天津は、ラストエンペラー愛新覺羅溥儀の正妻、婉容の出身地なので、ゆかりの場所へも足を運ぶ。
 

先日、NHK BS プレミアムで放送された『近代中国に君臨した女たち』の婉容編では、紫禁城を追われた溥儀と婉容、そして側室の文繡が、身を隠すように列車で天津に逃げ、最初に暮らした邸宅・张园(張園)を、内部の様子まで紹介していた。

しかし、残念なことに、この张园は現在企業の事務所として使われ、一般に公開されていないため、私は、その近くに建つ静园(靜園)にのみ行ってみた。


★ 靜園
 
静园では、室内での撮影が禁止されているので、画像は外観のみ。
 
北京2011:天津・靜園

 “鞍山道 70号”

静园が建つのは旧日本租界の鞍山道。
街路樹の緑が綺麗な閑静なこの地域は、上海のフランス租界にも通じる雰囲気。


北京2011:天津・靜園
 
静园 正門

左側の小さな窓口で入場券を購入。


北京2011:天津・靜園

正門を斜めから。


北京2011:天津・靜園

天津市文物保護単位に指定。


北京2011:天津・靜園

静园 母屋


 北京2011:天津・靜園

この正面入り口から中へ。
郊外にあるフレンチレストランを髣髴させる外観。
見張りの係員などは特に居なかった。
入る時は ビニールの靴カバーを装着。
 




溥儀と婉容にとって、张园が天津最初の邸宅なら、静园は天津最後の邸宅
1929年から、溥儀が満州国皇帝になるため天津を離れる1931年までを過ごした場所。
 

静园は1921年建造。
元々は乾园と呼ばれ、1913年~1916年に駐日全権大使を務めた陸宗輿の邸宅であった。
1919年、五四運動で売国奴と糾弾され、政府の職務を罷免された陸宗輿が、天津の日本租界に移り住み、商売をしていた頃に建てた邸宅。
 
敷地面積3016㎡、建築面積1900㎡は、“失脚した政治家の家”というイメージから考えると随分立派で、皇帝の住まいと思うとやけにこじんまりしているなぁ~という印象を受ける大きさ。
 

1931年、溥儀らが去った後は、何回か家主が変わり、歴史の変遷を経て、一時期は45世帯もが暮らす寄り合い住宅と化し、建物にも相当なダメージが…。

2005年、天津市歴史風貌建築整理有限公司が大々的な修復工事に着手し、それが完了すると、2007年、国家AAA級景区に指定され、一般に再公開
 

今でも全ての部屋が見られるわけではない。 
公開されているのは、食堂、溥儀の寝室、書斎、婉容の部屋など一部。

公開されている部屋には、それぞれ修復前のズタズタに痛んだ写真が掲げられ、「修復前、この部屋にはふた家族が暮らしていた」といった説明書きが添えられている。
かつて皇帝が暮らした邸宅に、庶民がギューギュー詰めで住んでいたなんて、清朝崩壊から中華人民共和国建国、文化大革命へと続く、中国激動の近代史を感じさせる。

そんな事情なので、部屋に置かれている家具類は、レプリカと思われる。
 
 
北京2011:天津・靜園

母屋の東側に建つ平屋の建物は、爱新觉罗溥仪展览馆(愛新覺羅溥儀展覽館)で、溥儀の生涯を紹介したり遺品を展示するコーナーになっている。

溥儀は歴代皇帝の中で最も多くの写真を遺した皇帝とのことで (←まぁ時代から考えて当然か)、写真と文によるパネルをメインに構成。


溥儀のお財布やメガネも展示してあった。(↓)
 
北京2011:天津・靜園
 
(↑)私が撮影した画像ではない、…念のため。

皇帝が自分でお財布持ってお買い物に行くとは考えにくいので、一般市民になった晩年に使っていたものか?
これらは、どうやら“恆信”という文繡の兄弟の孫が持っていたものを、この展覧館に寄贈したようだ。
 
 
静园は、人、人、人で賑わっていた古文化街とは違い、同じ天津市にある観光スポットとは思えないほど入場者は少なく、閑静な佇まいに落ち着けた。
たまたま私が行った時間帯がそうだっただけ?
それともあまり人気ではないのだろうか。


★ 静園周辺
 
静园がある旧日本租界のこの地域は、閑静で雰囲気が良く、街路樹の緑も気持ち良かったので、裏道を通り、大通り・南京路までぶらぶら歩いてみた。

北京2011:天津

 車の通りはそう多くない。


北京2011:天津

大量の箱を運ぶリヤカーや、道端に干された蒲団など 生活感いっぱい。


北京2011:天津

ここら辺は、庶民が暮らす未修復の古びた建物も、よく見ると立派な造りのものが多し。


北京2011:天津

ほら、これだって。


北京2011:天津

正面から。
 
ズーム(↓)

北京2011:天津

ベランダが物置と化していたり、気兼ねなくパンツ干したりして(笑)、かなり雑然と暮らしているようだが、元々の器はかなり立派。
 

ちょっとびっくり。
一時期庶民の集合住宅となっていた静园は、その後その価値が見直され、修復を経て、元の美しい姿を取り戻しているけれど、ここら辺には、集合住宅と化した頃から時間が止まり、未修復のまま庶民が雑然と住み続ける立派な洋館がゴロゴロ残っているのだから。
私が知らないだけで、“○○○が住んでいた”といった曰く付きの物件が沢山ある気がする。
 
 
 
◆◇◆ 静园 ◆◇◆
天津市 和平区 鞍山道 70号
 
022-27311618

20元
 
地下鉄1号線 鞍山道 駅    
(私はタクシーを利用してしまったので不確かだが、地図で見る限り駅から歩いてそう遠くない距離と思われる。)