以風とは、順調に交際を続け、いつ結婚してもおかしくない仲。
美術教師として働く以風の夢が、自分のパン屋を持つことだと知ると、美樂はまたまた万能ぶりを発揮。
勤めていた会社をスッパリ辞め、パン職人の修行を積み、パン屋の営業許可証を取得し、有り金をはたいて店舗を押さえ、あれよあれよという間に開店準備を進め、以風を驚かす。

そんなある日、海外に暮らす以風の弟・以烈が台湾に帰国することに。
世話焼きの美樂は、忙しい以風に代わり、空港に以烈を迎えに行くが、以風は心配でならない。
なぜなら“J-King”の名で世界的に知られるミュージシャンの以烈は、気難しい芸術家肌。
案の定、初対面の以烈に傍若無人に振り舞われ、さすがの美樂もキレそうになるが…。


2012年4月末、ホームドラマチャンネルで開始した台湾ドラマ『晴れのち女神が微笑んで~美樂加油』が、9月末、全22話の放送を終了。 録画しておいた最終話をようやく観る。


★ 概要

監督は、台湾偶像劇としては当時新鮮だったチンピラ物の『アウトサイダー~鬥魚』で話題をさらい、最近は、それとはまたまったくタイプの異なる『君には絶対恋してない~就想賴著妳』をヒットさせた柯翰辰(コー・ハンチェン)
 
今回手掛けた本作品は、單飛雪(シャン・フェイシュエ)の小説<王的戀歌>のドラマ化。
オリジナル物かと思いきや、原作が有ったのか。
しかも台湾偶像劇に有りがちな日本のコミックではなく、台湾の人気女性恋愛小説家の作品をドラマ化しているというのが、ちょっと新しいかも。
 
★ 物語

主人公は、「ママに捨てられないため、役に立つ人間になる!」という子供の頃の思いが高じ、努力して何でもソツ無く熟し、人々に尽くす“お仕え体質”がしっかり染み込んでしまった女の子・查美樂。
身に付けていた技術のお蔭で、優しい教師・韓以風と知り合い、順調に愛を育み、ふたりの夢のパン屋さん“樂風麵包店”までオープンするが、元来のお人好しが裏目に出て、パン屋の従業員として雇ったしたたかな小悪魔・瑄瑄に、以風を取られてしまう。
そんな美樂が、何かと関わることになるのが、以風の実の弟で、有名ミュージシャンの“J-king”こと韓以烈。
芸術家肌で気難しい以烈とは、出会った当初から犬猿の仲であったが、徐々に関係に変化。
“お仕え体質”であった美樂に自信を持たせる以烈と、一見冷酷な以烈の真の優しさに気付く美樂が、互いに惹かれ合い、幾多の困難を乗り越え、幸せを掴むかまでを描いたラヴストーリー
 
 
最終的な美樂の恋のお相手がミュージシャン以烈であることは、最初から視聴者の知るところ。
でも、ドラマの前半で、美樂がお付き合いしているのは、以烈の実兄・以風。
美樂と以風は共にいわゆる“イイ人”同士のお似合いカップルなので、何がキッカケになって、美樂が以風から以烈に乗り換える事になるのか、先が読みにくい。そこら辺は、見どころかも。
 
一番度肝を抜かれたのは第17話。 
あと5話も残っているのに、メインキャスト以烈がまさかの御臨終…!
事故に遭い、運ばれた病院で、手当の甲斐も虚しく、無情にも医師から身内に心肺停止が告げられる。
それでも以烈の死を受け入れられない美樂が、周囲の制止を振り切り、涙ながらに必死の蘇生処置を施したところ、なんと以烈が、三途の川から引き返して来たのだから、二度びっくり!

もし実際に、ド素人の処置で死人が蘇生するような事態が起きたら、あそこまでハッキリ死亡を断定した医師は、社会で吊し上げられ、医師免許剥奪でしょー。以烈、危うく火葬場行きだったのだから。
この展開があまりにもキョーレツだったため、それまでの紆余曲折がすっかり吹っ飛んでしまった。
期待を裏切りませんわ、台湾ドラマ。

★ キャスト①~メイン

晴れのち女神が微笑んで

王心凌(シンディ・ワン):查美樂役~自分を犠牲にしてでも世のため人のために尽くす万能人間
 
ドラマは『桃花タイフーン~桃花小妹』以来の王小凌。 
私生活では最近、隋棠(ソニア・スイ)から姚元浩(ヤオ・ユエンハオ)を略奪したと小悪魔の烙印を押されたが、本ドラマでは、小悪魔に婚約者を略奪される側を演じる。
“Before略奪”では、婚約者とお揃いの黒縁メガネをかけた真面目女子、“After略奪”では、婚約者を見返そうとイケてる女に大変身。
また人助けで、ボブのウィグを装着し、自分に瓜二つだったという亡き何言沁に化けるなど、本ドラマでは王心凌3変化が楽しめる。
台湾芸能で1、2を争うと思われる、毛穴皆無の真っ白な美肌も相変わらずで、目が釘付け。
 
 
賀軍翔(マイク・ハー):韓以烈役~両親との間に深い溝がある孤独な有名ミュージシャン“J-King”
 
またまた出ました、私が苦手とする、が、が、が、賀軍翔(が・ぐんしょう)…!
演じているのは、浜崎あゆみからの作曲依頼も断った大物という設定の世界的ミュージシャン“J-King”。
基本的には、作曲を生業にしているようだが、劇中、賀さん自身が歌う<心中的花園>も挿入歌としてしばし流れる。
これが結構キツイ。前から思っていた事だが、賀さん、歌は「・・・・。」よねぇ…?
まぁ、相変わらずどうも苦手な賀さんではあるが、本ドラマで一番感情移入したのは、彼が扮する以烈であった。
そろそろ兵役につくことが噂される賀軍翔は、退役後が正念場。
兵役を悲しむファンも多いだろうが、茶髪と歌を封印し、アイドルからオトナの実力派へステップアップするなら、これが良い転換期と思われる。
  
 
施易男(シー・イーナン):韓以風役~美樂の最初の婚約者で、以烈の実兄
 
おぉぉ~、懐かしのアイドル施易男!通称“ヤスオ(易男)”。
最近出演作をまったく観ていなかった私にとっての施易男と言えば、大好きな映画『ラブ ゴーゴー』
『ラブ ゴーゴー』では、飛び込み営業をしても、なかなか防犯グッズが売れない、気弱なセールスマン阿松を演じていたが、15年近い歳月が流れても、ヘタレっぷりは相変わらず。
本ドラマで演じる、優しいけれど優柔不断な以風は、“その後の阿松”と思えなくもない。 

★ キャスト②~ちょっとイラッとさせてくれる女たち

晴れのち女神が微笑んで

張家寧(ミシェル・チャン):郭瑄瑄役~以風に接近する樂風麵包店スタッフ
 
“鄭元暢(ジョセフ・チェン)&張孝全(ジョセフ・チャン)現象”と同じで、片仮名表記にすると、『あの頃君を追いかけた』の陳妍希(ミシェル・チェン)と名前が紛らわしいので要注意。
ポスト安以軒(アン・アン)とも呼ばれる彼女は、私生活では、不動産業を営むお金持ちのパパを持つお嬢様なのだとか。
お嬢が恥じらいを捨て、ポールダンスとは、頑張った。
本作品では、男をたぶらかす計算高い小悪魔を演じたため、女性視聴者を敵に回したかも知れないが、人懐っこい大きな瞳とムッチリ体型は、ちょっとヲタ気味の男性にウケそうな気がする。
 
 
小薰/黃瀞怡(シャオシュン/アルビー・ホアン):韓以霏役~悪い男に孕まされ捨てられた韓家の末娘  

このドラマで見ても、いまいち良さが分からなかったが、彼女一応黑Girlの人気アイドルなのよねぇ…?
一番の問題は、1989年生まれ、まだ23歳と若い小薰扮する韓以霏が、上のふたりの兄より老けて見えるという事ではないだろうか。
 
 
柳岩(リウ・イエン):楚少茵役~密かに以烈に想いを寄せる彼のやり手マネージャー
 
日本では普通、娘に“岩(いわ)”なんて名付けない気が…。中国語のそういう感覚が分からない。 
その大陸セクシー司会者・柳岩は、巨乳を封印し、お色気控え目に知的な敏腕マネージャー役で出演。
顔立ちが独特なのか、台湾キャストの中に入ると、ひとりだけ異なる“The 大陸”な雰囲気を醸す。
衣装に問題が有ったのか、セクシータレントの割りに、足が太くスタイル今一に見えたのは残念。
映画『画皮~あやかしの恋』にも、確か化粧品店の客の役で、チラッとだけ出ていたが、そちらの古装の方が、しっとり艶やかで綺麗であった。 

★ ロケ地

晴れのち女神が微笑んで

ドラマの重要な舞台となる美樂と以風のパン屋さん“樂風麵包店”の看板に、明らかに別の店名が。
そう、ここは、台北に数店舗展開する実存のパン屋さん多柏思 Dobosの大安店。
低予算でセットが組めない事情は分かるが、それにしても、もう少しマシな誤魔化し方は無かったのか。
上から模造紙貼っただけ?学園祭並みの手作り感に「台湾偶像劇よ、期待を裏切らないでくれて有り難う」。
 
多柏思 Dobos (大安店)
台北市 大安路 二段 68號
 

 晴れのち女神が微笑んで
J-Kingこと韓以烈が、音楽の才能だけで築いたミュージック御殿は、パン屋よりさらに露骨。
壁面に思いっ切り“海田行館”というお宿の名前が出ており、それを隠そうという努力さえしていない。
 
海田行館
宜蘭縣 五結鄉 公園二路 27巷 36號
 


 晴れのち女神が微笑んで

お宿と言えば、第13話、騒ぎを避け、大陸は杭州へ飛んだ美樂と以烈がお泊りするホテルは忘れ難い。 
近年杭州には高級リゾートホテルがどんどん増えているが、ここはあのバンヤンツリー
趣きのある江南様式の街並みを髣髴させる環境に建ち並ぶヴィラタイプの部屋を、以烈は音楽界の成功者らしく、自分と美樂それぞれのために、向かい合わせに2棟予約。 贅沢。
 
杭州西溪悅榕莊 Banyan Tree Hangzhou
浙江省 杭州市 西湖区 紫金港路 21号 

★ テーマ曲

シンガーでもある主演女優・王心凌は、オープニング曲もエンディング曲も担当。
ここにはエンディングの<黏黏黏黏>の方を。
(飴のように)ベタベタベッタリ~、という“甜蜜教主”王心凌らしいタイトルの甘ぁ~いラヴソング。
日本人にも口ずさみ易い「愛、愛、愛~(あい、あい、あ~い)」というザビがキャッチー。
MVのお相手役は、本ドラマにも本人役でゲスト出演しているLollipop-Fの敖犬(アオチュエン)。 
 

 
 



台湾のドラマを観ていて、たまに思うのだけれど、台湾の人々って、食パンが好きよねぇ…?!
焼かずにそのままムシャムシャ食べるシーンを、しばしば見掛ける。
わざわざパンをテーマにしたドラマを撮るなら、クロワッサンとかバゲットとか、もっと絵になって、視聴者に「美味しそう♪」と思わせるパンが他に有りそうだが、それでもやっぱり地味に食パンなわけね。
 
他にドラマの中で気になった食べ物はキウイ。 
日本人が“台湾”と聞き、真っ先に思い浮かべるフルーツは、恐らくマンゴーかバナナだろうが、このドラマは、日本でもお馴染み、ニュージーランドのZespriが提供しているらしく、キウイを台湾偶像劇史上最多登場させ(?)、スポンサー様への誠意を表している。
 
ツッコミ所満載で、実は結構面白いお話なのに、キャスティングがあまり私好みではなかったのが残念。
このドラマを、別のキャストで作り替えたら、もっと魅力的なものに変わりそう。
逆に、パッとしないキャストで、ここまで見せてくれたのだから、それなりに評価して良いのかも。
登場人物の名前が、漢字+片仮名ルビだったのも高評価。
 
邦題はねぇ、「・・・・・。」  
『晴れのち女神が微笑んで』、『晴れのちボクらは恋をする~幸福最晴天』『最後はキミを好きになる!~醉後決定愛上你』、『僕らはふたたび恋をする~真心請按兩次鈴』…。
最近の台湾ドラマの邦題に混乱し、ひとつも記憶していないのは、私だけ?
この手の邦題をつける配給会社の担当者って、ホイチョイ・プロダクション世代でしょ?
『私をスキーに連れてって』とか『彼女が水着に着がえたら』みたいな(笑)。
  
ホームドラマチャンネル、木曜深夜のこの枠は、今週から『マジに君に恋してる~粉愛粉愛你』を放送。

台湾ドラマ『最後はキミを好きになる~醉後決定愛上你』

最後はキミを好きになる

林曉如は、ホテルのレストランでチーフを務める26歳の女の子。
今度のラスベガス旅行で、パイロットの恋人・任以翔からプロポーズされること間違いなし!
宋杰修は、30歳の有名インテリアデザイナー。
マスコミにバレぬようコッソリ交際を続けているモデルの唐艾薇に、遂にプロポーズをするつもり。
ところが、林曉如も宋杰修も、マサカの撃沈。
バーでそれぞれヤケ酒をあおっていたところ、似た境遇の者同士で意気投合。
酔った勢いで結婚してしまう。
酔いが醒め、焦ったふたりは、即離婚手続きをしようとするが、モデルの唐艾薇から待ったがかかる。
この仮面夫婦をマスコミからの隠れ蓑に、宋杰修とこっそり交際を続けようと考えたのだ。
唐艾薇から懇願され、林曉如は100万元の報酬と引き換えに、宋杰修と3ヶ月限定の契約結婚をすることになるが…。

 
BS日テレで2012年2月にスタートした台湾ドラマ『最後はキミを好きになる~醉後決定愛上你』が、10月、全30話の放送を終了。

★ 監督

監督は、『ラヴスタイリスト~愛情魔髮師』『ハートに命中!100%~決定注定我愛你』など、話が二転三転するジェットコースターストーリーでお馴染みの陳銘章(チェン・ミンチャン)
 
数々のヒットドラマを世に送り出した陳銘章監督だが、本作品が放送開始される前の2010年10月、当時手掛けていたドラマ『我和春天有個約会』を上海で撮影中、爆破事故が起き、主演の任家萱(Selina/セリナ・レン)が全身大ヤケド。
陳銘章監督は、説明や謝罪が遅れたことで、大批判の的に。 
一時期台湾では、ヒットメーカーから無責任男に転落したが、幸い日本での知名度は無いに等しいので、ドラマの放送にも支障ナシ。

★ 物語

パイロットの恋人・任以翔に第二の女が出現し失恋した林曉如、キャリアを優先するモデルの恋人・唐艾薇から結婚を拒まれた宋杰修。
赤の他人にも関わらず、フラれた者同士で意気投合し、酔った勢いで結婚。
正気に戻って離婚しようとするが、この結婚を歓迎したのが、意外なことに宋杰修のモデルの恋人・唐艾薇。
宋杰修が表向き林曉如と夫婦でいてくれれば、マスコミの目を逃れ、彼と交際が続けられると考えたのだ。
期間3ヶ月、報酬100万元で契約結婚に同意した林曉如は、宋杰修との仮初めの結婚生活を始める。
そんなふたりが仮面夫婦から契約無期限のホンモノの夫婦になるまでを描くラヴコメディ
 

愛も無いのに諸事情から契約結婚をした男女に真の愛が芽生え、幾多の困難を乗り越え、“嘘から出たまこと婚”に至るという物語の基礎は、陳銘章監督の『ハートに命中100%』と何ら変わりない。
男性主人公が女性主人公より社会的地位の高いお金持ちで、そんな彼に相応しい美人の恋人がいるのも同じ。
だが、その美人の恋人が、『ハートに命中』の美人恋人より利己的ななかなかの策士で、自分の恋人と第三者との契約結婚を積極的に勧めるのが異なる点 (→後に“自業自得”に陥る)。

他、大きな相違点は、本作品の場合、女性主人公が不憫なほどブスではない、という事か。
それなりに男性から好かれるいい子で、パイロット以外にも幼馴染みからも想いを寄せられる。

また、男性主人公、女性主人公どちらもが肉親と何らかの問題を抱えており、その解決がサイドストーリーとして描かれている。

★ キャスト

最後はキミを好きになる

楊丞琳(レイニー・ヤン)
:林曉如役~結婚寸前にパイロットの恋人に捨てられた明るく活発な26歳
 
早いもので、“可愛教主”ももうアラサー。 
成長した少女の口元に、もうフサフサのヒゲは無い。(今となってはあの口ヒゲが懐かしい。)
一般的に、老け顔に比べ、カワイ子ちゃんタイプは劣化し易いものだが、短くばっさりカットしたワンレンでこのドラマに臨んだ楊丞琳は、上手い具合に年を重ね、キュートな大人の女へのシフトに成功。
衣装もジーンズにハイヒールを合わせるなど、オトナ系カジュアル。
偶像劇出まくりの楊丞琳は、毎回こうして髪型やファッションを変え、視聴者を飽きさせない努力を続けているが、今回はヴィジュアル面のみならず、相手役に珍しい人材をもってきたことで、また新たな化学反応が生じ、楊丞琳自身の隠れていた一面も引き出された気がする。
 
 
張孝全(ジョセフ・チャン) 
:宋杰修役~モデルの恋人に結婚を拒まれた30歳のインテリアデザイナー
 
私が好きな“台湾の3人の張クン”のひとり、サル顔の張孝全が、久し振りに偶像劇らしい偶像劇に登場。
毎週テレビの中の張孝全に会える嬉しさも有るが、彼は台湾では数少ない映画俳優を目指せる若手実力派だと信じているので、今さら自分を安売りし、偶像劇などに出て欲しくなかったという思いもあり、ちょっと複雑…。
でも、このドラマがヒットした後も、ドラマ一辺倒にならず、我が道を行ってくれているので、結果的にOKとする。
この度の張孝全、演技はノリの良い偶像劇仕様。
髪型は、茶髪の韓流スタイルなどにせず、いつものままの短髪だし、お召し物も台湾偶像劇にしてはさり気なく、垢抜けている。
シャツ+ニット+ジーンズ、といった素の張孝全に近いシックなカジュアルは好印象。
比較的着用頻度の高い衣装で、どーーーしても受け入れ難かったのが、コレ(↓) 
 
最後はキミを好きになる

この画面越しにも安っぽい青いジャケットを着ていると、なんだか家電量販店の店員のように見える。
少なくとも、人気デザイナーじゃない…。
電卓片手に、今にも「現金払いならポイント20%付きますヨ」とでも言いだしそう。
 
 
許瑋甯(ティファニー・シュー) 
:唐艾薇役~モデルから女優への転身を狙う宋杰修の恋人
 
台湾は日本より“もろガイジン顔”の混血女優を好む傾向がある。
私は元々ガイジン顔女優が苦手なので、今回もついぞ許瑋甯の良さは分からなかった。
許瑋甯って、もたっとした下膨れで、目が普通のアジア人以上に小さな地味顔なのに、色素だけ欧米人並みに薄いから、変な顔に見えるのではないだろうか。
阮經天(イーサン・ルアン)の女の趣味が分からない…。 性格美人なのかもね。
 
 
白梓軒(トム・プライス) 
:向霆威役~艾薇にかつての恋人の面影を重ねる香港の人気俳優
 
演技をしている白梓軒をこんなにたっぷり見たのは初めて。
最初はちょっとギコチなく感じたが、その内慣れた。
扮するのは、最終的に許瑋甯とくっつく香港明星役。 
ハーフ同士の間に子供が生まれたら、血の比率は、その子もハーフよねぇ…?
もっとも許瑋甯は台湾+アメリカのハーフで、白梓軒は香港+イギリスのハーフなので、子供は台湾、香港、アメリカ、イギリスのクォーターか。
まぁ、このふたりが実際に付き合って子供を作ることはなさそうなので、考える必要も無い。
白梓軒出演作なら、同志片『安非他命~Amphetamine』を観てみたい。ゲイ役似合いそ~。

★ その他

最後はキミを好きになる

宋杰修の家は、プール付きの大きな一軒家。 
人気デザイナーらしく、ダイニングの照明には、ジノ・サルファティのシャンデリアをセレクトしたコダワリのお宅。
場所は、台北市松山區信義路6段112號という設定になっているが、台北の一等地にこのレベルの一軒家は、相当な稼ぎが有ったとしても、購入困難と思われる。

それもそのはず、ここは宜蘭。
卡幄汀休閒民宿 Kawoting B&Bというお宿で撮影。
日本人観光客でも、ちょっとお金を払えば、泊まり込み可能なロケ地。
 
◆◇◆ 卡幄汀休閒民宿 Kawoting B&B ◆◇◆
宜蘭縣 員山鄉 枕山村 坡城路 71-3號 
 

近年、台湾偶像劇に数多くの小道具を提供しているドイツの名門モンブランが、本ドラマにも商品供給。
万年筆は勿論のこと、女性が身に付けるアクセサリー類から男性の腕時計まで、右を向いても左を見ても、どいつもこいつもモンブラン。 
台湾偶像劇を観ていると、台湾が世界一モンブラン所持率の高い国に思えてくる。

今回、数あるアイテムの中で特に目立つのは…

  最後はキミを好きになる
杰修の腕にガッチリ付いている時計は、Nicolas Rieussec(ニコラ・リューセック)コレクションの物。
指輪を失くしてしまった曉如に、杰修が改めて贈るのは、Cabochon de Montblancシリーズのリング。
モンブランのシンボル、ホワイトスターをかたどりカボションカットにした半貴石をセッティングしたリング。曉如は、色違いで数本を重ね付け。
 


モンブランではないけれど、曉如がほぼ全シーンで身に付けているピアスも注目アイテム。
楊丞琳は、髪を短くしたことで、以前より耳のオシャレが目立つようになった。
ネットで“楊丞琳”と入力すると、勝手に“耳環(イヤリング)”と第2検索ワードが出てくる程、女子たちからの注目度は高い。
大陸ネット通販では、“楊丞琳も付けている!”の売り文句で、類似品が数十円の大特価で売られているからビックリ。
 
 最後はキミを好きになる
実はこれ、耳用ではなくへそピアス。 
おへそ用を耳に付けるのは、もう随分前から楊丞琳の定番で 、彼女は、このドラマと限らず、他でも少しずつデザインの異なるこの手のピアスを付けて出ている。
よって、本ドラマで着用の物も、自身のお気に入りの私物と推測。メーカーは不明。 
楊丞琳は、かなりの数のへそピアスを所持しているらしく、中には日本で購入した物も有るようだが、(嘘か本当か知らないが…)ほとんどは露店で購入したお手頃価格の物だという。
おへそ用は耳用に比べゲージが太いため、穴を広げないと着用出来ない。真似る方は気を付けて下さいませ。
  

 
最後に使用曲。
エンディング曲<好的事情>や挿入歌<又不是這樣就不孤獨>が収録された“台湾の爵(しゃく)ちゃん”こと嚴爵(イェン・ジュエ)のアルバム<不孤獨>については、こちらから。
ここには、本ブログに出したことの無いオープニング曲、Magic Power 魔幻力量の<不按牌理出牌>の方を。 
 

  




それぞれに思惑が有って、ハズミでした結婚を解消せず、互いに打算で繋がっていた仮面夫婦が、次第に心を寄せ、本来の恋人さえ邪魔な存在になっていく過程や、それでも表面的には冷静を装い、あやふやな関係を続ける頃が、観ていて一番ワクワク。
曉如と杰修の両想いがほぼ確定してしまった後は、多少の事が起きても、惰性でハッピーエンディングに向かっていると感じるせいか、気分の盛り上がりが落ち着いてしまったが、平均的に面白く、笑い有り、ホロリ有り、ツッコミ所有りの正しい偶像劇であった。
女性主人公に扮する楊丞琳は、見飽きるほど偶像劇に出ているが、オトナへのイメチェンや張孝全とのコンビが新鮮だし、ふたりの掛け合いもテンポが良くて、楽しい。
同時期に放送が重なった『王子様の条件~拜金女王』『画皮 千年の恋~畫皮』という強豪に(私の中の)No.1の座は譲ってしまったが、及第点は余裕で突破。
 
最終回はイマイチ。 
消えた60万元の行方を、わざわざ結婚式で明かす必要は有っただろうか。
それに、時間稼ぎとしか思えない回想シーンが多過ぎやしないか…?! 

あと本ドラマも、人名の表記が片仮名なのが許し難い。
例えば、終盤、それまでずっと“シャオルー”だった女性主人公が、いきなり“アルー”になるが(実母からの呼ばれ方)、“曉如”、“阿如”と表記してくれないと、分かりにくい。
“杰修”を“チエシウ”と表記するのも、私が嫌いなパターン。
漢字で表記し、ルビをふるなら“チエシウ”でも構わない (…今さら何を言っても手遅れだが)。
ついでに言っておくと、邦題が、『最後“は”キミを~』なのか『最後“に”キミを~』なのか、放送終了まで遂に覚えられなかった…。 
まぁこれはマシな方で、最近の台湾ドラマの邦題は、どれも似通り過ぎていて紛らわしい。 
 

BS日テレ、水曜夜11時のこの枠は、当分ドラマお休みなの?
2012年10月3日に『五月に降る雪~記得・我們有約』がスタートとテロップが出ていた。
『五月に降る雪』はあらすじにざっと目を通した限り、私が苦手なまどろこしい運命のラヴストーリーで、あまり期待できないけれど、吳中天(マット・ウー)が出ているからきっと観ます。

大陸ドラマ『画皮 千年の恋~畫皮』

画皮

横暴な王家から、王家の息子・王生との結婚を強いられた佩蓉は、泣く泣く婚礼の日を迎えるが 、初めて会った王生から、彼にとってもまたこれが望まぬ縁談だったことを聞かされる。
それぞれ別々に自由に生きようという王生の提案で、その晩、ふたりは逃亡するが 、その直後、 屋敷は盗賊の急襲に遭い、王生は、家財も両親も全てを失う。
途中合流した佩蓉の幼馴染み・龐勇と佩蓉に誘われ、王生は、ふたりの故郷・太原へ赴き 、この地に暮らすことになる。

一方、狐の妖魔・栩栩は、かつて自分を救ってくれた王生のことが忘れられない。
姿を人間に変え、彷徨っていたところ、降魔師・夏冰と出逢う。
栩栩が妖魔であることを知りながら、彼女を姉のように慕う夏冰は、心配する師匠・夏迎風を「妖魔にも良い妖魔が居る」と説き伏せ、栩栩を弟子にしてもらい、3人で一緒に暮らし始める…。

 
2012年6月末、BSジャパンで開始した大陸ドラマ『画皮 千年の恋~畫皮』が、8月最終週、全34話の放送を終了。 

★  概要

原作は、蒲松齡による清代の有名な怪異譚<聊齋志異>。
(ドラマの最終回には、蒲松齡が登場し、<聊齋志異>を書くための取材をするところで幕を下ろす。)
 

豪華キャストで映画化した『画皮~あやかしの恋』(2008年)のヒットを受け、映画版で監督を務めた陳嘉上(ゴードン・チャン)をプロダクションデザイン、他、映画版のスタッフを再集結させて制作されたのが、このドラマ版。
ドラマ版で、監督を務めるのは、香港の高林豹(コー・ラムパウ)。
 

日本では、本国から遅れること数年、ようやく公開するに至った映画版に合わせ、同時期にテレビ版を放送したものと思われる。 

★  物語

舞台は、人間界に妖魔が潜むいにしえの中国。
強要された結婚という不本意な形で出逢いながらも、愛を育む佩蓉と王生、王生と義兄弟の絆で結ばれつつ、佩蓉を愛するがゆえ、のちに苦悩する佩蓉の幼馴染み・龐勇、狐の妖魔でありながら、かつて自分を助けてくれた王生を愛してしまい、佩蓉から彼を奪おうとする小唯という4人を中心に展開する切なくも妖気ムンムンのラヴストーリー
 
 
映画版、ドラマ版の両方を観ると、当然の事ながら、短時間にコンパクトにまとめなければならない映画は、かなり端折ったドラマのダイジェスト版という印象を受ける。
ただ、原作小説を読んでいないので、ドラマ版に描かれているエピソードが全て原作に則しているのか、はたまた、原作を様々な解釈で膨らませて描いたのがドラマ版なのか、分からない。
 
とにかく、映画版では、ドラマ版の前半に描かれている佩蓉と王生との出逢い、龐勇を加えた三角関係を経て、佩蓉と王生が結婚する経緯、狐の妖魔・栩栩が、降魔師・夏冰らと穏やか時を過ごすが、酷い裏切りに遭い、残虐な美女・小唯になってしまう部分が、全てカットされている。
 
また、中盤以降の王生をめぐる佩蓉と小唯の三角関係も、時間がかけられるドラマ版の方が、はるかに見応え有り。
悪知恵の働く小唯が、王生をはじめ周囲の人々を見方につけ、誰からも敬愛されていた純粋な佩蓉を、どんどん孤立させていく様子は、見もの。 

★  メインキャスト

国際的知名度からすると、映画版の方が“豪華キャスト”という印象になるが、実はドラマ版の方もなかなかで、主要登場人物の内、男優陣は大陸、女優陣は香台から、結構な顔ぶれを揃えている。
主要登場人物を5人に絞り、映画版とドラマ版を比較すると…
 
画皮

 
薛凱琪(フィオナ・シッ):栩栩/小唯役~人間の男性・王生を愛してしまった狐の妖魔
 
映画版では、周迅(ジョウ・シュン)が担当。
演技より、断然音楽活動で目立っている薛凱琪 From 香港。
本作品で演じている姿を久し振りに見たが、これが彼女の代表作になると思わせるほど強烈な印象を残す。
実年齢より若く見える丸顔の童顔にはミスマッチな、杉サマ顔負けの流し目と、襟元抜き過ぎの衣装とで、妖艶なお色気を漂わせ、男を惑わす小悪魔の資質充分。
但し、このような役は、同性には嫌われるもの。このドラマのせいで、私の薛凱琪への嫌悪感はピークに達した。…かと言って、小唯が改心する最終回には、物足りなさを感じる。 最後の最後まで、イヤな女でいて欲しかった。
 
 
陳怡蓉(タミー・チェン):佩蓉役~小唯の正体を知ってしまい苦悩する王生の貞淑な妻
 
映画版では、趙薇(ヴィッキー・チャオ)が担当。
“台湾の常盤貴子”と呼ばれていたアイドル時代には、まったく良さが分からなかった陳怡蓉だが、ドンくさい世話焼きを演じるドラマ『光陰的故事~Story Of Time』を観て、好感度一気にアップ。
陳怡蓉は、出っ歯という程ではないけれど、口元が若干出ているため、どうしても“庶民顔”になってしまう。そんな事もあり、『光陰的故事』では役に合っていたが、『画皮』で“イイとこの奥様”を演じるのはいかがなものかと心配に。
しかし、心に一点の曇りも無い善人の役は、彼女の個性に合っていて、結果的には良かった。あまり美人過ぎるより、これ位の方が、女性視聴者から「可哀想…」と同情され易いというメリットも。 
 
 
凌瀟粛(リン・シアオスー):王生役~妻・佩蓉を愛しながらも美しい小唯に惹かれる
 
映画版では、陳坤(チェン・クン)が担当。
凌瀟粛は、映画よりドラマに比重を置き活躍しているため、これまで演じている姿を見たことが無く、中国版Twitter微博で脅威のフォロワー数を誇る大陸女優、“微博女王”姚晨(ヤオ・チェン)の元亭主というイメージくらいしか無かった。
本ドラマでも、最初はパッとせず、なぜ彼がメインキャストに抜擢されたのか分からなかったが、筒井道隆似の素朴な顔立ちに、演じる王生の高貴で清廉潔白な性格がマッチしていて、もう第2~3話辺りで、簡単にオチてしまった。 映画版で王生に扮する大物俳優・陳坤より、実はお気に入り。
ただ、小唯贔屓が過ぎるドラマの後半は、さすがにイラッとさせられる。
 
 
李宗翰(リー・ゾンハン):龐勇役~一緒に育った妹のような佩蓉を一途に愛す将軍
 
映画版では、甄子丹(ドニー・イェン)が担当。
『レイン・オブ・アサシン』、『三国志英傑伝~関羽』、『夢遊~スリープウォーカー』と、最近出演映画の日本上陸が急激に増えた印象の李宗翰。
本作品では、前半、佩蓉と両想いだと信じて疑わず、ひとり空回りする哀れな姿を見ながら、「何とも思われていないってイイ加減気付けヨッ!」とイライラさせられたが、後半は、どんな事が有っても彼女を信じ、守り抜こうとする姿に、王生との対比で、真の優しさと男気を感じ、すっかり見直す。
今まで一度も思った事が無かったけれど、李宗翰は、角度によって、ふとした表情が、劉德華(アンディ・ラウ)っぽく見えることがある。
 
 
吳映潔(ウー・インジエ):夏冰役~姉と慕っていた妖魔・栩栩と敵対することになる降魔師
 
映画版では、孫儷(スン・リー)が担当。
元黑Girlの“鬼鬼”こと吳映潔には、バリバリの台湾ローカルアイドルのイメージを抱いていたため、大陸ドラマで見ることに、当初やや戸惑う。
古武装に出ても、演技はまるで『イケメン探偵クラブMIT~霹靂MIT』で扮した天魔星と同じ。
別にそれを非難しているのではない。他の登場人物たちより若々しく、元気でハジケたキャラクターなので、作品の中の妹的、アイドル的存在になっていて、可愛らしい。

★  その他の注目キャスト
 
画皮

戚玉武(チー・ユーウー):龍雲役~栩栩と恋に落ちる降魔師
 
戚玉武は、ドラマの前に映画版にも出演し、蜥蜴の妖魔・小易を演じている。
ドラマの方で演じる龍雲は、栩栩を狐の妖魔だとは知らずに恋に落ちるが、正体を知ると、それがどうしても許せず、婚礼の日に彼女を裏切る男。これがキッカケで、純な良い子だった栩栩は、グレて、小悪魔・小唯になってしまうのだから、罪な男。
ちなみに、戚玉武が映画版で扮した蜥蜴の妖魔・小易は、このドラマ版では董易晋(ドン・イーシン)が扮する。(→画像右端)
戚玉武の小易は、吉川晃司風のワイルドな銀髪で、董易晋の小易は、浅野温子風(?)、南沙織風(??)のさらさらロングヘアー。
 
 

 画皮
楊幂(ヤン・ミー):小紅役~人間の男性・葉一と真の愛で結ばれメオトとなった白鳥の妖魔
 
子役出身の歌手兼女優、楊幂。 
本国中国では絶大な人気を誇りながら、これまで日本ではほとんど紹介されていない。
『画皮~あやかしの恋』の続編、大ヒットを記録した『畫皮Ⅱ』にも出演しているし、これから日本でも徐々にお目に掛かる機会が増えていくかも。注目の女優さん。 
 
 
辛芷蕾(シン・ジーレイ) :素素役~蜥蜴の妖魔・小易と心を通わせる盲目の少女
 
楊幂も良いが、日本男児ウケがより良さそうなのは、断然こちらの辛芷蕾なのでは。
万人から好かれる可愛らしく端整な顔立ちで、醸す雰囲気が可憐。
キャリアや知名度は、まだまだ楊幂に遠く及ばないが、私個人的には、楊超(ヤン・チャオ)監督最新作『長江圖』で、『スプリング・フィーバー』の秦昊(チン・ハオ)と共演している事でも注目。
 
 
★  主題歌 

最後にドラマ主題歌。
日本の放送ではバッサリ切られているエンディング曲、張靚穎(ジェーン・チャン)の<畫心>を。
映画版の主題歌でもあるので、MVの映像は映画のシーン。作曲は、日本人で、藤原いくろう。
 

 
映画版では、劇場によって、倉木麻衣がカヴァーする<儚さ>に差し替えられてしまっていたと聞く。
映画ファンをシラケさせるこういうゴリ押しのタイアップ、もういい加減やめて欲しい。
倉木麻衣のカヴァー曲は、ドラマでも冒頭に少し流れる。
 

 
 
台湾偶像劇と比べてしまうと、どうしてもドンヨリ暗く重いイメージの大陸ドラマ。
週4話ペースで進む放送形態もキツイし、映画『画皮~あやかしの恋』の予習だと思わなければ、観なかったであろう。
そんな風に、乗り気では無かったにも関わらず、かなり早い時点で作品の中に引き込まれ、いつの間にかどっぷりハマらせていただいた。
まさか妖魔などという非現実的な物語に、超現実派の自分がのめり込めるとは、思ってもみなかった。
狐に化けたり、目から光線が出たりするシーンは、確かに「あっちゃぁー…」と唖然とさせられるが、そういう事を差し引いても、脚本がよく練られていて、まだまだ面白い。
これを観てしまうと、お気楽な台湾偶像劇が、物足りなく感じてしまう。
ポップな軽さは、台湾偶像劇の良さとも言えるけれど、観応えのあるのは、断然大陸ドラマ。観始めるのに躊躇しても、いざ重い腰を上げ観だせば、確実にのめり込める。同時進行で、何本か台湾偶像劇も観ていたが、自分でも意外な事に、一番のお気に入りは、本ドラマであった。
まぁ、“大陸ドラマ”と言っても、本作品の場合は、監督以下スタッフは香港勢が多い。
香港の監督が無理して撮る“大陸映画”は駄作が多いのに、ドラマだと面白く仕上がるから不思議。

 
BSジャパン、お昼のこの枠は、『王子様の条件~拜金女王』とこの『画皮~千年の恋』、タイプのまったく異なるドラマ2本立て続けに当たりであった。
次の『パフェちっく~愛似百匯』は再放送なので、もう観ない。
 
 
◆本ドラマの前に制作された映画版の『画皮~あやかしの恋』については、こちらから。

台湾ドラマ『僕のSweet Devil~海派甜心』

僕のSweet Devil
 
大企業の御曹司・薛海は、過保護な姉・薛波から離れ、自由に自立して生きようと杭州の大学へ留学を決意。
薛波も薛海の決意を渋々受け入れたものの、心配でたまらない。
周囲に大富豪とバレたら、狙われやしないか?!
そこで、薛海は姉の提案で“林達浪”という偽名を使い、身分を隠し、貧乏学生として新生活をスタート。
早速、達浪と同じように、台湾からの留学生で、大学一恐れられている凶暴な女学生・陳寶珠と出逢うが…。

 
2012年2月末、ホームドラマチャンネルで開始した台湾ドラマ『僕のSweet Devil~海派甜心』が、2012年8月8日、全23話の放送を終了。
 
★ 概要

監督は、“数うちゃ当たる”的に、偶像劇を量産している林合隆(リン・ハーロン)
近年、日本で放送されたものだと、『スターな彼~呼叫大明星』『愛∞無限~Endless Love』も、私の趣味にはカスリもしなかった。
 
この『僕のSweet Devil』は、『愛∞無限』より前の2009年度の作品。
ドラマの重要なキャラクターとして登場するピンクパンサーの権利問題で、日本での放送が遅れたとも言われている (真相は不明)。

ちなみにピンクパンサーは中国語で“粉紅頑皮豹 fĕn hóng pí bào”。
簡単に“頑皮豹 wán pí bào”とも“粉紅豹 fĕn hóng bào”とも。本ドラマでは確か“頑皮豹”が使われていた。
作中、他にも、日本のコミック<ワンピース>のポスター等もボカシ無しで堂々と出ているので、権利問題はクリアしようと思えば、クリア出来るようだ。ボカシだらけのドラマなんてイヤだものね。

★ 物語

過保護に育てられた大富豪の御曹司・薛海が、身を守るため“林達浪”という偽名で貧乏学生を装い、中国の杭州浙江大學に留学。そこで、達浪と同じように、台湾からやって来た陳寶珠と出逢う。
凶暴で、大学一の不良・寶珠に、振り回される達浪だが、孤独なふたりは、次第にお互い良き理解者となり、惹かれ合い、交際に発展。
楽しい大学生活はあっという間に終了。達浪は、卒業を機に、寶珠に自分の正体を明かし、プロポーズするつもりでいたが、彼女は忽然と姿を消してしまう。
貧乏だから捨てられたと傷付いた達浪は、台湾・高雄に戻り、本名の“薛海”で人生を再スタート。
偶然、ラジオの人気DJ“甜心小姐”が寶珠だと知り、ラジオ局を買収し、彼女に急接近。
自分がかつての“林達浪”である事を隠している薛海には、イケている御曹司として寶珠を振り向かせたところで、彼女を捨てるという復讐計画が有ったのだ。
こうして3年の時を経て、奇妙な再会を果たした“達浪”こと薛海と寶珠が、複雑な感情を抱きながら、誤解を解き、幾多の障害を越え、強い運命の絆を取り戻すラヴストーリー
 
 
いくら名前が違い、見た目が垢抜けたからといって、誰も“薛海=達浪”と気付かないとは、みんな鈍過ぎ、有り得なぁーい!とも思うが、それを突っ込むと物語が成立しない。細かい事には目を瞑るのが、台湾ドラマ鑑賞の鉄則。
正体がバレそうになっても、自分の心に踏ん切りがつかなかったり、事件や事故に巻き込まれたり、記憶を失ったりと、前半に比べややシリアスな後半は、主人公ふたりの復縁まで引っ張る引っ張る。
そして、どんな不幸に見舞われても、何事も無かったかのように迎えるハッピーエンディングもお約束。

★ キャスト その①:男主人公・林達浪/薛海

羅志翔(Show/ショウ・ルオ):林達浪/薛海役~身分を隠し偽名で留学する純真無垢な御曹司 
 
僕のSweet Devil

このドラマ一番の見所は、“林達浪”こと薛海に扮した羅志翔の、アイドルである自分をかなぐり捨てたダサ男への激変ぶり、これに尽きる。 
お椀をかぶったような“香菇頭(きのこ頭=つまりはマッシュルームカット)”に眼鏡、そして半ズボンというコーディネイトは、台湾の人気シンガー盧廣仲(クラウド・ルー)がモデルと推測。
小道具以外にも羅志翔は、受け口にして役作り。薛海は後にイケメンへの大変身を遂げると、下アゴも奥にスーッと引くが、たまに気が緩むと受け口になってしまうという凝りよう。
私も試しに受け口を真似てみたが、アゴが痛くなり、キープするのは至難の業。
ダサ男に扮している間中あのアゴをキープし続け、台詞まで喋る羅志翔を、改めて尊敬してしまった。
 

大学を卒業した3年後を描く第8話からは、モテモテの大富豪に見た目一新。

僕のSweet Devil

茶髪+ピンクのジャケット+パープルのパンツ+愛車フェラーリはやり過ぎでむしろドン引き。
地味男好きな私にとっては、チャラいモテ男より、ダサダサな頃の達浪の方がずっと好感度高し。
 

ダサい頃の達浪の衣装で、特に記憶に残っている物がある。 
初めて見たはずなのに、ずっと昔から知っているような懐かしさを感じるこのポロシャツ(↓)。
 
僕のSweet Devil

そう、まるで三越の紙袋。昔から知っている訳だわ。三越の制服以上に三越テイスト。 

★ キャスト その②:その他の主要登場人物

このドラマは、羅志翔の林達浪を見ているだけで、もうおなかいっぱいになるが、他の主要キャストにも一応簡単に触れておく。
 
僕のSweet Devil

楊丞琳(レイニー・ヤン):陳寶茱役~誤解され易く不良扱いされている孤独な一匹狼
 
本作品もうひとりの主人公・楊丞琳は“可愛教主”のイメージを払拭し、目元にはブラックのシャドーを入れ、服もブラックが基調のロッカーテイスト。
チンピラもブン殴る不良娘役を見事演じているが、羅志翔の激変っぷりが、あまりにもキョーレツなため、楊丞琳の変身の衝撃が薄らいでしまった。
台湾高雄に舞台を移すドラマ後半は、見た目も中身も、不良から落ち着いた普通の女性に変身。
達浪への想いがスレ違い、 泣きのシーンも増える。
楊丞琳は、本気で泣くと、首に赤い斑点のような物が浮いてくる。それが熱演のバロメーターのように感じる事がしばしば。 
 
 
李威(リー・ウェイ):何言風役~寶茱の良さを知る理解者で彼女に想いを寄せる先輩
 
鈕承澤(ニウ・チェンザー)監督とは、基本的に♂男の趣味(?)が合うと勝手に共感している私。
しかし、彼が目を掛ける“四大弟子”と呼ばれる阮經天(イーサン・ルアン)、彭于晏(エディ・ポン)、唐治平(タン・ジーピン)、李威の内、これまでどうしても理解できなかったのが、この李威。
久し振りに見たら、相変わらず見た目が“台湾に暮らすキムタクの遠縁”みたいで、演技もまるでキムタク風。
だが、今回扮する言風先輩が仏様並みに心の広い良い人だったため、初めて李威にホレてしまった。
 
 
吳亞馨(マギー・ウー):莫莉役~杭州浙江大學三美女のひとりで達浪の憧れの女性
 
モデル出身の吳亞馨は、スラリと長身でさすがに綺麗。
この前に観た出演作『泡沫の夏~泡沫之夏』では、意地の悪い女優に扮していたが、今度は結構イイ人。
恋の多角関係にどっぷり絡むほど重要な役とは言えないし、作中ビミョーな踊りを踊っているが、吳亞馨自身は、朱孝天(ケン・チュウ)との度重なる交際別離復縁報道で騒がれたり、日本でも出演作の放送が続くので、注目株として出しておく。

★ テーマ曲
 
テーマソングは、主演のふたりの歌が一曲ずつ。
オープニングは羅志翔の<愛瘋頭> 、エンディングは楊丞琳の<雨愛>
<愛瘋頭>は以前このブログに貼っているので、<雨愛>の方を。
 

 
バスタブの中に座って傘をささなくても、シャワーの蛇口さえ締めれば、必要なくなると思うわヨ、多分。
MVの中のお相手役は、『九月に降る風』の王柏傑(ワン・ボージエ)くん。
あと、瓶のラベルを書くのに使っているペンが、サクラの“マイネーム”。これまだ売られているの…? 
 



 
どう見ても薛海のおばあさんにしか思えない方芳(ファン・ファン)扮する薛波を、薛海の母はおろか、姉だと言い切る強引な設定からして笑え、開始早々からドラマに引き込まれた。
一度は別れた達浪と寶茱が再会し、幾多の困難が待ち受ける息苦しい後半の展開より、私は、こういうお馬鹿でお気楽な前半部分の方がずっと楽しめた。
最後は寶茱の方から「林達浪、你願意娶我嗎?(林達浪、私を娶りますか?)」と逆プロポーズ。
最後まで男前な寶茱姐であった。
普通の偶像劇と言ってしまえば、それまでだが、最近観た林合隆監督作品の中では一番面白かったし(他がツマラな過ぎたとも言える)、小豬(=羅志翔)の壊れっぷりは見もの。 
視聴者を喜ばせるために、ありとあらゆる事をする徹底したエンターテイナーは、台湾男性アイドルの中で、小豬が断トツ。もの凄いプロ根性を感じる。
あと、本作品の日本語字幕では、登場人物の名前が漢字+ルビで表記されていたけれど、もしかして、最近少しずつそういうドラマが増えてきている?だとしたら良い傾向。
 

ホームドラマチャンネル、この後この枠では『アリスへの軌跡~給愛麗絲的奇蹟』を放送。
J-COM HDで第1話先行放送を観たが、その1話に限って言えば、特別惹かれる所が無かった。
但し、松山でもロケが行われていたり、周采詩(チョウ・ツァイシー)の日本語が聞けるなど、食い付きどころは有るので、第2話以降に期待。

台湾ドラマ『王子様の条件~拜金女王』

王子様の条件

林楚曼は、幼い頃、母に捨てられ、施設で育った、お金第一主義の28歳有名モデル。
撮影のために訪れたパリで、大陸成金の恋人・王董からプロポーズされ、富豪夫人になる夢が現実味を増してきたにもかかわらず、なんか気分が冴えない。
ひとり夜のパリを彷徨い、ホテルのバーで、ヴァイオリンを弾く、音楽学院に留学中の青年と出逢う。
後日、その青年が、世界屈指の大富豪William Normanだったと知りビックリ…!
楚曼は仕事そっちのけで音楽学院へ向かい、偶然を装いWilliamに接近、彼とのデートに漕ぎ着ける。
Williamもまた、自分の音楽の才能を信じ、励ましてくれる楚曼に、みるみる心奪われていくが…。


2012年4月末、BSジャパンで放送開始した台湾ドラマ『王子様の条件~拜金女王』が、6月25日、全33話を完結。

月曜から木曜までの毎日お昼、週に4話の放送は、追うのがキツイ…!
すでに出ている日本版DVDと合わせ、なんとか全部観終えたけれど、これからはこういう放送形態、頼むからやめて…。

★ 概要

『秋のコンチェルト~下一站、幸福』『あの日を乗り越えて~那年、雨不停國』に引き続き、女性監督・陳慧翎(チェン・フイリン)が、吳建豪(ヴァネス・ウー)と組んだドラマ第3弾。
 
衣装監督に、『Sex & The City』のパトリシア・フィールドを迎えたり (パトさん、本人役で出演も果たす)、パリで撮影を決行したりと、台湾ドラマとは思えぬ程、多額の制作費をかけたことでも話題。 

★ 物語

母に捨てられ、施設で育ったという、貧しく孤独な生い立ちから、超現実的でお金第一主義になった台湾の有名モデル林楚曼が、仕事先のパリで、不覚にも、蔡家豪という音楽学院で学ぶ冴えない貧乏留学生と、世界屈指の富豪William Normanを勘違いして、接近。
真実を知った楚曼は、そんなビンボー青年に納得するわけが無く、彼を切り捨て、さっさと次の富豪男性を射止め、着々と夢に近付いていくものの、紆余曲折を経て、やがて本当に大切なものに気付き、結局は家豪との愛を成就させるロマンティックラヴストーリー
 
 
貧しい生い立ちゆえ、お金への執着が人一倍強い高飛車な女性主人公が、美貌を武器に、玉の輿を狙うが、不覚にも、富豪だと思い込んでいたターゲットの男性が、実はビンボー人だったと判明したため、その男を断ち切り、今度こそホンモノの富豪の妻の座につくべく、バク進するが、やがて本当に大切なものに気付き、遠回りして、ビンボーでも愛がある男と結ばれる、…という物語の基本は、日本のヒットドラマ、松嶋菜々子主演の『やまとなでしこ』と同じ。
『王子様の条件』の方が、ずっと長いドラマなので、『やまとなでしこ』を基礎に、もっと肉付けし、アレンジを加えた感じ。
 
あと、ある程度現実味のある『やまとなでしこ』と異なり、『王子様の条件』はとにかく大袈裟でド派手!
そう、“ゴージャス版『やまとなでしこ』”って感じ。
女主人公→『やまとなでしこ』桜子はスッチー、『王子様の条件』楚曼は知名度の高い美人モデル。
お相手のビンボー人→『やまとなでしこ』欧介は数学者を目指した魚屋、『王子様の条件』家豪は市場育ちの音楽学院苦学生だが、のちに有名ヴァイオリニスト。
女主人公のターゲット→『やまとなでしこ』の場合、医師で大病院の御曹司、『王子様の条件』の場合、世界的大企業の会長など、ちょっとした言動で株価が変わってしまう程の大物。

ちなみに、中華圏でもヒットした『やまとなでしこ』の中国語タイトルは『大和拜金女』。

★ キャスト その①:主人公・林楚曼

王子様の条件

私は元々“着てはもらえぬセェタァ~を寒さこらえて編んでます”的なシミッタレた日陰のオンナより、高飛車キャラに共感するので、同じ陳慧翎監督のドラマ、『秋のコンチェルト』の梁慕橙にはイラッとしたが、本ドラマの林楚曼にはホレた。
 
そして、その林楚曼に扮した大陸モデルの熊黛林(リン・ホン)が、これまたハマリ役…!
熊黛林について語り出したらキリが無いので、彼女については、“大陸美女名鑑:熊黛林”でどーぞ。
 
熊黛林扮する楚曼は、めちゃくちゃ前向きで、転んでもタダでは起きぬ、かなり強欲なオンナだが、その強欲っぷりや、狙った獲物は是が非でも捕らえるハンター気質が、あまりにもストレートで、時にコミカル。見ている内に、どんどん可愛らしく、憎めなくなってくる。
 
また、熊黛林のゴージャスな肢体を存分に生かしたファッションも見もの。

王子様の条件

ここまで衣装にスキが無い台湾ドラマは初めて観た。 
いや、スキだらけで、突っ込ませてくれる台湾ドラマも好きなんだけれど。 

★ キャスト その②:林楚曼の男性遍歴

王子様の条件

 
1)孟凡貴(モン・ファングイ):王董~冬虫夏草の商売で財を成した大陸成金
 
五分刈り+ゴールドのチェーン+セカンドバッグという絵に描いたような大陸成金ルックで、山東弁をまくし立てる王董は、私のお気に入りキャラのひとり。
ドラマの舞台がパリから台湾に移ると、楚曼に裏切られた王董は、憎々しい男に豹変するが、パリでの王董は、楚曼に振り回されっぱなしで、とにかく笑える。
演じる孟凡貴は本ドラマで初めて知る。 
美食家としても有名な中国伝統芸・単口相声(ひとり漫談?)の大御所らしい。
よくこのような人材を偶像劇に引っ張り出してきたものだ。 
 
 
2)吳建豪(ヴァネス・ウー):William Norman 威廉諾曼/蔡家豪~大富豪?!実は影武者の苦学生
 
楚曼が、求婚してきた王董を裏切ってまで乗り換えた、王董以上に理想的な男性、ちょっと遅れて現れた本物の王子様、それがWilliam 威廉。
でも、楚曼は気付かないが、完璧なはずのWilliam、なんか挙動不審。
案の定、Williamに似ていることを買われ、Norman家に影武者として雇われた、蔡家豪という苦学生であることが判明。
落胆した楚曼は、手の平を返し、彼を罵倒するが、この出逢いが、運命の腐れ縁になっていく。
吳建豪、マッチョでも御曹司でもなく、トホホな苦学生役で、新境地開拓に成功。
 
 
3)陳曉東(ダニエル・チャン):嚴凱銘~パリで全てを失った楚曼が次に狙った台湾屈指の富豪は男前
 
自分の地位や財産に目がくらみ、楚曼が接近してきたことを知りながら、そんな楚曼を意外にも、「現実的で目的がハッキリしている」と高く評価し、交際に発展していくイケメン実業家がこの嚴凱銘。
演じているのは、かつて張柏芝(セシリア・チャン)と交際し、ふたりの名前から、電気屋みたいに“東芝戀”と呼ばれた、香港の歌手で俳優の陳曉東。
昔はもっとアイドルっぽかったのに、久し振りに見たら、セレブ感漂う素敵な大人の男性になっていてビックリ。
 
 
4)吳建豪(ヴァネス・ウー):Justin/蔡家豪~2年後に再び現れた家豪は若手人気ヴァイオリニストに
 
再び留学するチャンスを得て、パリへと発った家豪。
成功した家豪は、2年後に、人気ヴァイオリニスト“Justin”として、台湾に戻り、楚曼と再会するが、誤解があり、彼女に冷たく接する。
有名人になった家豪、変わったのは、所得だけではない。髪型も、無造作ヘアーからモヒカン風に。
私は、メガネの素朴で冴えない家豪が好きだったんだけれどなぁ~…。
 
 
5)顧寶明(クー・パオミン):耿德基~家豪にフラれた楚曼が偶然出会う世界的大富豪はヤモメの77歳
 
悪運の強い楚曼は、ドン底に突き落とされる度に、さらなる強運を身に付け這い上がり、狙う結婚相手も、大陸成金→台湾のイケメン実業家ときて、ついには世界レベルの大富豪にまで行き着く。
“世界レベル”であることは、その富豪の名前を見ても判る。
フライドチキンでお馴染みのあの“肯德基(ケンタッキーの中国語名)”と発音酷似の“耿德基”。
しかも、その耿德基さんが経営するのは、“KFC(Kentucky Fried Chicken)”ならぬ“KEG集團” (笑)!
中国語をちょっとでも解する人ならすぐに気付く、こんな遊びが所々に盛り込まれているから、字幕に漢字を使わず、片仮名にされてしまうと、面白さが半減。
 
★ キャスト その③:脇で光るあのキャラ、このキャラ

脇にも魅力的な人物、お馴染みの俳優が多数出演。
特に気になったのが、朝南市場の面々。 
このシーンを観て、『少林サッカー』や『カンフーハッスル』といった周星馳(チャウ・シンチー)監督作品を重ねた人も多いと思う。
 
それもそのはず、それらの作品に出演している何文輝(ホー・マンファイ)が肉屋の醬爆役で、馮勉恆(フォン・ミンハン)が市場からの立ち退きを迫るイヤミな悪徳公務員・金絲邊役で、周星馳監督作品でのイメージそのままに出演している。

王子様の条件

何文輝は、周星馳監督作品でも、役名はいつも“醬爆”。以前に比べ、明らかに肥えたが、やはり醬爆。
本人曰く、近年、大陸で投資をしていて、生活環境が好転したので、肥えてしまった上、このドラマの撮影のために台湾へやって来て、美食にありつき、さらに肥えたのだとか。
彼らが登場する市場のシーンは、演出も周星馳監督作品の雰囲気そのままだし、香港映画ファンなら笑える小ネタ満載。
 
 
もうひとり絶対に忘れてはならないのが、那維勳(ナー・ウェイシュン)扮するモデル事務所のマネージャーPeter/潘彼得…!
 
王子様の条件

『ブラック&ホワイト~痞子英雄』では、義理人情に厚い渋いヤーさんを演じた那維勳、本ドラマでは、従来のイメージ通り、十八番のおねぇキャラで飛ばす。可笑しい! 可愛い! 
私もお友達になって、楚曼みたいに、Peterから「寶貝(ばおべ~い=Baby)」って呼ばれたぁぁーいっ…!
Peterの名前もちょっと面白い。
日本語字幕だと“ピーター”だが、本当はフルネームが“潘彼得 Pān Bĭdé(パン・ピーター)”、つまり永遠の少年(乙女?)ピーターパンをもじっている。

★ その他

このドラマ、偶像劇とは思えぬほど映像が綺麗なので、特に朝南市場のシーンなどは一体どこで撮ったのかと疑問が湧いた。
セットにも見えるけれど、セットにしては、作り物には無い何とも言えないホンモノの息吹を感じる。
そうしたら、やはり、台中西區にある三民市場で撮影したとのこと。
 
台北ロケで一番目立ち、一番旅行者が訪れ易い場所は、家豪がバイトでヴァイオリンを弾くレストランや、“Justin”として帰国した彼が住む部屋など、ドラマの中で何度も登場する君品酒店 パレドシン
 
 
ドラマ主題歌は、オープニングが吳建豪の<Is This All>、エンディングが梁文音(レイチェル・リャン)の<一百萬種親吻>
BSの放送では、エンディング曲がカットされてしまっているので、ここにはそのエンディング曲を。



梁文音は、台湾原住民・魯凱(ルカイ)族の歌手で、映画『海角七号』では、60年前の主人公・友子役(現在の友子は田中千絵)でチラッとだけ出演も。 
 



 
基本的には、台湾偶像劇の定石とも言える、ポップでお気楽でベタな展開のドラマ。
その手の偶像劇は観過ぎて食傷気味の私だが、このドラマに限ってなぜかとても楽しく、同時期日本で放送の台湾ドラマの中で一番のお気に入りであった。
美しいだけが取り柄だと思われていた熊黛林を起用し、彼女の意外な一面を引き出していたり、衣装など女子をワクワクさせる仕掛けもいっぱい。
単純に、肝心な脚本が良いし、映像も一般的偶像劇とは比較にならない美しさ。
「お金をかけているから」と言ってしまえばそれまでだが、それにしても良くできている。
台湾は、やれば出来る子なんです。
 
BSジャパン、月曜~木曜までお昼のこの枠は、映画公開に先立ち、ドラマ版の『画皮~千年の恋』
本ドラマ終了後の2012年6月26日から放送。
映画を観る予定なので、ドラマで予習したいところだが、週4の放送を追うのは本当にキツイ。もう無理…!

台湾ドラマ『パンダマン 近未来熊猫ライダー~熊貓人』

パンダマン

2030年、光明市。
潘氏集團の御曹司であることを隠し、杰威爾音樂學校でピアノ教師をする一見冴えない青年・潘達には 、もうひとつ周囲に隠している裏の顔が。
博愛精神に充ちていた亡き父の遺志を継ぐべく、“熊貓超人”に変身し、街の保護に努めているのだ。
ある晩、いつものように事件現場に駆けると 、自分と同じように、パンダのマスクに素顔を隠し、敵に挑む、“熊貓俠”と名乗る青年と出逢う。
熊貓超人と熊貓俠は、互いのことを何も知らぬまま、取り敢えず危機を脱するが 、実はこの事件、脳波制御装置を使い、世界征服を目論む悪の巨大組織・狂天集團の仕業であった…。


2011年8月、ホームドラマチャンネルで始まった台湾ドラマ『パンダマン 近未来熊猫ライダー~熊貓人』
気が進まないまま取り敢えず視聴を始めたら、案の定、好みに合わなかったのだけれど、修行のつもりで黙々と観続けていたら、2012年3月22日、ようやく全31話が完結。

★ 概要

2000年のデビュー以来、あれよあれよと言う間に中華ミュージックシーンの頂点に君臨した早熟な周杰倫(ジェイ・チョウ)は、その後、レストラン、ショップ経営、俳優業など、活動の場を多方面に広げ、それぞれの分野で成功を収めてきたかなりのやり手。
2007年、『言えない秘密』で、長編映画監督デビューの際は、さすがに「やめておいた方が良くないか…」と心配したが、意外なことに、これもスマッシュヒット。
そして、さらに、企画、監督、出演で、テレビドラマ界にまで進出したのが、この『パンダマン』。
 
実際には、周杰倫は総監督という立場で、彼ひとりきりではなく、于華坤(ユー・ホアクン)珍妮花(ジェニファー・ウー)と共に監督しているようだ。
 
珍妮花は、周杰倫のMV御用監督。
彼女に限らず、出演陣でも、周杰倫のお仕事仲間、友人、子分などなど、“周さんファミリー”とも呼べる身内でがっちり固められている。
また、ロケ地や、撮影に使われている大道具・小道具も、周杰倫の私物多数。

★ 物語

時代は近未来2030年、舞台は架空の都市・光明市。
音楽学校のピアノ教師、動物園の従業員という表の顔を持つふたりの青年、潘達と赤南介が、パンダのマスクで正体を隠し、それぞれ“熊貓超人”、“熊貓俠”に変身し、世界征服を目論む悪の組織・狂天集團に立ち向かう正義の変身ヒーロードラマ
 

男の子が大好きな“ヒーローもの”に不可欠なアクションは勿論のこと、潘達、南介それぞれに女の子とのロマンスも。
さらに、所々にアニメーションを挿入するなど盛り沢山。
 
近未来を描いてはいても、SFに分類されるような雰囲気は、このドラマには無い。
舞台となる光明市は、3ヶ所のロケ地、上海、台北、厦門をミックスして出来上がった架空の都市で、上海の外灘(バンド)、浦東側の風景が映ると、確かに近未来っぽいが(と言うか、ここ光明市じゃなくて上海じゃん、とバレバレ)、あとは至って普通なので、『ブレードランナー』のような未来都市を期待している人は、肩透かしを食らうはず。
私なんか、「今は2030年だから」という台詞が出てくるまで、近未来の物語だとは、まったく気付かなかった。

★ 周杰倫ワールド

撮影には、杰倫サン経営のお店やレストラン、私物などが使われ、周杰倫ワールド炸裂。
特に車は、カーマニアとしても知られる周杰倫のコレクションから何台も登場するから、ファン必見。 
東京の路上じゃぁ見たことも無いような、なんかよく分からないスゴイのがいっぱい。

でも、もっとスゴイのがピアノ。

パンダマン

周杰倫が、宇豪(ユーハオ)と手掛けるピアノブランドSecretの物を中心に、やはり何台も登場するのだが、これが真っピンクとかバロック調とか、良くも悪くも“唯一無二!”って感じの物ばかり。
万が一、「一台あげる」と言われても、置き場に困りそう…。
保守的な私は、無難に、黒いので結構なんですけれど…、と思ってしまうが、大陸には、こういうギョッとするピアノを欲しがる人の市場が有りそうな気がする。


数有るロケ地の中でも何度も登場するのが、お坊ちゃまな主人公・潘達が暮らす中世のお城のような自宅。

パンダマン

これも台北華山で杰倫サンが経営するレストランDeja Vu
レストラン内には、本ドラマで使用された車、バイク、ピアノも展示されているらしい。

★ キャスト:その1~パンダなふたり
 
パンダマン

パンダのマスクで正体を隠し、悪に立ち向かう正義の味方に扮したのは、周杰倫の弟子、南拳媽媽の二人。
 
詹宇豪(ユーハオ): 潘達/熊貓超人役~亡き父の遺志を継ぎ、街の平和を守ろうと奮闘する御曹司
 
宇豪は、得意のピアノを生かしたピアノ教師役で、劇中何度も腕前を披露。
熊貓超人に変身し、悪者を成敗している姿とは掛け離れ、普段は冴えないおっとりお坊ちゃま。
背伸びしてマッチョなヒーローなど演じず、身の丈に合ったトホホなヒーローがお茶目。
宇豪サイコー。ピアノを弾ける男性って、それだけでも充分素敵なのに、今回は眼鏡着用。
ピアノ男子+メガネ男子で、 私を魅了する素敵っぷりが2倍。
困惑すると口角をピクピクさせるお決まりの表情も良し。
潘達にお仕えする執事だと思っていた老杜が、実は潘氏集團の企業経営も任されていたのにはビックリ。
初めて見た、執事と社長を兼任(…!)する男。
 
 
宋健彰/彈頭(ダントウ):赤南介/熊貓俠役~貧乏で病気、人一倍正義感の強い動物園勤務の青年
 
彈頭は、私生活ではすでに一児のパパ (…だが、最近妻との別居を告白)。
王子っぽい宇豪とは対照的な個性で、雑草のように逞しく生きる正義感の強いビンボー青年を演じる。
金髪に染めた髪と、熱血漢ぶりから、もうちょっと若い頃の加藤晴彦が重なる。

★ キャスト:その2~女子部
 
パンダマン

江語晨(ジェシー・ジャン):江小語役~父が校長を務める音楽学校のピアノ教師 潘達の意中の人
 
モデルで歌手の江語晨は、周杰倫のMVに出演し、周杰倫から提供された楽曲も歌い、一時は周杰倫との交際を噂された“J女郎”。
当時の噂の真相は、結局のところ不明なままだけれど、このドラマでも大役を与えてもらえているし、杰倫サンはとことん面倒見が良い頼れるアニキではないか。
 
 
唐嫣(タン・イェン):俐亞役~父親探しのためフランスから帰国した有名美人シェフ
 
江語晨も充分可愛いハズなのに、この唐嫣と並ぶとフツーに見えてしまう (勿論役柄のせいもある)。
唐嫣は、これまでに周杰倫から庇護を受けてきた台湾出身のJ女郎ではなく、中央戲劇學院卒の上海人。
2001年、絲寶集團主催の美人コンテスト、舒蕾(Slek)世紀星選美大赛で優勝、2004年には、張藝謀(チャン・イーモウ)監督に見い出され、北京オリンピックの宣伝大使“奥運寶貝”10人の内のひとりに選出。 
だから、J女郎というより“謀女郎(イーモウガール)”。 
近年大陸明星の“見た目レベル”の向上著しく、台湾明星との区別がつかない。
唐嫣は、垢抜けた可愛コちゃんだし、長身でプロポーション抜群だし、『進め!キラメキ女子~小資女孩向前衝』で再ブレイクの邱澤(ロイ・チウ)との恋も噂されているし、これから大陸以外でもますます有名になって人気が出そうな注目株。

★ キャスト:その3~周杰倫とその仲間たち

パンダマン

ドラマに登場する主だった有名人をザーッと列挙。 
 
 
周杰倫(ジェイ・チョウ):まずは本人 かつて潘達の父親に世話になった刑事・李奥役で出演
 
劉畊宏(ウィール・リウ):杰倫の親友 虎哥の手下・殘狼役 杉浦先輩~!(←『貧窮貴公子』)
 
言承旭(ジェリー・イェン):なぜか杰倫とお揃いのニット帽を被って登場する同僚の陳刑事役
 
方文山(ヴィンセント・ファン):杰倫の楽曲に欠かせない作曲家まで杰倫に敵対する悪者・山羊役で
 
潘瑋柏(ウィルバー・パン):今回は眼鏡をかけ俐亞のEX男朋友Jason役
 
李國修(ヒュー・リー):劇作家の李國修がワケ有りバガボンド役で 妻・王月(ワン・ユエ)も出演
 
曾志偉(エリック・ツァン):香港のベテラン 潘達のパパ役 パンダの着ぐるみ姿まで披露
 
余文樂(ショーン・ユー):こちらも香港から 羅漢役 金髪の悪役で

★ テーマ曲

最後にエンディング曲の<最後一頁>を。
宇豪(作曲)×彈頭(作詞)×江語晨(歌)のトリオによるもの。
 

 
 



最終回は、思い掛けず30分ポッキリで終わってしまい、有り難いような、肩透かしを食らったような…。
しかも、その貴重な30分の内、結構な時間が、周杰倫がイメージモデルを務めるカジュアル服飾ブランド美特斯邦威 MetersbonweのCMか?!と思わせるシーンに割かれていた (笑)。
もちろん、他の台湾ドラマの例に漏れることなく、全てを都合よく収めた超ハッピーエンディング。
ボロボロのバガボンドだった老伯が、小ざっぱりしたダンディに激変していたのには、ちょっとだけ驚かされた。掛けている眼鏡なんて、いきなりアルマーニに格上げされているし。
 
全体的には、やはり私好みのドラマとは言い難い。
日本で放送される一般的な台湾偶像劇とは、キャストの顔ぶれが違っていたり、珍しい“変身ヒーローもの”であることは、好き嫌いを別にして、それなりに評価。
良くも悪くも、金持ちの道楽っぽいドラマという印象。
今さらながら、やはり杰倫様はアジア屈指の富豪芸能人なのだと再認識。
アラブの富豪が、日本から宮大工を招いて自宅の庭に建てる真っ赤な神社より、ある意味凄いかも。
あの経済力、あの人脈が無くては作れない究極のホビー。
宇豪はキュートで、とても良かった。あと、杰倫サンのお仲間が次々と登場するのも、お楽しみであった。
 
私個人的にはイマイチのドラマであったが、信じ難いことに、なんでも映画化されるとか…。
 
パンダマン

ポスターに使われている画像は、撮りおろしではなく、本ドラマからの寄せ集めと見受ける。
まだ杰威爾公司と香港企業との間で権利の問題がクリアになっていないらしい。
『神探・李奥~Heroic Detective』というタイトルから察するに、周杰倫扮する李奥刑事を主人公にした、いわゆるスピンオフか…?
 
 
ホームドラマチャンネル、この枠は、3月29日(木曜)から、台湾の魅力を紹介する番組『名人帶路~スターガイド』の飛輪海(フェイルンハイ)編を4回にわたり放送。
ドラマばかり追っていると疲れるので、たまにはこういうのが嬉しい。


【追記:2015年8月9日
2015年8月3日、日テレ『世界まる見え!テレビ特捜部』が、この『パンダマン』を紹介。
雑な取材による間違いだらけの番組内容については、こちらから。

台湾ドラマ『結婚って、幸せですか~犀利人妻』

結婚って幸せですか

謝安真は、結婚して10年になる32歳の専業主婦。
化粧品メーカーの部長職に就く夫・溫瑞凡、6歳の娘・雨萌との3人暮らしは、平凡でも、日々穏やかで幸せ。
ある日、安真は、実家の母親から、安真の従妹・薇恩を、しばらく家で預かってくれと頼まれる。
長年暮らしたアメリカからやって来た25歳の薇恩は、知り合いも無く、他に行き場所が無い。
安真は、そんな薇恩を温かく迎い入れるが…。

 
2011年6月、BS日テレでスタートした台湾ドラマ『結婚って、幸せですか~犀利人妻』が、2012年1月、全34話の放送を終了。

★ 概要

手掛けたのは、徐輔軍(シュー・フージュン)監督。
徐輔軍監督の映画作品『夢遊ハワイ』が好きな私は、同監督の作品を久々に、ドラマ『晴れのちボクらは恋をする~幸福最晴天』で観て幻滅し、酷評したばかり。
撮った順番は、多分、先に『結婚って、幸せですか』→その後『晴れのちボクらは恋をする』、…か?
 
この『結婚って、幸せですか』では、台湾の偶像劇にしては珍しく、不倫をテーマにしており、ヒット。
“小三”という流行語まで生んだ。“小三=小学三年生”ではない、念の為。第三者(=愛人)のこと。
日本だと、“三”じゃなくて“二”だけれど。“二号さん”ね。
 
すでに映画化も決定。 
映画版『犀利人妻最終回:幸福男・不難』で監督を務めるのは、ドラマ版のプロデューサー王珮華(ワン・ペイホア)。
映画監督としての手腕は未知だが、王珮華が『結婚って、幸せですか』の1~2年前にプロデュースした懐古調ドラマ『光陰的故事~Story Of Time』には、どっぷりハマらせていただいた。  

★ 物語

家庭第一の良妻賢母・安真と、仕事ができ誠実な夫・瑞凡は、6歳の娘・雨萌を持つ結婚10年の夫婦。
平凡だけれど幸せな一家は、長年アメリカで暮らしていた安真の25歳の従妹・薇恩を受け入れ、ひとつ屋根の下で一緒に暮らすことになる。
安真は、子供の頃両親が離婚し孤独な薇恩に、まるで本当の家族のように温かく接するが、そんな安真が気付かない間に、薇恩と瑞凡がみるみる惹かれ合っていくという、親族間の禁断のエターナルトライアングルが勃発…!
 
その後、瑞凡と薇恩の関係は、安真の知るところとなり、彼女は納得できないまま結局離婚を承諾することになってしまうが、捨てる神あれば拾う神あり。
安真にも、想いを寄せてくれる男性、年下のセレブ、藍天蔚が出現。三角関係は四角関係に発展。
瑞凡も、離婚後、失ったものの大きさに気付き、4人の関係はビミョーに。
4人の内、誰と誰が、どう収まるのかを追う、ちょっと歪んだ大人のラヴストーリーであり、10年間、家族のためだけに生きてきた安真が、夫と従妹の裏切りに傷付いたことで、結婚の意味や自分自身の事を初めて考え、力強く自立していく物語でもある。

★ イメチェン安真

家族第一で、自分の形振りには一切構わない節約主婦だった安真が、離婚後、元夫・瑞凡を取り戻したい一心で、年下セレブ天蔚の指導のもと“奥様改造計画”に乗り出し、垢抜け美女に変身していくのも、ドラマのひとつの見所。

結婚って幸せですか

節約主婦時代は、夫が化粧品会社勤務にも関わらず、ほぼスッピン。
服は、デザイン性より価格重視で、着易いゆったりした物。靴は、主に夜市で購入。
 
いや、でもねぇー、2011年秋、東京国際映画祭のために、安真に扮する隋棠(ソニア・スイ)が来日したので、見に行ったが、尋常ではない美女っぷりであった。 (→参照
仮に、スピンで、夜市コーデに身を包んでところで、 スラリと長身のあの奇跡のボディでは、街中で浮きまくり、気の置けない節約主婦にはまず見えないと思う、現実には。

★ キャスト

 結婚って幸せですか
隋棠(ソニア・スイ):謝安真~温厚で朗らか 何よりも家族を大切にする32歳の専業主婦
 
モデル出身で、お飾り的存在だった隋棠が、女優としてひと皮剥けたのは、前作『P.S.男~偷心大聖PS男』ではないだろうか。
本作で、ドンくさい女から垢抜け美女への華麗な変身を遂げるのは、その『P.S.男』と似た流れ。
本作では、そのドンくさい女が、さらに子持ちの専業主婦という設定で、生活臭の薄い隋棠自身のイメージから、より掛け離れた役に挑んでいる。
専業主婦時代の安真は、スッピン&低価格ファッションというヴィジュアルのみならず、喋り方も、まんま“台湾の気の置けない世話好きなオバちゃん”と化していて、感心。
美女はとかく同性から反感を買い易いものだが、隋棠はこの役を捨て身で演じたことによって、奥様層の心をガッチリ掴んだに違いない。奥様ではない私も、すっかりファンに。
 
 
溫昇豪(ウェン・シェンハオ):溫瑞凡~職場では将来有望 家族も大切にする37歳理想の夫
 
インタヴュ映像などで見ると、温厚で人柄の良い素の溫昇豪。でも、このドラマで見ると、イラッ…。
ハンサムで仕事ができ、さぞや女性にモテるだろうに、それでもひたすら誠実な理想の夫・瑞凡が、初めて妻にブチ切れた理由が、「ご飯の上にカレーをかけるな!カレーとご飯は別々が好きなんだ!前からずっとそれが言いたかった!」
10年目にして突然キレた夫に、妻キョトン。だわよねぇ~、小さい男よねぇ~(笑)。
私も、“カレーとご飯は別々”派だし、やたらと世話を焼かれるより、自分でやりたい方なので、瑞凡の気持ちも分かるのだけれど 。(劇中、カレーをレンゲで食べる台湾の習慣にも目を奪われる。)
今回、奥様層からは嫌われる浮気夫・瑞凡を演じた溫昇豪だが、後半、仕事も家庭も全てを失った瑞凡から、すっかり精彩が失われ、ショゲている様子を見て、あまりにもリアルな演技に感服。
 
 
朱芯儀(アマンダ・ジュー):黎薇恩~アメリカからやって来た安真の24歳の従妹 情緒が不安定
 
このドラマで、溫昇豪以上に、奥様層を敵に回したであろう“小三”役の朱芯儀。
商売女っぽい“いかにも愛人”の風情ではなく、こざかしい小悪魔だから、益々神経を逆撫で。
朱芯儀も、素だと、ニコニコ朗らかで、感じが良いのに、このドラマでは、本気で嫌いになりかけた。
そのリアルなイヤな女っぷりのお蔭か、2011年第46回金鍾獎で、女配角獎(助演女優賞)を受賞。
式典には、夫と共に大きなおなかで出席。その直後の10月末、男児を出産。 
ドラマでは、孤独な愛人役だけれど、実生活では、25歳にして、ハッピーな家庭を築いている。
 
 
王宥勝(ワン・ヨウション):藍天蔚~29歳完璧主義のエリート 身分を伏せて安真と交流
 
『P.S.男』に、白歆惠(ビアンカ・バイ)のEX男朋友役で、チラッとだけ登場した王宥勝は、本ドラマで、日本での知名度も人気も一気にうなぎ登り (じゃない?)。
甘くなりがちな幼顔をスッキリ見せる一重まぶた(奥二重?)のちょっと腫れぼったい瞳もナイス。
扮する天蔚、前半は小生意気な御曹司でイケ好かないが、後半になると、言葉こそややツッケンドンであっても、心根の良い一面を覗かせる。
しかも、社会的地位、経済力も、瑞凡よりずっと上と推測。
私が安真なら、10年間の情などにホダされることなく、無礼な浮気夫などバッサリ斬り捨て、自分に良くしてくれるお金持ち天蔚の方にサッサと乗り換えていただろう。

★ ロケ地

結婚って幸せですか

主人公・安真の住まいが、同じく隋棠出演映画『運命の死化粧師』に出てくる家と同じであることは、以前このブログにも記した通り。
外壁は、日本の建て売り住宅に使われる建材と酷似しており、ちょっとチープな印象も否めないけれど 、中は広くて立派。 (地下に駐車スペース、地上は恐らく4階建て。)
安真の夫・瑞凡は、PAUL & JOEの部長という設定で、実家もさほど裕福とは見受けないので、現実には、瑞凡のお給料で、あのような家が買えるとは考えにくい。
 
この家、実は過去にも幾度となく撮影に使われているそうだけれど、『結婚って、幸せですか』のヒットで、一般の人々の間でいきなり注目されるようになり、見物人がやって来るロケ地と化した模様。
そのせいか、売りに出され、価格は3950万元だとか。その後売れたかどうかは不明。
台北に一件家を、とお考えの方はどうぞ。隋棠が、『結婚って、幸せですか』では離婚、『運命の死化粧師』では愛せない夫との結婚の末死亡した、イワク付きの家ですが (笑)。
場所は、新北市新店區らしい。
 
 
他、日本人旅行者でも簡単に行ける撮影スポットを一部挙げると…
 
亞倫藝術中心
台北市 內湖區 新湖二路 130號
安真が、パーティーのために壺を買いに行き、天蔚と出逢うお店
 
VOLKSWAGEN 福斯汽車 (內湖ショールーム)
台北市 內湖區 瑞光路 28號
安真と小姑・瑞萱が勤務するフォルクスワーゲンのショールーム
 
Urban Cafe & Bistro
台北市 內湖區 基湖路 3巷 9號
安真が、夫の元恋人で同僚の愛琳を呼び出し、話をするカフェ
 
美堤河濱公園
台北市 中山區 樂群一路與基湖路
天蔚に勧められ、安真が叫びながら壁にガラス瓶を投げつける川辺の公園
 
PH7 時尚蔬食精品料理餐廳
台北市 市民大道 四段 102號
改造計画の一環として、安真が天蔚に連れて行かれるレストラン

★ 主題歌

オープニングもエンディングも、流れるのは林凡(フレヤ・リン)が歌う曲。
キャッチーなオープニング曲<五天幾年> は、最近『C-POP World 華琉』のエンディングにも使われていて、大プッシュ中みたいなので、ここには、エンディング曲<重傷>の方を。こちらはしっとり (と言う以上に、MVはへヴィ…)。
 

 
 

 
 
最終回に、迷你彬(ミニビン)がチラッと出てきて、「そう言えば、こんな子居たけれど、誰だっけ?」。
よーく考えたら、安真の甥っ子、つまり小姑・瑞瑄&康德夫婦の幼い息子・壯壯であった。
途中まったく登場しないから (日本放送版の編集上?)、瑞瑄&康德は“ケンカばかりしているけれど、実は仲の良い子供のいない夫婦”だと思い込み、壯壯の存在などすっかり忘れていた。
 
他にも、ツッコミ所や辻褄の合わない所、引っ掛かる所は、挙げたらキリが無い。
安真&瑞凡の娘・雨萌のニックネーム“萌萌”が、『レッドクリフ』で周瑜のうちに生まれた馬と同じ名前だ、…とか (笑)。
そもそも、肉体関係の無い外の女性を“愛人”と呼び、それ程度で離婚に至るケースが、現実に有るだろうか。テキトーに遊んできた男性と違い、安真の夫・瑞凡のように、真面目ひと筋できた男性は、タガが外れると、免疫が無い分、重症化し易いとは言うけれど、それにしてもねぇ…。
 
いや、たとえ多少不自然でも、愛人だの不倫だのという、お昼のメロドラマのような内容を、サラリと楽しめる、へヴィ過ぎない偶像劇に仕立ててしまっているのは、斬新と言えるかも知れない。
同時期に放送されていた台湾ドラマの中で、ブッチギリ一番のお気に入りであった。
“『夢遊ハワイ』の徐輔軍監督”作品だと考えてしまうと、まったくの別物で期待外れだけれど、一偶像劇としては、『晴れのちボクらは恋をする』とは比にならないほど上出来。
脚本は勿論のこと、キャスティングもすごく良かったし、字幕で登場人物の名前を、漢字+片仮名ルビで表記しているのも高評価 (他の配給会社もいい加減見習って)。
 
あぁ~ぁ、毎週楽しみにしていたので、終わってしまい脱力…。
BS日テレ、木曜夜11時のこの枠は、今週、来週と2週に渡り『台北24時~台北異想』を再放送。
再来週から、何か新しい中華ドラマが始まるのかと思いきや、スティーヴン・スピルバーグらが制作総指揮にあたるSFドラマ『テラノバ~Terra Nova』を、木金と連夜で放送していくみたい。残念だけれど、少し休めるので、有り難くもある。

台湾ドラマ『晴れのちボクらは恋をする~幸福最晴天』

晴れのちボクらは恋をする

方詠詠は、ホテルで清掃員として働きながら、頼りにならない一家を支える大黒柱。
ある雨の日、職場に向かう途中、車に轢かれそうになり、運転していた男とひと悶着。
実は、その男こそ、詠詠が勤めるホテルを経営する天宇集團の若き敏腕社長・項允杰であった。
気まずい出会いの後、あろう事か、詠詠は社長室専属の清掃係に抜擢され、気難しい允杰と何度も顔を合わす羽目に。
ちょうどその頃、詠詠は、自分が8年間過ごした児童養護施設が、天宇集團の開発に伴い、立ち退きを迫られていることを知る。
一方、允杰は、“小念”と呼ばれる少年と不思議な出会いを果たすが…。

 
2011年7月、BS日テレでスタートした台湾ドラマ『晴れのちボクらは恋をする~幸福最晴天』が、年の瀬の12月21日、全25話の放送を終了。

いつも意見を参考にする趣味の合う友人Mが、このドラマを先にCSで視聴し、酷評していたが、水曜日は、他に観るものの無い“空き日”なので、一応鑑賞。 

★ 概要

期待薄でも、私がこのドラマを観たのは、必ずしも“空き日”だったからだけではなく、監督したのが、徐輔軍(シュー・フージュン)だったから。
 
徐輔軍監督の長編映画デビュー作『夢遊ハワイ』(2004年)は、大好きな作品。 
これで徐輔軍は、私にとって、新作を期待する監督のひとりとなったが、なぜかそれ以降ぱったり音沙汰ナシ…。
台湾映画に復興の兆しが見えてきた近年だと、ヒットを出した若手監督には、次のチャンスも与えられる場合が多いけれど、徐輔軍監督が『夢遊ハワイ』を発表した頃は、まだ低迷期で、新作映画制作の機会がなかなか得られなかったのかも知れない。
 
で、小遣い稼ぎに、偶像劇の監督か。致し方ない。それでも一応観る。
『夢遊ハワイ』でスクリーンデビューを果たした張鈞甯(チャン・チュンニン)が、偶像劇とはいえ、久々に徐輔軍監督作品に登場するのも、見どころのひとつ。
 
キャストは、台湾のみならず、大陸からも多数。
撮影も、台湾と廈門(アモイ)で行われ、近年増えてきている台湾偶像劇と同様に、中国と強い連携。
徐輔軍監督作品は、“台湾度”が高いことが魅力であるから、ここら辺の事情も、かなりのマイナスポイント。 

★ 物語

ホテルで清掃員として働く明るい女の子・詠詠と、そのホテルを経営する若きバツイチ社長・允杰。
自分が育った児童養護施設を開発から守りたい詠詠と、ずっと離れて暮らしてきた幼い我が子を引き取りたい允杰とで思惑が一致し、契約結婚。
形ばかりの結婚のはずが、ふたりの間に徐々に愛情が芽生え、幾多の困難を乗り越え、ついには真の絆で結ばれる、いわゆるシンデレラ・ラヴストーリー
 
 
庶民的な女の子が、格違いの御曹司と、有ろう事かベッドを共にし、その一回きりの過ちで妊娠したり、愛も無いのに条件付きで契約結婚するくだりは、『ハートに命中!100%~命中注定我愛你』を髣髴。
様々な困難を乗り越えたふたりの男女が、穏やかに海辺のレストラン経営に落ち着くラストは、『おいしい関係~美味關係』を髣髴 (…と言うか、その海辺のレストランが『おいしい関係』と同じ店)。

★ キャスト

晴れのちボクらは恋をする

 ◆賀軍翔(マイク・ハー):項允杰~天宇集團の若き社長 実は中国留学時代に一度結婚経験アリ
 
ぎゃーっ、また出ちゃった、がぐんしょう(賀軍翔)…! 
小美(=賀軍翔)ファンの皆さまには申し訳ないが、彼、昭和臭が漂い過ぎて、やっぱり苦手…。
もっこりセットした茶髪の前髪から覗く真っ黒な眉毛は、“野口五郎世代”の専売特許でしょ。
出演作がこれだけ日本で放送されているにも関わらず、いまいちブレイクしないのは、やはり“今”を感じさせるヴィジュアルじゃないのも一因ではないだろうか。
あのチープな茶髪が、御曹司役に相応しくないのは、偶像劇にリアリティを求める視聴者が少ないことを考慮して、許すとしよう。
しかし、偶像劇にも関わらず、素敵な偶像であって欲しい主人公が、脇役男優よりイケていないのは、致命的。
『スターな彼~呼叫大明星』では、恋のライバルであるタクシー運転手に、本作品では弟に負けている…。
 
 
張鈞甯(チャン・チュンニン):方詠詠~母を亡くし施設で成長 今は父の再婚家庭を支える大黒柱
 
このブログの『ハチミツとクローバー~蜂蜜幸運草』コメント欄に、“張鈞甯がにしおかすみこに似ている”との御意見を頂いて以来、前髪を下ろした張釣甯が、にしおかすみこにしか見えなくなってしまった私… (苦笑)。
彼女にとっては、久々の徐輔軍監督作品。
他の監督は、とかく知的な張鈞甯を撮ろうとするが、徐輔軍監督にとっての張釣甯は、今も昔もピュアで真っ直ぐな女の子みたい。
 
 
李易峰(リー・イーフォン):項允超~允杰の弟で天宇集團の副社長 できる兄にライバル心
 
このドラマを辛うじて観続けられたのは、李易峰のお蔭。
日本ではよく『頑張れ!いい男』というタイトルで紹介される中国のオーディション番組『加油!好男兒』出身。
『加油!好男兒』出身の大陸明星は、これまで蒲巴甲(プー・バージャ)と喬任梁(キミー・チャオ)をナマで見る機会にあずかったが、年々確実にレベルが向上してきている。
李易峰に至っては、郭品超(ディラン・クォ)を可愛らしくしたような顔立ちで、もうフツーにイケメン。
本ドラマではお兄ちゃんを完全に食ってしまっている。
日本ではこれまで、“台湾男優=カッコイイ、大陸男優=野暮ったい”というイメージが付きまとってきたが、ついに逆転現象。
人口が多く、元々原石はゴロゴロ転がっていた中国。この傾向は進むかも知れない。
 
 
周子涵(チョウ・ツーハン):汪嵐~允杰の元妻で中国の人気キャスター 実はシングルマザー
 
李易峰とは逆に、イケていなかった大陸明星が、周子涵。
“大陸明星、女優は美女揃いだが男優は不器量”と思われがちであったけれど、本作品では違う。
周子涵も、普段はもう少し若々しいのに、このドラマだとオバさんくさい。
知的なキャスターを演じるためにカットしたワンレングスの髪型のせいかも知れない。
このルックスだと、允杰と同性代の元妻には見えず、“允杰が中国留学中、ホームシックにかかったばかりに、母性を求め、ついついヨロメき、誤って関係を持ってしまった下宿のオバさん”という設定の方が説得力アリ。
 
ドラマ終盤、この汪嵐が、足の治療のため、項允杰の手配で台湾に滞在する際 暮らす家が、『P.S.男~偷心大聖PS男』の人気モデル阿曼達、『スターな彼』のお嬢様・惟晨、そして『君には絶対恋してない~就想賴著妳』の辣腕弁護士・項羽平と同じおうち。
允杰と羽平の名字が“項”で同じため、ふたりは親族関係で、家を借りた、…と勝手に物語を膨らませた私。
 
 
李金銘(リー・チンミン):孔心潔~銀行家の令嬢でデザイナー 允超を愛するように
 
李金銘は、周子涵と違い、まるで台湾女優のようだが、実は彼女も大陸女優。
山東省出身、上海戲劇學院卒の新進女優。このドラマ、脇の主要キャストに大陸明星が多数出演している。
李金銘は、台湾偶像劇に登場するお嬢様役として、まったく違和感ナシ。
でもねぇー、後半詠詠に嫉妬心を燃やしだす孔小姐には、かなりムカつき、本気で嫌いになりかけた…。
 
 
他、脇役でも度々登場するため、印象に残るのが、詠詠と血の繋がらない義理の姉、太っちょの金雯に扮する廖慧珍(リャオ・ホェイチェン)
元裏方サンだった彼女は、映画『ラブ ゴーゴー』でいきなり主人公に抜擢され、スクリーンデビュー。
この映画には、徐輔軍監督が、アシスタント・プロデューサーとして(いや助監督だっけ?)参加しているから、本ドラマは、張釣甯ばかりではなく、監督の“昔のよしみ”の人が他にも出演している訳だ。
 
それから、汪嵐と允杰の息子、“小念”こと念杰を演じた鄭偉(チェン・ウェイ)という子役。
この子、大陸ドラマ『三国志~三國』で子供時代の孫權に扮し、日本でお披露目済み。
我が愛しの金城武主演映画、陳可辛(ピーター・チャン)監督最新作『武俠』にも出演している模様。
時代劇で見ると違和感のない彼も、現代劇で見ると、髪のカットが大陸仕様で、気になる。
もっとも、中国の子供の役だから、それで良いのだけれど。
役名の念杰は、勿論パパ允杰から一字とっている訳で、ママ汪嵐の別れた元夫への想いが窺える。
 
 
 
最後に、エンディングに流れる張韶涵(アンジェラ・チャン)<傷日快樂>を。
明るいオープニング曲とはうって変わり、美しい泣きの旋律と張韶涵の高音が切ない…。
 

 
 

 
 
うーん…、ツマラナい、最悪!とまでは言わないけれど、徐輔軍監督作品だと考えると、ハードルがぐっと上がってしまい、まったく物足りない。
徐輔軍監督らしさが感じられない、他の監督でも撮れる、ごくごく平均的な偶像劇という印象。
 
姿をくらました汪嵐が、何の前触れも無く車椅子で登場したシーンは、あまりにも唐突で、一瞬目を疑ったが、こういう都合の良過ぎる雑な展開は、むしろ“らしく”て、案外嫌いじゃない (笑)。
ドラマの中で“Brownie ブラウニー”と呼ばれていたお菓子が、ブラウニーとは別物だった事も然り。
「あらあら、それはただのチョコレートケーキでしょ (しかも不二家とかの安いやつ)」とひとり突っ込む。ケーキのデコレーションに、今どき珍しい真っ赤に染めたチープな缶詰チェリーを使っているのも、“らしい”。
 
そういうハズした感じ、ユルい感じは、むしろOK。
それよりも、このドラマで問題と感じたのはキャスティング。 
どうせ同じ内容ならば、キャストにもっと魅力が無いと。 
特に項允杰役と汪嵐役が、他の俳優だったら、もう少しは萌え作品になっていた気がする。
張鈞甯も、最近偶像劇に出過ぎ。
彼女、日本ではまず映画で有名になったから、最初の内は、「あの張鈞甯も出ているドラマ!」という文句が売りにもなったけれど、最近はむしろ映画よりドラマの女優になってしまっている印象。テレビに露出し過ぎると、有り難味が失せる。もう30になるし、軌道修正した方が、女優としての株が上がるというものヨ。
 
徐輔軍監督は、やっぱり映画作品で観たい…!
映画を撮っていない内に、腕を落としたのではなく、偶像劇というニーズに応えて、器用にこういうドラマを撮ってしまったのだと信じたい。
 
あと、このドラマも、固有名詞が片仮名表記なのが許し難い。
日本版公式サイトを見ると、人物相関図では漢字も併記されているのに(いくつか間違った漢字を使っているようにも見受けるが…)、なぜ字幕は片仮名にするか。
“ヨンヨン”以外非常に分かりにくい。特に、ユンチエ(允杰)、ユンチャオ(允超)、シンチエ(心潔)なんて、みーんなゴッチャで、まったく脳裏に焼き付かなかった。
 
 
BS日テレ、水曜夜11時、このドラマの後枠は、『あの日を乗り越えて~那年、雨不停國』を放送。
短いドラマだけれど、こちらは秀作。私、もう普通の偶像劇ではなかなか満足できない体質になっているので、地味でも高品質のこういうドラマの放送を増やして頂きたい。
ちなみに、現在日本で放送中のいわゆる偶像劇で、お気に入りは『結婚って、幸せですか~犀利人妻』。

台湾ドラマ『愛∞無限~Endless Love』

愛∞無限

子供の頃、交通事故で母を亡くし、そのショックで父は重度の認知症…。
そんな父の世話をしながら、家計を支えるため、休みなく働く大学生の梁景晧は、苦労を感じさせない明るい青年。
ある晩、いつものように露店で服を売っていると、警察が抜き打ちの取り締まり。 景晧は慌てて逃げるが、その際、同じ大学に通う宋瑞恩のスカートをダメにしてしまい、弁償する羽目に。
父の介護代と重なり、お金に困った景晧は、仕事の量を増やすが 、そのせいで、ひとり家に残された父がボヤ騒ぎを起こしてしまう。

一方、何不自由なく育った瑞恩は、相変わらず景晧に無理を言い続けるが、彼の家庭の事情を知り、後悔。
景晧の留守中に彼の家を訪ね、罪滅ぼしに、内緒で家の修復をする。
景晧の父は、突然訪ねて来た瑞恩を、亡くなった妻だと思い込み、慕うように…。
 

2011年6月末、東京MXでスタートした台湾ドラマ『愛∞無限~Endless Love』が、ちょうど一週間前の11月9日に放送終了。
このドラマの日本版は、本来24話あるそうだが、東京MXで放送したものは、全20話のお手軽短縮版。
 
ふぅー、キツかったぁ…。
いつもなら、オリジナル版で放送しろ!カットするな!と文句をつけるところだが、このドラマの場合、「4話と言わずに6話でも切りたいだけ切って」とお願いしたくなる程かったるかった…。
今回はブログに感想を載せるのやめようかとも思ったけれど、恒例なので一応ザッと。

★ 概要
 
監督・林合隆(リン・ハーロン)×プロデューサー柴智屏(アンジー・チャイ)という、台湾偶像劇お馴染みのコンビによるドラマ。
お馴染みではない、新しい試みは、脚本に韓国人を起用している点。
この脚本家・權昭娟(クォン・ソヨン)は、韓流ドラマ『ロマンスハンター』や『ルル姫』を手掛けた人とのこと。
 
東京MXで放送中の10月、本国台湾では、主演男優・潘瑋柏(ウィルバー・パン)が、台湾版エミー賞、第46回金鐘獎で、このドラマでの演技が評価され、主演男優賞を受賞。
 
★ 物語

認知症の父を抱える苦学生・景晧とお嬢様・瑞恩が出逢うキッカケは、赤い糸ならぬ、赤いニットのミニスカートからホツレた毛糸。
瑞恩は、幼馴染みの民碩を、運命の人だと信じているが、彼は瑞恩のことを妹としか見てくれない。
そんな遣る瀬無い片想いの最中、ひょんなキッカケで出会った景晧とは、まったく異なる家庭環境で育ち、まったく価値観も合わないが、次第に惹かれ合い、誤解や困難を乗り越え、ついにゴールイン!
…のハズが、結婚式当日、景晧が突然失踪。
瑞恩は、ワケも分からぬまま、それでも景晧を信じ、彼を待ち続け、あっと言う間に3年が経過。
実はこの間日本に居た景晧が、成功者として台湾に帰国。
彼の傍らには、若手人気女優の心潔。しかも、景晧は以前とすっかり変わり、冷酷人間に。
景晧と瑞恩は本当に赤い糸で結ばれているのか?!という運命のラヴストーリー
 
 
げっ…。 観る前から予感はしていたが、そのイヤな予感が見事に的中。
身分違いの男女、皮肉にもふたりを繋げる親の代で起きた不幸、恋敵の存在、拉致、監禁、そして失踪と、韓流脚本家に託した甲斐あり、韓流テイストてんこ盛り。
主人公の男女が血縁でなかった事と、難病に冒されない事だけが、せめてもの救い (大怪我はするけれど)。
 
これまで私は幾度となく、台湾アイドルの韓流化をボヤいてきたが、それはドラマにも言えること。
韓流が良ければ、韓流を観れば良いだけのこと。“韓流っぽい”ものなんて要らない。
幸い人の好みは千差万別だし、気分によっても変わるもの。
台湾は自信を持ってオノレの道を突き進んでちょうーだい。
こんな所でまでグローバル化を目指さなくてもいいですからっ…! 

★ キャスト
 
愛∞無限

潘瑋柏(ウィルバー・パン):梁景晧~幼い頃母を亡くし、認知症の父と暮らす苦学生
 
潘瑋柏が好きだからこそ、退屈でも頑張ってこのドラマを観続けた私だけれど、彼が金鐘獎で主演男優賞を受賞したのは、正直なところ意外で、もしかして受賞には裏で働く力が有るのでは…、と金鐘獎の正当性にさえ疑問を感じてしまった。 
ドラマ自体にハマれなかったという事もあるけれど、今回はどうも評価しにくい瑋柏クンであった…。
『笑うハナに恋きたる~不良笑花』では、潘瑋柏ファンじゃない人が見ても、いつの間にか彼にオチてしまうような魅力に溢れていたけれど、本ドラマではイマイチときめかず…。
潘瑋柏は苦悩する顔より、底抜けに明るい表情の方がやっぱり似合う。
韓流テイストのドラマだからといって、後頭部からゴッソリもってきた前髪を1:9分けにする“韓流ヘア”にしなかっただけマシかも。今後も頼むから、あれだけはやめてね、瑋柏クン。
 
 
張榕容(チャン・ロンロン):宋瑞恩~裕福な父子家庭で育った美術の才能に溢れたお嬢様
 
映画『ヤンヤン~陽陽』での成功で、すっかりスクリーン女優に格上げされた張榕容が、今さらこんなベタベタな偶像劇に出演するとは、思ってもみなかった。
私は元々ガイジン顔が好みではないのだけれど、張榕容は、映画で見ると、不思議と悪くない。
でも、偶像劇で見ると、やっぱりなんか違和感が…。  
飛ばし過ぎの『ぴー夏がいっぱい~熱情仲夏』よりは、受け入れ易かったけれど。
出演シーンの6割はさめざめ泣いていた気がする。実力派の意地で、韓流テイストにも対応可能なところを見せたかったのか。
見た目だけで言えば、昨今の日本では、瞬時にハーフと判るハーフ顔の女優はあまりウケない気がする。
遥か昔のゴールデンハーフとかキャロライン洋子の時代を思い起こさせる。
台湾ではウケが良いのか、彼女とか許瑋甯(ティファニー・シュー)とか、この手のハーフ女優が結構活躍。 
 
 
林祐威(リン・ヨウウェイ):李民碩~瑞恩が憧れる幼馴染みの医師 時が経ち立場が逆転
 
久し振りに見た林祐威が、男っぽく、カッコよく成長していてビックリ。
李威(リー・ウェイ)とWEWEというユニットを組んでいたアイドル時代は、“年と共に絶対に朽ちる童顔”だと思っていたので、30過ぎてこのように変貌するとは予想だにしなかった。
せっかく「林祐威なかなかカッコイイじゃん」と気付いたのに、このドラマ放送中の2011年9月、お嫁サマを娶ってしまわれた…。残念…!なぜ彼の素敵さにもっと早く気付かなかったのでしょう。
早く気付いたところで、結婚を阻止できた訳じゃないのだから、別にいいんだけれどね (苦笑)。
 
 
住谷念美:許心潔~景晧との交際に積極的な人気女優 実は母との間に問題が
 
ぜんぜん知らなかった住谷念美。“すみや・ねみ”と読むそう。
つい最近、テレビで東京ガールズコレクションの映像が流れた時、ランウェイを歩く彼女が映った。
若い女の子の間では、そこそこに知られたモデルさんなのかも知れない。
日本と台湾のハーフで、日本語も中国語も喋るとのこと。
このドラマだと、吹き替えのようにも感じたのだけれど、もしかして本人なの?
甘いドール顔に、徐若瑄(ビビアン・スー)の面影が少し有るせいか、台湾寄りの顔立ちだと思ったけれど、全体の雰囲気は日本人っぽいかも。
日本では、私も観た『東京リトル・ラブ』の2ndシーズンに出演していたようだが、どこに…?? 
 
 
他にも脇で色んな俳優が出演しているのだが、取り分け気になる人をひとりだけ挙げるなら、瑞恩の父親・宋萬紀に扮した趙樹海(チャオ・シューハイ)
何が気になったかって、頭髪が。
以前から薄々察してはいたが、見れば見る程ズラっぽいんだもーん。 (“薄々”は別に嫌味ではない)
 
愛∞無限

決定的な画像は見付からず。証拠は残さない主義か。
台湾熟年男優では、これまで張國柱(チャン・グォチュー)の厚塗りファンデばかりが気になっていたが、これからは趙樹海の頭部を必要以上にに凝視してしまいそう…。

★ 小道具
 
このドラマでは、良くも悪くも、あまりピンと来る衣装や小道具が無かった。
ツッコむ気力さえ湧かないほど退屈しながらダラダラ観ていたからかも。
ひとつだけ記憶に残ったアイテムは、瑞恩が幾度となく付けて登場したカチューシャ。
 
愛∞無限

瑞恩は、景晧に影響され、後半カジュアルな格好をするようになるが、お嬢様っぷりを発揮していた前半で、その象徴のように愛用していたのが、このカチューシャ。
フェラガモのVARAというのが、今どきの女子大生っぽくなく、80年代コンサバOL風で、「なんで敢えて今コレ?」と印象に残る。

★ テーマ曲
 
最後に、潘瑋柏によるオープニング曲<我們都怕痛>を。
この歌は、韓流テイストのドラマに合わせたK-POP調ではないけれど、“お涙頂戴モノ”に合わせたのか、Hip Hop小天王・潘瑋柏にしてはオーソドックスなバラードになっている。
曲を書いたのは林子良(ジョニー・リン)。
 

 



韓流をあからさまに意識した台湾偶像劇と言えば、真っ先に『Silence~深情密碼』を思い出す。
私、あれも苦手だったけれど、今思えば、この『愛∞無限』よりは、かなりマシだったような…。
日本でも、韓流が猛威を振るい始め、和製ドラマを危惧する声が上がった頃、韓流を意識しまくった (内容は香港映画『インファナル・アフェア』)『輪舞曲~ロンド』という陳腐なドラマが作られ、コケた覚えが。
こってりへヴィな怨恨とか執念といった韓国人ならではの気質が有ってこそ、あの手の韓流ドラマが生まれるわけで、他国が表面的に真似てもねぇー。
だいたい林合隆監督って、“数打ちゃ当たる”的に撮りまくっているけれど、節操ないわヨ。
何本かの“アタリ”を生む代わりに、その倍以上の“ハズレ”を出しているし。
 
そんな“便利屋”林合隆監督が新たに試みた韓流テイスト偶像劇、「こんな事だっらた、なんで19話までまどろこしい大騒ぎをしていたの?!」と肩透かしを食らうほど結局みんなイイ人で、何のシコリも無く、丸く納まる都合の良過ぎるラストは、辛うじて台湾的と言える部分であった。
 
このドラマ、日本での反応は?
潘瑋柏の来日イベント応募券付きDVD-BOXも発売されたけれど。
売れないDVDを売るための苦肉の策だとしても、“台湾ドラマの日本版DVD=イベント参加券”と化している現状にも疑問。
コンサートの場合、一生懸命準備して、スタッフを大勢引き連れて来日しても、チケットは1万数千円だけれど、身ひとつで来日し、ちょっと喋って、握手でもすれば (手抜きのハイタッチで満足させる場合も)、退屈なドラマの高額DVD-BOXがはけるこの商法、ボロすぎます。
だいたい、レンタルで儲けるためか、1枚に2話しか収録せず、カサばかり増やし、値段を釣り上げたDVDなんて、一体誰が本気で欲しがるの…??!(まぁ、だからイベント参加券を付ける訳だけれど…。)
 
 
東京MX、『愛∞無限』の後は、イギリスのドラマに枠を譲ったようで、今晩から『ボーンキッカーズ~考古学調査班』を放送。 これでようやく『家政婦のミタ』に乗り換えられるワ。
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