2010年、中国。
小馬は日雇いで修理工をしながら 木木という7歳の娘を育てているろう者のシングルファーザー。
木木は健聴者だが学校には通わず、ろう者のコミュニティになっている麻雀館で、いつの間にか覚えた手話で通訳をし、皆から可愛がられる存在。
ある時、仲間たちと日々楽しく過ごす父子の前に、5年前に家を出た曉靜が現れる。
小馬とは離婚し、すでに新たな家庭を築いている曉靜が、木木を引き取ると言ってきたのだ。
木木を自分とは同じにしたくない、小馬との生活には お金も尊厳も、そして未来も無い…、曉靜からそう言われ返す言葉も無い小馬。
小馬は 木木を普通の子たちと同じように小学校へ通わせ始め、自分自身も定収入を得るために、仲間の助けを借り、ホテルで清掃の仕事をするようになるが、上手く行かず。
紹介された趙社長に相談したところ、木木を手放したくなかったら50万元もの資産証明が必要だと厳しい現実を聞かされ、絶望する小馬だが…。
幾つかの理由から、公開されたら観るつもりでいた作品。
いざ公開されたら、懸念していた以上に上映館や上映回数が少ない…。
まぁ、それでも私自身は観に行けたから こうしてブログを更新しているのですが。
実際に鑑賞した結果、もっとちゃんと知られていたら、中高年女性を中心に広く支持されるタイプの作品だと感じたので、あの公開規模はちょっともったいない気が。
映画館では、泣いていない私が頭おかしいと思われそうなほど、四方八方からすすり泣く声が…。
「私、そういうの刺さるタイプかも」と直感した方は、即映画館へ。
じゃないと、ぐずぐずしている間に上映終了の恐れ…。
(※当ブログからの盗用を見る度にイヤな気持ちになります。きちんとリンクをお願いいたします。)
概要
原題『不說話的愛~Mumu』
■中国の沙漠(シャー・モー)長編監督作品第2弾。
■脚本は付丹迪(フー・ダンディ)。
付丹迪は1990年生まれ、2008年に入学した北京電影學院 導演系(監督科)卒、過去にも沙漠監督作品を手掛けたことがある脚本家。
…なのだけれど、大学で監督になるお勉強をした人なので、夢はやはり監督さんなのかも。
2025年には『明天到來之前~Departing』という20分弱の短編監督作品を発表。
その短編は『明日が来る前に』という邦題で、2025年晩夏に開催された第21回大阪アジアン映画祭にてワールドプレミア。
その後、『Departing』と邦題を変え、第35回ゆうばりファンタスティック映画祭でも上映され、ご本人も北海道に来たみたいですね。
■プロデューサーは陳國富(チェン・グォフー)。
陳國富は1958年 台湾出身の映画監督兼プロデューサー。
2017年 周迅(ジョウ・シュン)+陳坤(チェン・クン)と共同で、新人俳優の養成やプロ俳優のワークショップを行う山下學堂 The Dome Studioを創設するなど、幅広く活躍。
■主な撮影場所は重慶 江津。
■中国では、2025年4月に劇場公開。
■ここ日本では、2025年5月、中国語+英語字幕で一週間限定の最速上映。
(面白映画社が最近やっているタイプの上映方法を今回はMARCHが実施。その時どれくらいの反応が有ったのかは不明。)
同年10月には、東京・中国映画週間のクロージング作品として上映され、主演俳優も来日してセレモニーに登壇。
その頃には、すでに日本での正式な公開が決まっていたので、私は心置きなくスルー。
その後、2026年1月に一般劇場公開。
監督:沙漠
沙漠 Sha Mo
■沙漠(シャー・モー)は1990年 北京出身、北京電影學院卒の監督さん。
■2012年、祖峰(ズー・フォン)を主演に撮った卒業制作の短篇『黑魚~Black Fish』で複数の賞を受賞。
■2016年、寧浩(ニン・ハオ)監督の壞猴子影業による才能ある新人監督発掘育成プロジェクト“壞猴子72變電影計劃”の13人の内の一人に選出。
このプロジェクトから生まれ、最も成功した作品は文牧野(ウェン・ムーイエ)監督の『薬の神じゃない!~我不是藥神』(2018年)であろう。
他、13人の中には、後にドラマ『風起隴西<ふうきろうせい>SPY of Three Kingdoms~風起隴西』を撮る路陽(ルー・ヤン)監督や(映画作品はあまり私の好みに合わず)、近年『ノー・モア・ベット~孤注一擲』(2023年)『南京照相舘~Dead To Rights』(2025年)といった映画をヒットさせた申奥(シェン・アオ)監督などもいる。
映画『あなたがここにいてほしい~我要我們在一起』(2021年)
その後、青春学園モノwebドラマ『你好,舊時光~My Huckleberry Friends』(2017年)も好評だった沙漠監督が、いよいよ長編映画監督デビュー。
web小説の映画化作品で、内容は高校時代に知り合った男女の十年の歩みを描くラヴストーリー。
主人公の男女を演じているのは、屈楚蕭(チュー・チューシアオ)+張婧儀(ジャン・ジンイー)。
web小説の映画化作品で、内容は高校時代に知り合った男女の十年の歩みを描くラヴストーリー。
主人公の男女を演じているのは、屈楚蕭(チュー・チューシアオ)+張婧儀(ジャン・ジンイー)。
このデビュー作のプロデューサーが、やはり陳國富(チェン・グォフー)。
ネット上で評判だった小説の版権を獲得したものの、それを演出するのに相応しい新人監督をなかなか見つけられずにいた陳國富Pが、ドラマ『你好,舊時光』を見て、沙漠監督に白羽の矢。
その後もタッグを組む付丹迪(フー・ダンディ)も、この作品ですでに脚本を担当している。
『我要我們在一起』は日本にも正式に入って来た。
なんと日本語吹き替え版まで制作されて劇場公開されたのだ。
…あまり話題にならなかったけれど。
(そもそもこの映画を観る層が日本語吹き替え版を欲しがるか疑問。)
『我要我們在一起』は日本にも正式に入って来た。
なんと日本語吹き替え版まで制作されて劇場公開されたのだ。
…あまり話題にならなかったけれど。
(そもそもこの映画を観る層が日本語吹き替え版を欲しがるか疑問。)
私自身が初めて観た沙漠監督も『我要我們在一起』。
中国で“催涙映画”と称されていたので、ベッタベタの恋愛モノ覚悟で鑑賞したら、意外と中国の実情を取り入れたリアリティある作風。
傑作と思わないまでも、私はこれを観たことによって、沙漠監督は青春映画や恋愛映画以外の作品も撮れる監督なのではないかと感じた。
私が第2弾の『愛が聞こえる~不說話的愛』を観てみようと思った大きな理由の一つは、まさにそこ。
『開拍吧~Action』
こちら、愛奇藝 iQIYI制作+配信による2021年のバラエティ番組。
6人の若手監督がそれぞれに短編作品を撮って競う様子を見せるというもの。
沙漠監督も、それら6人の内の一人として番組に参戦
短編『不說話的愛~Mumu』
その番組内で、沙漠監督監督が発表した短編の一本。
20分程度の短編作品で、内容はざっと以下の通り。

『開拍吧』で最終的に沙漠監督は、あの陳凱歌(チェン・カイコー)監督からもお褒めの言葉を頂き、最佳青年導演(最優秀青年監督賞)を受賞。
あの時の短編『不說話的愛』を長編映画にセルフリメイクしたのが、この度 日本でも公開された映画『愛がきこえる~不說話的愛』。
キャストは一新されているが、脚本は短編作品を手掛けた付丹迪(フー・ダンディ)が長編でもそのまま続投。
沙漠監督と付丹迪は、短編制作の後 約3年に渡り、共に調査やインタヴュ、脚本の推敲を重ね、長編映画を制作。
あの時の短編『不說話的愛』を長編映画にセルフリメイクしたのが、この度 日本でも公開された映画『愛がきこえる~不說話的愛』。
キャストは一新されているが、脚本は短編作品を手掛けた付丹迪(フー・ダンディ)が長編でもそのまま続投。
沙漠監督と付丹迪は、短編制作の後 約3年に渡り、共に調査やインタヴュ、脚本の推敲を重ね、長編映画を制作。
私自身は、まず長編デビュー作『あなたがここにいてほしい~我要我們在一起』を観たことで沙漠監督が気になり、短編『不說話的愛』もネット上で試しに鑑賞。
へぇー、あれが長編に作り替えられたの?!という興味、それもこちらの新作映画を観ようと思った要因。
物語
本作品は、ろう者の小馬と健聴者の少女 木木、二人きりで生きてきた親子の前に、元妻の曉靜が娘を引き取ろうと現れたことで、自分の養育能力を示そうとした小馬が躊躇しながらもついつい犯罪に手を染め、どんどん深みに嵌る悲劇と親子の愛の絆を描く人間ドラマ。
この長編映画版にも、父+母+一人娘が主要人物として登場し、それぞれの役名が短編と同じ。
つまり、父=小馬、母=曉靜、娘=木木。
木木がろうの親を持つ健聴者の子供、コーダ(CODA=Children Of Deaf Adultsの略)であることも同じ。
しかし、他の設定がかなり変えられている。
短編では、小馬と曉靜は共にろう者の夫婦で、娘の木木だけ健聴者。
一方、長編映画版では、小馬だけがろう者。
曉靜は5年前に家を出て、夫婦は離婚。
それ以降、小馬と木木は、ろう者のコミュニティの中で仲良く暮らしている。
なんとそこに、再婚して経済的にも安定している曉靜が現れ、木木を引き取りたいと申し出る。
小馬がそれを拒否したため、曉靜は裁判を起こす!とご立腹。
父親としての小馬に落ち度は無く、娘との関係も良好であるため、裁判になったところで、実のところ小馬は有利な立場。
なのに、小馬はそれを知らない…。
それどころか、小馬自ら状況を暗転させてしまう出来事が発生。
小馬が弁護士の説明を聞き取れないことを利用し、阿梅という“親切な”手話通訳者が「裁判になったら不利だし、費用も多額」と彼に“誤訳”を伝えるのだ。
木木を失いたくない小馬は、安定した収入を得るため、友人の口利きで、ホテルの清掃の仕事に就くが、耳が不自由なことで何かと問題が起き、せっかくの仕事も住む場所も失ってしまう。
でも大丈夫、阿梅のボスで、これまた“親切な”趙亮が、力を貸してくれる。
小馬、絶体絶命?!
でも大丈夫、阿梅のボスで、これまた“親切な”趙亮が、力を貸してくれる。
趙亮によると、木木の親権を得るためには、50万元という多額の資産証明が必要不可欠。
当然 小馬には準備できる額ではないが、趙亮が稼げる仕事を斡旋してくれることになったのだ。
その仕事とは、運転して故意に事故を起こし、車を破損させるというもの。
車は安価な部品で修理し、下りた保険金との差額で稼ぐ、アレンジ版当たり屋であり、保険金詐欺…。
小馬はそれが違法だと気付きながらも、他に大金を稼げる手段が無いため、致し方なくその仕事を受ける。
しかも、破損が充分でないと保険金が下りないと言われ、危険運転はどんどんエスカレート…。
短編とは随分異なる展開である。
当初「えっ、あの短編を、クライムサスペンスに作り替えちゃうの…?!」と少々戸惑った。
が、それは私の誤解であった。
弱者の弱みに付け込んだ犯罪を描く本作品は、クライムサスペンスというよりはむしろ社会派的かも。
…いや、社会派はちょっと大袈裟。
全く“社会派然”とした作風ではないし。
親子の深い絆や言葉を越えた愛情を伝えるために、弱者が狙われがちな犯罪を取り入れ、誰にでも分かり易いエンタメ仕立てにしている、そのような作品。
フランス映画『エール!~La Famille Bélier』(2014年)をアメリカのシアン・ヘダー監督がリメイク。
一家の中で唯一耳が聞こえるため、通訳者として欠かせない存在になっているティーンの女の子の物語。
第94回 アカデミー賞 作品賞受賞作ということもあり、日本でも話題になったし、日本で“コーダ”という言葉を広めるきっかけにも。
人気の吉沢亮が、成長したコーダの主人公に扮しており、一から手話を学んで役に臨んだことも話題に。
ろう者の親とコーダの関係を描く映画というと、多くの日本人がパッと思い浮かべるであろう作品は以上の2本ではないだろうか。
私自身、まぁ、そうなのだけれど、実際に『不說話的愛』を観たら、もう一本別の作品を思い浮かべた。
韓国系カナダ人 ロイド・リー・チョイ(Lloyd Lee Choi/李·崔 Lloyd)長編監督デビュー作で、主演は台湾の張震(チャン・チェン)。
当然 小馬には準備できる額ではないが、趙亮が稼げる仕事を斡旋してくれることになったのだ。
その仕事とは、運転して故意に事故を起こし、車を破損させるというもの。
車は安価な部品で修理し、下りた保険金との差額で稼ぐ、アレンジ版当たり屋であり、保険金詐欺…。
小馬はそれが違法だと気付きながらも、他に大金を稼げる手段が無いため、致し方なくその仕事を受ける。
しかも、破損が充分でないと保険金が下りないと言われ、危険運転はどんどんエスカレート…。
短編とは随分異なる展開である。
当初「えっ、あの短編を、クライムサスペンスに作り替えちゃうの…?!」と少々戸惑った。
が、それは私の誤解であった。
弱者の弱みに付け込んだ犯罪を描く本作品は、クライムサスペンスというよりはむしろ社会派的かも。
…いや、社会派はちょっと大袈裟。
全く“社会派然”とした作風ではないし。
親子の深い絆や言葉を越えた愛情を伝えるために、弱者が狙われがちな犯罪を取り入れ、誰にでも分かり易いエンタメ仕立てにしている、そのような作品。
参考作品
映画『コーダ あいのうた~CODA』(2021年)
フランス映画『エール!~La Famille Bélier』(2014年)をアメリカのシアン・ヘダー監督がリメイク。
一家の中で唯一耳が聞こえるため、通訳者として欠かせない存在になっているティーンの女の子の物語。
第94回 アカデミー賞 作品賞受賞作ということもあり、日本でも話題になったし、日本で“コーダ”という言葉を広めるきっかけにも。
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024年)
五十嵐大の自伝的エッセイを呉美保監督が映画化。
幼いころから当たり前のように ろう者の両親の“通訳”だった主人公が、成長と共にその状況を疎ましく感じるようになり、逃げるように都会へ出るが、やがて母の深い愛に気付き、絆を取り戻す心情を綴る物語。人気の吉沢亮が、成長したコーダの主人公に扮しており、一から手話を学んで役に臨んだことも話題に。
ろう者の親とコーダの関係を描く映画というと、多くの日本人がパッと思い浮かべるであろう作品は以上の2本ではないだろうか。
私自身、まぁ、そうなのだけれど、実際に『不說話的愛』を観たら、もう一本別の作品を思い浮かべた。
映画『Lucy Lu~幸福之路』(2025年)
韓国系カナダ人 ロイド・リー・チョイ(Lloyd Lee Choi/李·崔 Lloyd)長編監督デビュー作で、主演は台湾の張震(チャン・チェン)。
ニューヨークを舞台に、中華系移民の配達員男性が、様々な不運に見舞われながらも、故郷から呼び寄せた妻子のために奮闘する物語。
主人公はろう者ではないし、コーダも関係ない作品。
でも、“父と幼い娘” “娘のためにパパが稼ごうと頑張る”、でも “社会的弱者であるがゆえに 稼げる手段が違法行為”といった点が『不說話的愛』に近い。
さらには、娘はまだ幼くても、父親の違法行為に気付いていることも共通。
どちらも、娘のために頑張ったはずが、娘に知られたくない事実を知られてしまったパパは情けなく遣る瀬無い気持ちになるのだ。
この映画は第26回 東京フィルメックスで『ラッキー・ルー(仮)』の邦題で上映され、 日本国内では 2026年~2027年初頭辺りに一般劇場公開が予定されている。
長編映画版『不說話的愛』のキャストは、短編版からガラリと変えられている。
短編でろう者の夫婦を演じているのは、王先賀(ワン・シエンハー)+嚴亞敏(イエン・ヤーミン)という素人のろう者。
長編映画版では主人公にスタア俳優を起用した代わりに(…という言い方は良くないかも知れないが)、26人の素人のろう者を脇の人物に起用。
主人公はろう者ではないし、コーダも関係ない作品。
でも、“父と幼い娘” “娘のためにパパが稼ごうと頑張る”、でも “社会的弱者であるがゆえに 稼げる手段が違法行為”といった点が『不說話的愛』に近い。
さらには、娘はまだ幼くても、父親の違法行為に気付いていることも共通。
どちらも、娘のために頑張ったはずが、娘に知られたくない事実を知られてしまったパパは情けなく遣る瀬無い気持ちになるのだ。
この映画は第26回 東京フィルメックスで『ラッキー・ルー(仮)』の邦題で上映され、 日本国内では 2026年~2027年初頭辺りに一般劇場公開が予定されている。
キャスト:全般
長編映画版『不說話的愛』のキャストは、短編版からガラリと変えられている。
短編でろう者の夫婦を演じているのは、王先賀(ワン・シエンハー)+嚴亞敏(イエン・ヤーミン)という素人のろう者。
長編映画版では主人公にスタア俳優を起用した代わりに(…という言い方は良くないかも知れないが)、26人の素人のろう者を脇の人物に起用。
沙漠監督はすでに短編『不說話的愛』の経験が有ったため、素人のろう者でも演じきれるという自信あり。
撮影をスムーズに進行するため、撮影前にスタッフたちにも基本的な手話を学ぶ時間を設けたり、聴覚に障害があり視覚に頼る人々のために、カメラの“スタート”や“カット”は(現場の状況が許すならば)照明の変化で合図する工夫なども。
それでも、クランクイン数日前に問題に直面。
普段はカメラの動きや配置にこだわる沙漠監督だが、ろう者は相手と向かい合ってコミュニケーションを取るもので、歩きながら手話をすることがないため、これまでの手法があまり使えないことに気付いたのだ。
結局、技巧に頼るのではなく実直にありのままを撮影することで、台詞の質も高まり、観客にも本当の情報が伝わると徐々に分っていったという。
なお、短編で主人公 小馬を演じた王先賀は、長編映画版『不說話的愛』にも出演しており、“四眼(めがね)”という役に扮している。
小馬の仲間で、ちょっと危うさのある男。
脇とは言え重要な役。
俳優としては経験が浅くても、ダンサーとしては、障碍者ダンスコンクールで賞を獲ったり、大きなイベントのステージにも立っているようなので、人前で表現することには慣れていそう。
実際、演技も堂々とこなしているし、今後はまだ少ない中国人ろう者俳優として活躍する可能性大。
◆張藝興(チャン・イーシン):馬達(マー・ダー)
撮影をスムーズに進行するため、撮影前にスタッフたちにも基本的な手話を学ぶ時間を設けたり、聴覚に障害があり視覚に頼る人々のために、カメラの“スタート”や“カット”は(現場の状況が許すならば)照明の変化で合図する工夫なども。
それでも、クランクイン数日前に問題に直面。
普段はカメラの動きや配置にこだわる沙漠監督だが、ろう者は相手と向かい合ってコミュニケーションを取るもので、歩きながら手話をすることがないため、これまでの手法があまり使えないことに気付いたのだ。
結局、技巧に頼るのではなく実直にありのままを撮影することで、台詞の質も高まり、観客にも本当の情報が伝わると徐々に分っていったという。
なお、短編で主人公 小馬を演じた王先賀は、長編映画版『不說話的愛』にも出演しており、“四眼(めがね)”という役に扮している。
小馬の仲間で、ちょっと危うさのある男。
脇とは言え重要な役。
俳優としては経験が浅くても、ダンサーとしては、障碍者ダンスコンクールで賞を獲ったり、大きなイベントのステージにも立っているようなので、人前で表現することには慣れていそう。
実際、演技も堂々とこなしているし、今後はまだ少ない中国人ろう者俳優として活躍する可能性大。
キャスト:父
◆張藝興(チャン・イーシン):馬達(マー・ダー)
通称 “小馬”。
5年前に妻の曉靜が家を出てから、修理工をしながら 娘の木木を男手一つで育てているろう者。
親子でろう者のコミュニティになっている麻雀館で生活。
元妻の曉靜に木木を奪われる危機感から、定収入を得ようとホテル清掃の仕事に就くが上手くいかず、手話通訳者 阿梅のツテを頼ることになったのが運の尽き…。
“Lay”こと張藝興は1991年 湖南省長沙出身、広く知られるようになったのは、K-PopアイドルユニットEXOの中国人メンバーとして。
2015年頃から活動拠点を中国に移し、俳優業も本格化。
元EXO中国人メンバーには、鹿晗(ルー・ハン)吳亦凡(Kris ウー・イーファン)黃子韜(Tao ホアン・ズータオ)がおり、当初 彼らと比べ “俳優”としての張藝興はあまり目立っていなかった。
ところが、全員30代半ばになった現在、俳優業が最も上手くいっているのは、張藝興という印象。
(以前は一番作品に恵まれていた吳亦凡は逮捕されちゃったし…。)
ドラマ『大明皇妃 Empress of the Ming~大明風華』(2019年)
孝恭章皇后 孫氏(1399-1462)の一代記を軸にフィクションを交えて描く明朝の歴史ドラマ。
あの湯唯(タン・ウェイ)が初めての時代劇で久し振りにドラマに挑戦!と鳴り物入りで公開されたが、湯唯ファンだけに期待も大きかった私は、このドラマへの失望も大きかった。
『大明風華』における私の数少ない評価ポイントの一つが張藝興であった。
張藝興が演じたのは湯唯の息子の朱祁鎮(1428-1457)。
明朝に実在した皇帝だから、どういう役がだいたい分るわけ。
前半はバカ殿様的で後半は残忍。
人気アイドルなのによくこの役を引き受けたと感心いたしました。
近年は、主演映画もヒット。
申奥(シェン・アオ)監督作品で、内容は、東南アジアを根城にオンラインカジノで違法に稼ぐ詐欺集団を描く物語。
で、『不說話的愛』の小馬役を探している沙漠監督に張藝興を推薦した人物こそ、その『孤注一擲』の申奥監督なのだと。
当の張藝興も、初めて『不說話的愛』の脚本を読み終えた後に「ずっとこういう役を待っていたんです!」と興奮気味に言い、沙漠監督と実際に対面すると、作品や役への解釈を積極的に語ってきたという。
奇しくも『不說話的愛』と『孤注一擲』両作品の主人公は、“詐欺集団に騙されて犯罪に加担してしまった男”という共通点が。
さらに『不說話的愛』では、ろう者で父親という新たな挑戦。
張藝興は多忙の中、2ヶ月間 先生に付き手話をマスター。
撮影現場でも、空き時間にはろう者の共演者たちの輪に加わり、手話でコミュニケーションを取っており、沙漠監督曰く、それはとても暖かで人の気持ちを動かす光景だったという。
私は当然出来上がった映画しか観ていないわけだけれど、カメラが回っていない時のそういう雰囲気は作品にそのまま反映されていたかのように感じる。
“娘をもつ父”という設定にも何の違和感も無かったし、…という以上に、とても父親らしかった。
お肌を綺麗に見せるような処置も施さず、社会の底辺で娘のために必死になっている男性を演じる張藝興は、思いのほか良かった。
明朝に実在した皇帝だから、どういう役がだいたい分るわけ。
前半はバカ殿様的で後半は残忍。
人気アイドルなのによくこの役を引き受けたと感心いたしました。
映画『ノー・モア・ベット~孤注一擲』(2023年)
近年は、主演映画もヒット。
申奥(シェン・アオ)監督作品で、内容は、東南アジアを根城にオンラインカジノで違法に稼ぐ詐欺集団を描く物語。
で、『不說話的愛』の小馬役を探している沙漠監督に張藝興を推薦した人物こそ、その『孤注一擲』の申奥監督なのだと。
当の張藝興も、初めて『不說話的愛』の脚本を読み終えた後に「ずっとこういう役を待っていたんです!」と興奮気味に言い、沙漠監督と実際に対面すると、作品や役への解釈を積極的に語ってきたという。
奇しくも『不說話的愛』と『孤注一擲』両作品の主人公は、“詐欺集団に騙されて犯罪に加担してしまった男”という共通点が。
さらに『不說話的愛』では、ろう者で父親という新たな挑戦。
張藝興は多忙の中、2ヶ月間 先生に付き手話をマスター。
撮影現場でも、空き時間にはろう者の共演者たちの輪に加わり、手話でコミュニケーションを取っており、沙漠監督曰く、それはとても暖かで人の気持ちを動かす光景だったという。
私は当然出来上がった映画しか観ていないわけだけれど、カメラが回っていない時のそういう雰囲気は作品にそのまま反映されていたかのように感じる。
“娘をもつ父”という設定にも何の違和感も無かったし、…という以上に、とても父親らしかった。
お肌を綺麗に見せるような処置も施さず、社会の底辺で娘のために必死になっている男性を演じる張藝興は、思いのほか良かった。
キャスト:コーダの娘
◆李珞桉(リー・ルオアン):木木(ムームー)
小馬と曉靜の7歳の娘。
母親が家を出てから、ずっと父と二人、ろう者のコミュニティの中で暮らし、皆の通訳になっている。
英題が『Mumu』であるように、木木はただの“主人公の娘”という以上に重要な役。
子供が重要な作品で子役が下手だったりアザトかったりすると、シラケてしまうもの。
短編『不說話的愛』で木木に扮したのは楊恩又(ヤン・エンヨウ)。
『星明かりを見上げれば~人生大事』(2022年)で朱一龍(チュー・イーロン)と疑似親子を演じた名子役。
私は勝手に勘違いしており、長編映画版『不說話的愛』の木木も彼女だと思い込んでいた。
そうしたら、実際には違ったのだけれど、そりゃあそうですよね、子供の成長は速いから、3年も間が空いたら役のイメージに合わなくなってしまう。
2013年生まれの楊恩又は、今やもう“お姉さん”の雰囲気。
新たに長編映画版に起用されたのは、2018年生まれの李珞桉。
パッと見の雰囲気は、幼い頃の楊恩又に近い気がする。
小馬と曉靜の7歳の娘。
母親が家を出てから、ずっと父と二人、ろう者のコミュニティの中で暮らし、皆の通訳になっている。
英題が『Mumu』であるように、木木はただの“主人公の娘”という以上に重要な役。
子供が重要な作品で子役が下手だったりアザトかったりすると、シラケてしまうもの。
短編『不說話的愛』で木木に扮したのは楊恩又(ヤン・エンヨウ)。
『星明かりを見上げれば~人生大事』(2022年)で朱一龍(チュー・イーロン)と疑似親子を演じた名子役。
私は勝手に勘違いしており、長編映画版『不說話的愛』の木木も彼女だと思い込んでいた。
そうしたら、実際には違ったのだけれど、そりゃあそうですよね、子供の成長は速いから、3年も間が空いたら役のイメージに合わなくなってしまう。
2013年生まれの楊恩又は、今やもう“お姉さん”の雰囲気。
新たに長編映画版に起用されたのは、2018年生まれの李珞桉。
パッと見の雰囲気は、幼い頃の楊恩又に近い気がする。
ドラマ『慶余年2 麒麟児、挑む~慶餘年 第二季』(2024年)
現時点の日本で一番観られている李珞桉出演作はきっとこれ。
田雨(ティエン・ユー)扮する王啟年の娘で、シリーズ初登場する“王霸”という少女を演じた子。
王啟年の子にしては幼過ぎると思ったけれど、可愛らしい少女でありました。
『慶余年2』は、6歳の時 3千人の子供の中から選ばれたという。
実のところ『慶余年2』では出番は少ない。
映画『不說話的愛』の方がずっと重要な役だし、演技にも磨きがかかっておられる。
コーダの役なので、彼女もまた手話を習得。
だから、台詞を言いながら手話をして、しかも演技もしなければならないというのは、大人の俳優でも難しい事なのに、李珞桉はやり遂げたと、舌を巻く沙漠監督。
なんか次から次へとすごい子役が出てきますね。
なお、成長した木木を演じているのは章若楠(ジャン・ルオナン)。
映画は、警察で手話のボランティア通訳として、あくどい雇い主から罪を被せられたろう者の女性の助けをする木木のシーンで幕を開け、彼女が2010年の少女時代を回想する形で映画は展開。
キャスト:母
◆黃堯(ホアン・ヤオ):曉靜
小馬の元妻で、木木の生母。
5年前に家を出て、今では再婚し、夫と夫の連れ子と暮らす。
家族でニュージーランドに居を移す前に、木木を引き取ろうと、久し振りに小馬の前に現れる。
黃堯は1994年 広東省佛山出身、中央戲劇學院卒。
映画『THE CROSSING 大陸と香港をまたぐ少女~過春天』(2018年)
黃堯の名が広く知られるようになった彼女の代表作。
派手さは無いけれど“普通”を演じられる良い俳優。
そして、若見えする。
『過春天』当時もすでに20歳を越えていたはずだが、すんなり女子高生。
だから『不說話的愛』の曉靜は、張藝興と同様に、離婚再婚歴のある子持ち女性役が新鮮な印象。
名前こそ“曉靜”と同じままだが、役の設定は短編版から随分変えられている。
短編では曉靜もろう者で、娘の木木を巡り夫の小馬と喧嘩することもあるけれど、離婚するほど深刻ではなく、二人は夫婦。
一方、こちらの長編映画版だと、夫と娘を捨て家を出て→再婚して そこそこ裕福になり→木木を引き取るため父娘の前に突然現れるのだから、第一印象はあまり良くない。
が、話が進むにつれ、小馬と夫婦だった当時 曉靜にも辛い思いがあったり、再婚した現在も寂しさを感じていることが伝わって来る。
(現在の寂しさは、息子が夫の連れ子であること。“血縁重視”というより、一回目の結婚の時と同じで、父と子の繋がりが強いことで疎外感があるのかも知れない。)
この曉靜、最終的には、小馬の良き理解者でありました。
一方、こちらの長編映画版だと、夫と娘を捨て家を出て→再婚して そこそこ裕福になり→木木を引き取るため父娘の前に突然現れるのだから、第一印象はあまり良くない。
が、話が進むにつれ、小馬と夫婦だった当時 曉靜にも辛い思いがあったり、再婚した現在も寂しさを感じていることが伝わって来る。
(現在の寂しさは、息子が夫の連れ子であること。“血縁重視”というより、一回目の結婚の時と同じで、父と子の繋がりが強いことで疎外感があるのかも知れない。)
この曉靜、最終的には、小馬の良き理解者でありました。
キャスト:詐欺集団
◆袁文康(ユエン・ウェンカン):趙亮(ジャオ・リャン)
犯罪組織のトップで、阿梅のボス。
娘を手放したくないろう者の小馬に「大金を稼げる」と仕事を持ち掛け、保険金詐欺に加担させる。
袁文康は1980年生まれ、優しい顔立ちで、40代半ばになった今でも充分美男。
彼もまた本作品では、そういう元の印象とは異なる役、少しギラ付きと野心が見える いかにもな中国人社長風情(実際には詐欺師)を演じている。
“いかにも”を象徴する数珠ブレス
まぁ日本でも特に飲食チェーン経営者とか地方の社長さんは数珠ブレス着用率が結構高いですよね。
願掛けとか験担ぎとか、何か理由があるの?
(日本の社長さんの場合、磁気ネックレスとのW使いもよく見る。)
◆安沺(アン・ティエン/ヴィヴィアン・ティエン):李梅(リー・メイ)
通称 “阿梅”。
趙亮の手下で、手話通訳者として小馬に接近し、何かと彼を助け信用を得ながら、犯罪に加担させる。
阿梅も小馬を騙す悪人なのだが、詐欺師としての脇の甘さは、物語の序盤から見え隠れ。
実際、最終的に、貶めることもできたはずの小馬を救おうとする。
安沺は1997年生まれ、上海戲劇學院卒のアメリカ華人。
出世作は、私のお気に入りドラマ『それでも、家族 All is Well~都挺好』(2019年)。
この大ヒットドラマで、姚晨(ヤオ・チェン)扮する主人公 蘇明玉の学生時代で出演していたのが彼女。
当時は英語名のVivienneに漢字をあてた“薇薇安 ウェイウェイアン”でクレジットされていたが、いつの間にか“安沺”に改名。
目元が印象的な猫顔で、姚晨の若い頃を演じるくらだから、芯がしっかりした媚びない女性のイメージが強い。
実は安沺は、『不說話的愛』の脚本家 付丹迪(フー・ダンディ)が監督した短編作品『明天到來之前~Departing』で、台湾の石知田(シー・チーティエン)とW主演。
そういう繋がりもあって『不說話的愛』に起用されたのかも?
(『不說話的愛』と『明天到來之前』、どちらが先だったかは不明だが、付丹迪を介した繋がりはありそう。)
キャスト:その他のキャスト
◆艾麗婭(アイ・リーヤー):紅(ホン)姐
小馬の仲間で、ホテルの清掃員。
小馬に勤務先のホテルでの仕事を紹介し、木木と一緒に暮らせる備品室も用意。
設定は変えられているけれど、紅姐は短編にも登場する役で、そちらだと香港の有名俳優 惠英紅(カラ・ワイ)が演じている。
長編映画版の艾麗婭は、映画『宇宙探索編集部~宇宙探索編輯部』(2023年)がヒットした前後から出演作が激増している印象がある。
◆金世佳(ジン・シージエ)
沙漠監督の前作『我要我們在一起』に“甲”という監督役でちらりと出演している金世佳は、こちらの『不說話的愛』にもちらりと出演。
いや、『我要我們在一起』以上にあっと言う間に消える役。
作品冒頭、人材派遣の親方というか、日雇い労働者の手配師のような役で。
(サングラスをかけた金世佳が クレイジーケンバンド 横山剣にそっくりだったのが意外。)
沙漠監督の次回作では、もう少ししっかり出演していただきたいものです。
特別出演(?)
◆周星馳(チャウ・シンチー)
劇中、部屋のテレビに映っている映像が、周星馳主演の香港コメディ映画『広州殺人事件~九品芝麻官』(1994年)であった。
なんで…???
『九品芝麻官』で周星馳が演じている“包龍星”は、公正無私の名判官 北宋のかの包拯(999-1062)の末裔でありながら、無学で金に汚い清代の知県。
『不說話的愛』の小馬に「詐欺には気を付けろ」の警鐘?
それとも、世代的に黄金期の香港映画に影響を受けた“香港映画大好き少年”だったであろう沙漠監督のお遊びや何らかの思い入れ?
映画の最後には当然のように主演の張藝興が歌う歌が流れてくるのかと思いきや、違った。
実際のエンディング曲は毛不易(マオ・ブーイー)が歌う<你沒說的話>。
王海濤(ワン・ハイタオ)による歌詞が、映画の内容とリンク。
(日本公開版映画では、ちゃんと日本語の訳詞付き。)
それとも、世代的に黄金期の香港映画に影響を受けた“香港映画大好き少年”だったであろう沙漠監督のお遊びや何らかの思い入れ?
エンディング曲
映画の最後には当然のように主演の張藝興が歌う歌が流れてくるのかと思いきや、違った。
実際のエンディング曲は毛不易(マオ・ブーイー)が歌う<你沒說的話>。
王海濤(ワン・ハイタオ)による歌詞が、映画の内容とリンク。
(日本公開版映画では、ちゃんと日本語の訳詞付き。)
主演の張藝興は、映画のプロモーション用の曲として<聽不見的歌>という歌なら歌っておられる。
まとめ
本心で好みを言うのなら、私は短篇の方の より現実味のある作風に惹かれる。
長編映画版は(恐らく広い層に観てもらうことを意識し)娯楽色をかなり強く作り替えられている。
沙漠監督の前作『我要我們在一起』と比べても、こちら『不說話的愛』の方が大衆エンタメ的。
特に前半の演出はとても商業映画的で「これ、私、駄目かも…」と若干退いたが、徐々に慣れ、「ベッタベタの“お涙頂戴”でムズ痒ーい…!」という嫌悪感も湧かず。
私自身が父親にたっぷり愛されて育ったパパッ子で、父子の情を描く作品に弱い傾向は有るのかも。
映画やドラマで泣くことはまず無い私mangoでございますが、それでもジーンと来るシーンはかなり有った。
ニュージーランドに発つ木木に最後に一目会いたい小馬が、飛行場に駆け付け、ガラス越しに木木と手話で会話するシーンとか。
「木木、行かないでー!」ではなく、小馬自身の辛く寂しい感情を、娘を一生自分の耳や口代わりにしてはいけない、所謂ヤングケアラーにしてはいけないといった“理性”とで、一生懸命折り合いを付けようとしているのが感じられて。
あそこは、私と限らず観た人の大半の記憶に刻まれるシーンでしょうね。
ろう者の役を健聴者の俳優が演じることに関しては、近年批判的な意見も多い。
私自身、とても良い味を出していた ろう者のアマチュア俳優を夫婦役に起用した短編を評価。
でも、理想だけでは解決できない、お金が絡む現実的な問題が存在することも理解。
多額を注いで制作される映画では、損を出さないために動員力のある俳優を起用することが確かに効果的だろうし、多くの人に観てもらうことで、結果的に障碍に対する理解が深まる可能性も。
アカデミー賞受賞のハリウッド映画とか、世界的有名監督の作品なら 何でも思うようにできるけれど、そうでなければ、妥協点を探るのは現時点では“あり”なのでは。
もちろん将来的には分からないけれど。
恐らく沙漠監督は、現実主義的な作品とエンタメ作品、どちらも撮れる監督さん。
『不說話的愛』では想定した客層に合わせたまでで、収益度外視で好きなように撮れとお許しをもらえたら、全く異なる作風になっていた気もする。
作中 描かれるろう者を巻き込む犯罪に関しては、火鍋屋の窃盗濡れ衣事件から車輛破損保険金詐欺まで、実際にそういうの有りそう…、と。
弱者をいいように利用する犯罪が卑劣であることは言うまでもないが、いいように使われた側が、理不尽な状況を受け入れてしまいがちなのが、これまた切ない…。
日本語字幕に関しては、本作品は中華ドラマで経験を積んだコンテンツセブン系のMARCH配給ということで、鑑賞前から「多分大丈夫」とほぼ確信。
実際、本作品の字幕はドラマを多く手掛けてきた本多由枝氏による翻訳で上出来。
当然 人名も漢字表記で簡潔。
感謝、感謝…!
上映館や上映回数が少ないのは残念。
これ、NHK『あさイチ』映画コーナーなどで紹介されたら、中高年女性を中心に広い層から支持されそうだし、もっと大規模に公開されたら、それに比例してもっとヒットしていたはずの作品だと感じる。
“EXOの張藝興主演作”というセールスポイントは、張藝興のファン以外にはむしろ忌避ポイントにも成りかねないが、それも多分大丈夫。
私自身 別に張藝興のファンではないけれど、意識せずとも彼を色眼鏡で見ることなく、小馬という役を演じる張藝興と作品をすんなり受け入れたので。
ろう者の役を健聴者の俳優が演じることに関しては、近年批判的な意見も多い。
私自身、とても良い味を出していた ろう者のアマチュア俳優を夫婦役に起用した短編を評価。
でも、理想だけでは解決できない、お金が絡む現実的な問題が存在することも理解。
多額を注いで制作される映画では、損を出さないために動員力のある俳優を起用することが確かに効果的だろうし、多くの人に観てもらうことで、結果的に障碍に対する理解が深まる可能性も。
アカデミー賞受賞のハリウッド映画とか、世界的有名監督の作品なら 何でも思うようにできるけれど、そうでなければ、妥協点を探るのは現時点では“あり”なのでは。
もちろん将来的には分からないけれど。
恐らく沙漠監督は、現実主義的な作品とエンタメ作品、どちらも撮れる監督さん。
『不說話的愛』では想定した客層に合わせたまでで、収益度外視で好きなように撮れとお許しをもらえたら、全く異なる作風になっていた気もする。
作中 描かれるろう者を巻き込む犯罪に関しては、火鍋屋の窃盗濡れ衣事件から車輛破損保険金詐欺まで、実際にそういうの有りそう…、と。
弱者をいいように利用する犯罪が卑劣であることは言うまでもないが、いいように使われた側が、理不尽な状況を受け入れてしまいがちなのが、これまた切ない…。
日本語字幕に関しては、本作品は中華ドラマで経験を積んだコンテンツセブン系のMARCH配給ということで、鑑賞前から「多分大丈夫」とほぼ確信。
実際、本作品の字幕はドラマを多く手掛けてきた本多由枝氏による翻訳で上出来。
当然 人名も漢字表記で簡潔。
感謝、感謝…!
上映館や上映回数が少ないのは残念。
これ、NHK『あさイチ』映画コーナーなどで紹介されたら、中高年女性を中心に広い層から支持されそうだし、もっと大規模に公開されたら、それに比例してもっとヒットしていたはずの作品だと感じる。
“EXOの張藝興主演作”というセールスポイントは、張藝興のファン以外にはむしろ忌避ポイントにも成りかねないが、それも多分大丈夫。
私自身 別に張藝興のファンではないけれど、意識せずとも彼を色眼鏡で見ることなく、小馬という役を演じる張藝興と作品をすんなり受け入れたので。








































































































